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刀和祥子様による『はなマルッ!』レビュー

注意

 本文章は刀和祥子様から御投稿を頂いた『はなマルッ!』(Windows)レビューです。ですので、背景が黄緑色となっている部分(レビュー本体)の著作権は刀和祥子様にあります。予め、御了承下さい。


刀和祥子様による『はなマルッ!』レビュー
項目評価
操作性5
音楽7
画像7
システム6
設定6
人物6
脚本6
主観評価15
合計58


<最初に>
 この作品の事を知ったのはとあるニュースサイトでした。

 「ヒロインの1人が実は男という設定にユーザーが激怒、OHPの掲示板が吹っ飛ぶ」

 私がソフト購入の参考にしている『パソコンパラダイス』でもそれ程大きく取り上げられていた訳でもなく、本来ならその他のソフト群と共にスルーされるはずでした。が、上の記事に興味を覚え、またCanvas2とシャマナシャマナの攻略を終え次に購入するものを探していた事もあり怖いもの見たさでプレイする事となったわけです。

<ストーリー>
 主人公は全寮制の学校に通っていたが寮の火事で住む場所を失い途方にくれていた。
 そして代わりに紹介されたのは何と女子寮だった。

<システム関連>
 以前プレイした『幼馴染』でもそうでしたが、ここのメーカーはどうもシステム関連の調整が苦手なようで、音量がキャラによってバラバラスキップも日が変わる演出で一々ストップする立ちグラと文章があっていない(三つ編みをほどいているのに、立ちグラでは三つ編をしたままとか、笑っているのに怒っているCGが使われてたり)等あまり誉められた出来ではないです。
 CGは明るめのタッチで描かれておりキャラの表情もクルクル変るので、体験版をプレイして絵買いする人は多そうです。無論菫目的で絵買いした人には後で悲劇が襲い掛かるのです・・・・。

<シナリオ>
 前半の共通部分と後半のヒロイン別部分が共に2時間づつ、計1プレイで4時間少しでクリアできます。
 共通部分は非常にコミカルかつテンポよく進み、ヒロイン別シナリオにおいて主人公とヒロインが惹かれ合い、ヒロインの抱える問題を解決しED……という、ADVとしてはオーソドックスな展開方法です。
 ただ、この作品はヒロインの抱える問題があまりに大きすぎて(不治に近い病気、過去の肉親によるレイプのトラウマ、性同一障害)、ジャンル名にあるようにハートフルかと言われると首を傾げざるをえません。
 さてヒロイン3人別にシナリオを見てみましょう(他サブ2人いるがほぼおまけあつかいなので割愛)

●萩尾 向日葵
 イギリスからやってきた従妹で主人公の部屋で共に暮らす事となる。主人公の事が好きで、主人公が他の女性の事を考えたりするとすぐにヤキモチを焼く。
 シナリオの長さと書き込み量からメインヒロインである事は明白で、前半部分では事あるごとに主人公とドタバタ喜劇を演じており、個別シナリオに入ると彼女の体調が急変、主人公達は彼女を救うためドナー募集に奔走する事となります。
 彼女の病気名ははっきり明記されてないものの次のような特徴があります。

1. 白血病より重い病気である。
2. 主人公、向日葵双方の母親(ちなみに母親たちは一卵性双生児である)はこの病気で亡くなっている。
3. 治療には適合者と呼ばれるドナーが必要。
4. ドナーが見つかる確率は10万人に1人と言われている。
5. ドナーが見つかったとしても手術でドナーが後遺症、最悪死に至る可能性がある。


 結局主人公が適合者である事が分かるのですが問題は5.であり、例え彼女が救われてももし自分が死ぬ事になれば彼女はどうなるのか・・・主人公は悩みに悩んで彼女を助けるために手術を受けることになります。
 この辺りの描写は、他のヒロインや主人公の友人達の心理描写がとてもよく描けていたと思います。

●桜坂 椿
 主人公と同じ図書委員で、憧れの先輩。物腰柔らかく誰にでも優しいと所謂お嬢様キャラです。
 過去に義父にレイプされたという経験から、無意識に男性から距離をとっている(この辺りハートフルと程遠いと批判が出る所以です)。
 彼女のシナリオは、展開がはやすぎて気づいたときにはEDになっていたのであまり印象に残らなかったですね。後これはどのヒロインにも言えるのですが、Hシーンで中出しするか否かでバッドEDのフラグが立つという妙な仕様のため、攻略がしずらかったです。

●桐嶋 菫
 主人公の後輩で料理を初めとする家事全般が得意で将来の夢はお嫁さん。内気で気が弱いが主人公に尽くそうと頑張っている。(ここだけOHPの紹介文より抜粋)

 一言で言えば。それも女神ではなく、彼女目的で買った人への破壊神といっても過言ではないです。
 シナリオ自体はとても綺麗にまとまってるんですよ。お互い惹かれあうが何故か性交渉を拒む菫、自分が性同一障害で自分と一緒になっては主人公が不幸になると考えあえて距離を置こうとする彼女を主人公を受け入れる・・・。
 これだけ見てみるとまあそういうのもありかな、とも思えるのですが、今回のケースはメーカーの対応がまずかったです。
 発売前のOHPのキャラ紹介文には上の記事、そして体験版で見せる萌え萌えの彼女。ここから彼女が実は男でしたというオチがつくとは誰も予想はしないでしょう。
 取り合えず私がプレイした感想は「うわ〜確かにこれはBBSが吹っ飛んでも無理はないかな」です。
 特におまけのHシーンが強烈すぎます。

鎖で手足を縛られ四つんばいになってる主人公、その主人公を後背位で掘っている(爆)菫
恍惚の表情を浮かべる主人公と飛び散る精液

 ・・・悪夢としか言いようがないです。
 一応おまけモードを選ぶ際に画面いっぱいに警告が出て、「これから先には大変ショッキングな内容が含まれています。ボーイズラブ、801といった単語に嫌悪感を示す人は先に進まないようにしてください」と注意文が表示されますが、普通無視して先進みますからね。彼女目的で購入し本編でショック受けておまけでトドメを刺されるといった具合ですか。
 せめて紹介文に「そんな彼女にも大きな秘密が・・・・」とか入れておけば救いがあったのですけどね。
 菫目的で事前情報なしで買ったユーザーからしてみれば本作は地雷どころか地球破壊爆弾でしょうね。


<まとめ>
 菫に対する衝撃が先行する本作ですが彼女抜きに考えると、どこにでもある所謂平凡なADVといったとこでしょうか? それ程ボリュームがあるわけでもなし、「新品を買ってまでプレイする価値があるか?」と言われればNOでしょうね。

 ただ本作が残した貴重な教訓があります。それは「製品版Hシーンを拝むまでヒロインに萌えてはならない。彼女が本当に女性とは限らないのだから」ということ。
 萌えゲーマーは心すべきことだと思います(核爆)


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関連リンク

TinkeBell(『はなマルッ!』発売元)


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