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2004年9月の図書館長日誌

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  • 2004年9月20日 03時00分14秒
    私が欲しかったのは「911度」ではなく「9/11度」

    朝鮮半島を騒がせている核開発問題ですが、こんな話が出ています
    一方、北朝鮮のきのこ雲騒動については、韓国が早とちりしたというのが真相のようですが、
    一部では、「韓国の自作自演だったのではないか」とすら言われる始末。
    IAEAの処分なども近々出るようですし、当分目が離せません。

    それから、今世間を騒がせているプロ野球のストライキの件ですが、
    私は選手会・球団どちらの肩も持たないことにしたいと思っています。
    一般的には、選手会側の言い分のほうに分が多いと感じる人が多いようですが、
    私から見れば、自発的な年俸の返還など、選手会側にも譲歩の余地は残されていたと思います。
    それに、選手会・球団だけでなく、コミッショナーの態度・言動にも納得できない点が多々ありました。
    自分の出した仲裁案がゴミ箱行きになってストライキ決行が決まった直後にすぐ辞任したという一連の動きは、
    外からは「俺はもう知らん、後は好きにやってれ」と「敵前逃亡」したも同然に写っています。
    自分の出した仲裁案に自分の首を賭けていたから、仲裁案の廃棄と共に辞任ということなのでしょうが、
    一連の騒動が解決するまで辞任を遅らせても良かったのではないかと思います。
    ただ、コミッショナーが球団側に強気で交渉するよう唆していたという
    話も伝えられており、コミッショナーが本当に中立だったのかどうかは怪しいのですが……。


    さて、今回は予告通り『華氏911』の鑑賞報告です。
    内容については大体想像通りだと思いますので省略して(爆)、感想だけ述べたいと思います。

    エンターテイメントとしてこの作品のことを評価すると、決して悪いわけものなかったと思いますが、
    取り上げている題材が「イラク戦争の正当性」という暗くて重い内容だったので、
    誰もが気軽に映画館に入って楽しめるわけではありません。
    警告マーク無しで、イラクでの戦闘による被害者の映像や死体の映像などショッキングなシーンもありました。
    (イラク戦争でのショッキングなシーンを警告無しで流したことは、政治的な問題を抜きにして考えると
    この作品で最も高く評価していい項目になるのではないかと思います)
    また、(次に書くように)政治的な色彩が非常に濃く、人によっては生理的嫌悪感を催すことは必至。
    ポップコーンとコーラを両手に持ちながら気楽な気持ちで鑑賞できる作品ではありません。
    映画館やレンタルで御覧になる方は相応の気合と覚悟が必要ですので御注意を。

    では、ドキュメンタリーとしてこの作品を評価しようとすると、正直言って「ダメっぽい」という感がありました。
    映画で描かれている事実を単体で観察すると、確かに間違ったことや嘘は殆ど言っていないらしいのですが、
    自分の主張に沿ったストーリーを展開する為、事実関係を故意に省略しミスリードを狙った箇所がありましたし、
    扇情的な表現や映画のコラージュなどを用いた過激で問題を引き起こしうる風刺映像
    ──「有志連合」参加国の紹介に使った映像に、参加国を侮辱するような内容が含まれていた──
    も用意されており、ドキュメンタリーに必要な冷静で中立的な表現とは程遠い内容でした。
    映画で紹介されていた「事実」の数々にも裏付け調査が必要であり、素直に首肯できませんでした。

    あと、イラク戦争の風刺とブッシュ政権に対する批判を狙った映画でありながら……

    ●アルカイダの勢力伸長にはクリントン政権時代のアメリカの対応も背景があったと思われるが、
     クリントン政権時代のアメリカの行動には一切メスを入れていないこと
    ●サウジアラビア王家やいわゆるオイルマネーには執拗な追及の手を見せていながらも、
     イラク戦争に影響があったと思われるネオコンとイスラエルの存在が完全に無視されていること
    ●アメリカ国内の「階級」(経済的格差)問題にかなりの時間を割いていること


    ……というように、日本人から見ると「おや?」と思わざるを得ない部分が多いのもまた事実。
    この映画を「反戦・反ブッシュ」と単純に割り切るのは無理だと感じました。

