焦燥
ユーディス・ロンド
帝国軍第23部隊が壊滅した方は、すぐさまユーディスの元にも届いた。
その瞬間、ユーディスの頭から前面に展開する敵軍の事が消えた。
「・・・すぐに撤退する!」
「そんな、無理です! 敵と対峙してるんですよ!?」
「無理でもやるんだ! 出来ないならおいてく!」
「むちゃくちゃだ・・・!」
そうぼやきつつ、上官の命令には従わざる得ない。
やがて、多大な損害を出しながらも一戦闘区間ほど後退したラピス・ローズ隊の前に、新たな敵軍が姿を現した。
帝国軍の前衛を掻い潜り、後衛にいた第23部隊・・・ミーシャ・ロンドの部隊を壊滅させた部隊たちに違いない。
(こいつらが・・・こいつらがっ!)
血がにじむほどきつく唇を噛み締めて激情を抑える。
怒るのも、嘆くのも、全てやる事をやってからだ。
未だ安否の確認が取れない最愛の妹を見つけ出すため、ラピス・ローズ隊は、ユーディス・ロンドは止まらない。止まれない。
「全軍、戦闘用意! あと少し頑張ってくれ!」
部下達に激を飛ばし、自らも前線に立ちながら、ユーディスの頭に浮かぶはただ一点。
「ミーシャ・・・無事でいてくれ!」
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