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2000年11月01日 00時01分51秒
原発を巡るトラブル(後編)
ようやく終わりそうな原発論議。
ここまで長くなるなら、別コラムを用意すべきだったと後悔する今日この頃(^^;)。
「原発擁護派のロジックにも穴が空いている」と書きましたが、
これは大きく分けて2つの要素から成り立っています。
まず第1に、「原子力は安全で環境に優しい」というロジックそのものへの疑問。
「安全」の部分ですが、これは「人間の手によって完全に管理されていれば」という留保が付くのですが、
原子力関係者の一部は、完全に管理されているとはとても言えないような失態を、立て続けに起こしています。
これでは、電力会社がいくら「原子力は安全です」と住民に説明しても聞いてもらえるはずがありません。
「環境に優しい」という部分ですが、これは専ら二酸化炭素排出など大気汚染に限った話。
老朽化した原子力発電所の原子炉や核廃棄物から出る放射線だけはどうしようもありません。
日本が率先して進めている(最近は雲行きが怪しいですが)核燃料の再利用サイクルの計画ですが、
この計画でも、一定量の核廃棄物はどうしても出てしまいます。
核廃棄物を捨てられるだけの広大な土地があれば(アメリカなど)、この問題は黙殺可能なのでしょうが、
今の日本で核廃棄物を捨てたければ、地底奥深くにトンネルを掘るしかありません。
でも、日本には活断層が山ほどあるからなあ……。
第2に、電力会社による地域住民への説明が不十分ではないか、という疑念。
会社訪問の時、九州電力の方から直接聞いた話なんですが、
「実際に原子力発電所を案内すれば、原発反対派の人の多くが納得してくれる」とのこと。
しかし、電力会社が原発建設予定地の住民相手に「原発観光ツアー」を企画しているのかどうかは不明です。
しかも、実際に旅行が行われていたとしても、それが泊り掛けの旅行になり、夜ホテルで宴会でもした日には、
周囲から「電力会社の接待を受けやがった」と非難される可能性もあるわけで……。
ついでに言いますと、原子力発電所を一度誘致してしまいますと、
その地方自治体の財政体質が激変してしまい、原子力発電所無しには生きられなくなるという困った現実もあります。
国から大量の補助金をもらったのをいいことに、その金で大量の公共施設を建ててみたら、
その維持費がかさみ、結局は原発絡みの補助金が無いと財政が苦しくなってしまうのです。
これが分かっていながら、補助金や雇用欲しさに原発誘致を進める地方自治体も当然存在します。
一度誘致したら原発と一蓮托生になってしまうというのに……。
……とまあ、原発に関して色々なことをつらつら書いてしまいました。
原発についてどう思われるかは皆さん次第ですが。
ここに書かれている私の言葉も全て鵜呑みにしないよーに(^^;)。 (by 国立T大法学部で何故か核兵器に詳しかった男/爆)
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