    この映画は、邦訳では『華氏911』と書かれており、
    「それは自由が燃える温度」というキャッチコピーも付いています。
    華氏で911度というのは摂氏での温度に換算すると488.3333度に相当するわけでして、
    これだったら「自由」じゃなくても色々な物が自然発火してしまいそうです。
    ところが、原題は『Fahrenheit 9/11』というように書かれており、
    華氏「9/11」度をそのまま摂氏に直すと実は氷点下17.3232度になってしまうんです。
    この温度だと、「自由が燃え上がる」というよりも
    「冷徹に事実を見つめ直す」という表現の方が相応しそうに思えますし、
    私もこの映画の中に少しでも冷静で客観的な分析は入っていないのかと探したのですが、
    本作品に冷徹で客観的・中立的な視点を見出すことはできませんでした。
    (前作『ボウリング・フォー・コロンバイン』もムーア氏の感情や熱意が前面に出ていましたし)

    この映画がドキュメンタリー映画と思い込むことだけは止めたほうがいいでしょう。
    ドキュメンタリー映画だと思わなければ、そこそこいい出来映えの映画でしたし。
    同席した友人氏は「実写版の『忍者ハットリ君』のほうが良い映画だった」とコメントしていましたけどね……。


    なお、念のために注意することが1つ。
    先週紹介したテレビ朝日の番組では、2001年の同時多発テロについて、
    「同時多発テロはアメリカの自作自演だった疑いが濃い」という内容が放送されていた
    のですが、
    マイケル・ムーア監督は映画の中でそんなことを一言も言っておりません。
    同時多発テロがアルカイダとオサマ・ビン・ラディン氏の仕業だったという点に関しては一切の疑義を示していないのです。
    この点から言うと、ちょっと暴走気味だった日本のマスコミと比べ、『華氏911』は「冷徹」でありました。

  • 2004年9月11日 22時04分20秒
    3年経過

    「もう3年」と言うべきか、「まだ3年」と言うべきか。

    ニューヨークの世界貿易センタービルに旅客機が突っ込んでから、丸3年。
    アフガニスタンとイラクでは、独裁主義的な傾向の強かったテロリスト支援国家が崩壊する一方、
    世界各地にイスラム教の一部過激派によるテロが拡散し、ソ連などで民間人を巻き込んだテロが
    連鎖的に発生するという事態を迎えています。
    3年前に始まった、テロリストと国家の対決は未だに続行中であります。

    日本政府はこのテロとの戦争に対し、ほぼ終始一貫してアメリカ政府を支持する姿勢を貫き、
    自衛隊をインド洋やイラクに派遣するなど、アメリカによる対テロ戦争を間接的に支援する立場にありました。
    それ故か、政府レベルでの日米関係は過去に例が無いほど親密なものとなっており、
    今後4年間にアジアで火を吹くかもしれない諸々の外交的問題を考えると、決して悪くは無い状況となっています。
    ただ、日本も含めたリベラル派の知識人やメディアはブッシュ政権のことがあまりお好きではない様子。
    また、テロ組織撲滅を名目にした武力攻撃が行われた結果、世界各地に戦火が広がっているという一面も事実であり、
    それ故なのか、ヨーロッパなど外国諸国からブッシュ大統領は色々と嫌われています。
    その点については、9月9日に報道されたアメリカの大学による調査結果が詳しく紹介しています。

    海外でケリー氏「圧勝」 米大学が35カ国調査

    【ワシントン8日共同】米メリーランド大が世界35カ国で実施、
    8日発表した米大統領選に関する世論調査結果によると、
    民主党候補のケリー上院議員が平均46%の支持を集め、20%のブッシュ大統領に“圧勝”、
    海外での「反ブッシュ」感情の強さを裏付けた。

    日本はケリー氏43%、ブッシュ氏23%で、先進国の中ではブッシュ氏への支持が最も高かった。

    「どちらの候補に勝ってほしいか」との質問に、ケリー氏と答えた人が最も多かったのはドイツとノルウェーで74%。
    フランス(64%)、オランダ(63%)が続いた。
    逆にブッシュ氏への支持はフィリピン(57%)、ドミニカ共和国(38%)の順に高かった。
    全体では30カ国で、ケリー氏への支持がブッシュ氏を明確に上回った。
    (共同通信) - 9月9日9時26分更新

