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2001年02月19日22時47分18秒(本日2回目)
「不死鳥」は「不死身」ならず
前回のコラムをアップしてから10時間も経っていませんが、かなり厄介なニュースが飛び込んで来たので御紹介。
今回の主役となるのは、宮崎市にある大型リゾート施設・シーガイア。
このシーガイアを経営する第三セクターのフェニックスリゾート社が、
2月19日午前、宮崎地裁に会社更生法の適用を申請、事実上倒産してしまいました。
関連会社であるフェニックス国際観光、北郷フェニックスも同時に地裁へ会社更生法適用を申請したそうでして、
こちらを足すと負債総額は3社合計で約3621億円(もっと増える可能性あり)。
第三セクターの破綻では過去最大規模となりました。
この巨大リゾート施設はバブル絶頂期に計画されたものです。
そして、1993年7月に開業しましたが、開業以来黒字になったことが1回も無いそうです。
2001年1月には、宮崎県が運転資金補助の為に基金を創設して60億円を拠出、
更には国内外の民間企業に経営参加を求める方針を公表、数社と交渉を続けていたのですが、
これらの対策も間に合いませんでした。
2000年夏のサミットに使われたのが「退場の花道」になりそうです。
で、会社更生法適用後のシーガイアですが、入場客の減少が止まりそうにないので、引き取り手はまず現れないでしょう。
今年度上期(4〜9月)決算で、減価償却前で6億6700万円の営業赤字を計上するというのは、 誰がどう考えても「ダメ」な施設であることの証。
よほど大規模なリストラか改装工事でも行わないと、 「フェニックス」の名前に相応しい「復活」は遂げられないでしょう。
宮崎県の松形祐堯知事は19日の県議会全員協議会で、
「シーガイアを世界第一級のリゾート地にすることができる企業を絞り込んだ」と語り、
再建引き受け手の目処がついたことを示唆しています。
しかし、数千億円に上る同社の借入金を20年間で返済可能な額に圧縮することなど複数の条件がついており、 本当に交渉が成立するのかは不透明です。
なお、松形祐尭(すけたか)知事に対しては、
前出の基金に拠出した60億円全額を県へ返還するよう求める住民訴訟が起こされています。
勉強不足の地方自治体がリゾート施設に手を出したらどうなるか、
1980年に日本が酔いしれた「バブル」というものがいかに危険なものだったのか、
これでいい加減思い知ったことでしょうね。
それにしても、授業料が3621億円になるとは、ちょっと高過ぎるような気がします。
経営譲渡なんて考えずに、2年くらい前の段階で清算に踏み切っていたら、傷口は今よりも小さくて済んだでしょうね。
しかし、40年か50年経ったら、このバブルのことなんか忘れて、
また似たような投機ブームと経済破綻が起きてしまうのでしょうね……(溜息)。
ちなみに、このニュースには更に厄介なおまけがございます。
みずほホールディングスが保有するフェニックスリゾートグループに対する債権1862億円に、取立不能の恐れがあるらしいです
(実際に債権を持っているのは第一勧業銀行ですが)。
みずほホールディングスは「当期業績予想に影響は無い」と言っていますが、
一千億円単位の債権取り立て不能とは寒過ぎて笑えない話。この先どうなることやら……。
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