-

ドラえもんよ永遠なれ

注意

 本文章はSROM様から御投稿を頂いた『ドラえもんよ永遠なれ』という題名のショートコラムです。背景が薄い水色となっている部分(コラム本体)の著作権はSROM様にあります。予め、御了承下さい。


「ドラえもんよ永遠なれ」


 子供の頃、様々なアニメが流行っており、私も様々なアニメに熱中していたが、その中でもドラえもんだけは常に観ていた。
 恐らく私と同世代の方で、子供の頃良く観ていたアニメの中に「ドラえもん」を加えない人はいないと思われる。数多くあるアニメの中でも、「ドラえもん」は別格として挙げられるだろう。アニメだけでなく、毎年春恒例の映画「大長編ドラえもん」も欠かさず観ていた。

 さて、映画ドラえもんは、生誕25周年との事である(物凄くどうでも良いが、私が生まれた1980年に第1作「のび太の恐竜」が放映されており、映画ドラえもんとはほぼ同じ年である)。25年間、1回も休まずに毎年映画を発表してきた藤子プロの方々には心から敬意を表したい。
 ただ、藤子プロには申し訳ないのだが、正直25年と言われてもあまりしっくり来ないというのが本音である。私にとってドラえもんは、作者の藤子・F・不二雄先生が亡くなられた1996年で、終わってしまったと認識していたからである。私は最近の映画「ドラえもん」をまったく知らない。ドラえもんを観るような年齢では無くなったという事もあるが、何より藤子F先生が手がけてない、第3者が作ったドラえもんを観る気にならなかったのである。昔ながらのドラえもんを知り、最近の映画「ドラえもん」を観た人の意見を見ると、否定的な意見が目立つ。

「話が幼稚になり過ぎた」「以前のような面白さが無い」「以前と違い過ぎて気持ちが悪い」

 私は実際の所、藤子F先生没後のドラえもんを一切見ていない為確認は出来ていないのだが、これらは恐らく的を射た意見なのだろう。実の所、藤子F先生没後もドラえもんを続けると藤子プロが宣言した時点で、このような展開は容易に想像出来た。

 そもそもドラえもんは、子供から大人まで幅広い年齢層が楽しめる作品であるが、本質は子供向け漫画である。藤子・F・不二雄先生は、大人も引き付ける程に面白い子供向け漫画を創り上げる事の出来る、日本至上最高の天才漫画家であると私は思っている。そして大人でも楽しめる「ドラえもん」は、藤子F先生のような天才漫画家がいたからこそ成立したのである。藤子F先生の没後、別の人間が手がける「ドラえもん」が、(藤子F先生のような才能が無い限り)本来のターゲットである子供しか楽しめないような作品になる事は当然である。むしろ、藤子F先生没後8年余りの間、休まず映画「ドラえもん」を創り続け、なお子供達から絶大な支持を受けている藤子プロは賞賛に値するだろう。

 確かに昔のドラえもんを知っている人間からすれば、今のドラえもんは見るに堪えないのだろう。あるサイトで、次のような意見を見かけた。

「ドラえもんは終止符を打った方が良いのでは」「これ以上質の下がったドラえもんを見たくない」

と、ドラえもんを完全に終了させるべきだというものだった。検索して色々なサイトを見て回ったが、この類の意見は結構見受けられたように思う。恐らくこの方々は本当にドラえもんが好きだからこそこのような意見を述べているのであろうし、私も本音を言えばこの意見に賛成したい所なのだが、敢えて反対意見を述べたい。
 先ほども述べたが、ドラえもんは子供をターゲットにしたアニメである。そして今のドラえもんは、今の子供達に支持を受けている。今のドラえもんは、本当に作品を見てほしい子供達から愛されているのだ。それで良いでは無いか。私も含め、昔のドラえもんを知る世代は、もう子供向け作品を観るような年齢では無い。既に卒業しているのである。この期に及んで、今の子供達の好きなドラえもんの存在を否定する必要は無いはずである。ドラえもんは子供達のものである。


 このコラムを書くきっかけは、最近、ドラえもんのメインキャラクター5人の声優陣が高齢を理由に総入れ替えするというニュースを見た事である。それと同時に、25年間続いた映画「ドラえもん」が来年一旦休止するという情報も入手した。恐らく、2006年に公開される映画「ドラえもん」は、今より更に変化を遂げているのだろう。というより、大山のぶ代さん以外にドラえもんの声を担当出来る声優がいるのか非常に不安なのだが、新しい声優陣をけなしたりせずに、温かく見守り、応援するという度量が、見る側には要求されるだろう。
 私は、その新しいドラえもんを観る事はまず無いだろう。私にとってのドラえもんは、藤子F先生の手掛けたドラえもんであり、それ以外の人間が創ったドラえもんを観る気は無い(ただし、今のドラえもんや藤子プロをけなすつもりは毛頭ない。あくまで1ファンとして、自分の持つドラえもんのイメージを大切にしたいと思っているだけである)。
 ただ、スタッフに一点注文させて頂くならば、主題歌を今どきのアイドルに歌わせたり、全く素人の声優を起用したり、作品以外の面で無理に人気を取ろうとする事だけは止めて欲しい。内容で子供達の支持を受けるというスタンスを取り続けて欲しい。それが出来ず、子供達すらもドラえもんを観なくなったら、ドラえもんが本当に終了すべき時が来るのかも知れない。観ていないとは言え、やはりそれはそれで寂しい。大山さんがインタビューで言われた通り、「未来永劫に愛されるドラえもんであって欲しい」という気持ちは私も同じである。

 最後に、25年間頑張り続けた声優陣の方々には本当にお疲れ様でしたと言いたい。
 また、藤子・F・不二夫先生のご冥福を心からお祈りします。


 *それにしても、「doraemonn」と入力し、変換すると一発で「ドラえもん」が出てくるとはすごい。


-

関連リンク

ドラえもんチャンネル
テレビ朝日

-

トップページ玄関(トップページ)  レビュー社会情報研究所のトップページ  レビュー電脳研究室のトップページ

WinレビューWindows用ソフトレビュー