再編成
ユーディス・ロンド
度重なる激戦の末、根本的に組織編成を行う事になったユーディス率いる『ラピス・ローズ』隊。
もともとは若手の貴族や仕官の集まりと、ロンド家ゆかりの者によって固められていたのだが、その大半を失ってしまっていた。
今度も訓練間もない新兵が中心になるのは違いないが、せめて信頼できる者に傍にいて欲しい…。
ユーディスは何とかヴィネとミーシャを幕僚として参加させたかったのだが。
「本日付けでユーディス将軍の副官を拝命いたしました、アマナと申します」
「・・・・・・ふーん」
アマナの持ってきた辞令と推薦状を見て、思いっきり不機嫌そうな顔になる。
ただでさえヴィネもミーシャも駄目だったというのに、よりによってサーレス家のとは!
「あの、ユーディス将軍」
「なに?」
「ロンド家とサーレス家の対立は承知しています。確かにシルビオ様からユーディス様を監視するようにと指示も受けました。でも私は違うんです!」
「そんなの…」
「私、お医者さんになりたかったんです。でも家が裕福じゃないから、遠縁のサーレス家に頼って…今回のお話は、軍の副官というより、ユーディス様の体調面を管理する看護兵のようなお仕事だとお聞きしました。私、初めて医療に関われると思って、すごく嬉しかったんです」
「・・・・・」
「お願いです! すぐに信じてとは言いません。でも、精一杯努めさせて頂きますんで、解任だけはしないで下さい!」
「う・・・」
ヴィネやミーシャとそう歳の変わらない少女に涙ながらに懇願されてはユーディスに突き放す事など出来そうになかった。
まあ悪い人にも見えないし…。
「分かった。じゃあよろしく頼むよ。確かに最近、ちょっと調子が悪かったんだ」
「あ…はい! ありがとうございます!」
「でも、サーレス家への報告はどうするの? それしなかったらサーレス家から援助が止まっちゃうんじゃ」
「あ、それは毎日ユーディス様の体調管理のカルテを送っちゃいます♪」
「あはは、そりゃ良いや」
3日後、新たに編成されたラピス・ローズ隊は再び戦場へと戻っていった。
|