あがき
ユーディス・ロンド
共和国第7部隊と帝国軍第19部隊の戦いは、思いのほかあっけなく勝負がついた。
既に疲弊していたのはどちらの軍も同じだが、後方に回り込んだ帝国軍第15部隊から痛撃をこうむっていた共和国軍に、もはや立て直す術はなかったのだ。
ましてや、帝国軍の戦闘に立つユーディス・ロンドの気迫は尋常ではなかった。
「答えろ! ミーシャをどうした!?」
「し、知るかよ・・・誰だよ、ミーシャって!?」
「メイド服を着た女の子だ! 知ってるのか、知らないのか!?」
「だから知らな・・・ぶっ!」
尋問していた敵兵を殴り飛ばすと、それには目もくれずに再び戦場へ身を躍らす。
戦っては駆け、駆けては戦う。
それでも、捜し求める姿を見つける事は出来なかった。
「何で見つからないんだ! 何の為の力だよ、ユーディス・ロンド!」
どれだけ敵兵を倒そうと、どれだけ戦功を挙げようと、二人の妹を守れなくては意味がない。
気が狂いそうな絶望感の中、それでも一縷の望みに託してユーディスは駆ける。
数刻の後、完全に共和国軍第7部隊を敗走させたとの報を受けても、ユーディスの心には一片の感慨も沸かなかった。
共和国軍の事などどうでも良い。
未だ、ミーシャの安否は掴めぬままだった。
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