    日本の場合、上でも触れたように、北朝鮮や中国、更には核兵器開発疑惑すら取り沙汰される韓国など
    周辺国に危険要素がごろごろしており、
    その様子は20世紀初頭のバルカン半島や19世紀末の東アジアにも通じるところがあります。
    そんなわけで、ヨーロッパ人とは別の判断を下さざるを得ませんし、
    アメリカでは親日派とされる共和党政権の続投を「嫌でも期待せざるを得ない」状況にあります。
    (それが、「先進国の中ではブッシュ氏への支持が最も高かった」というところに繋がっているのでしょう)

    そんな「9.11」については、ここ最近テレビなどで特集番組がいくつも組まれており、
    今日もテレビ朝日系で「時系列に従って悲劇を振り返り、浮かび上がった数々の疑惑を検証する」という
    触れ込みの番組が放送されていました。
    (この番組は私も見たのですが、大統領選挙に間に合わせたかったせいなのか、裏付け不足という感がありました)

    同時多発テロに関する疑惑を追及する作品として有名なのは、こちらの、『華氏911』という作品。
    日本のニュースや新聞でも賛否両論の立場から論じられている話題作であり、
    上で述べたテレビ朝日系の疑惑追求番組の提供(19時〜19時30分)にも名を連ねていました。
    実を言いますと、当初はこの映画を見に行く予定だったのですが、諸般の事情により取り止めとなりました。
    私の体調が悪かったというのもあるのですが、チャットでの知り合いである映画マニアの友人がこの映画について
    「つまらなくて途中で寝てしまいました」とコメントし、
    わざわざ1800円を払ってまで見に行くべきなのかどうか迷っていたという理由もあります。

    今度の週末──連休辺りに見に行ってみようと考えていますが、
    果たして1800円の入場料に見合う内容なのか、若干不安ではあります。
    なお、見に行った場合には、本日誌上で連休中に鑑賞報告を行う予定です。

  • 2004年9月5日 11時08分20秒
    注意喚起

    今日、SROM様からの『下級生2』レビューを頂いた際に初めて知ったことなのですが、
    このゲームにはOSを再起不能にする恐れのある致命的なバグがあるとのことです。
    バグの概要は

    ●『下級生2』プレー中にDVDドライブの開閉を行い、ドライブの扉を閉めた後
    DVDドライブのオートランが実行されると、ブルースクリーンが表示される。
    ●ブルースクリーン表示後にOSを再起動しても、再起動不全に陥るケースがある。

    (原因はここに記述されています)

    ……といったもの。

    記事を読む限りでは、このバグはゲームプレー中にDVDドライブをロックし、
    ゲーム中はDVDドライブの物理的な開閉を禁止していれば回避できた可能性が高く、
    どうしてこんなバグが出てきてしまうのか、正直言って首を捻らざるを得ません。
    DVD無しでは起動しないゲームですから、デバッグ時に「ゲーム中にDVDドライブを開ける」という検査を実施し、
    その結果致命的な問題が生じる恐れがあることは確認できたはず。
    私には、柴門たまきシナリオの問題点がどうでも良く思えるくらいの致命的な欠陥に見えるのですか……。

    『下級生2』プレー中は、ゲームのDVDを絶対に取り出そうとしないように。

  • 2004年9月2日 03時10分41秒
    同情するのは無理な相談

    前回の日誌から約1ヶ月が経過しましたが、この間仕事が色々と忙しく、日誌の更新が滞っていました。
    結果、アテネで開催されていたオリンピックや、北海道初の優勝になった高校野球の話題にも一切触れることができず、
    8月15日に、豪雨の中を有明国際展示場へ出掛けるという無謀な試みの詳細もお伝えできませんでした。

    その間にも世界は色々と動いているようでして、
    「北の将軍様」の奥さんが亡くなったらしいが正確な日付が分からないこととか、
    ロシアの中学校で人質事件が起こるなどロシア情勢が緊迫の度を増していることとか、
    50代の息子に保釈金を払った子煩悩(違)な元首相の話とか、
    イタリアの首相にキックをかまして負傷させたイギリス首相の話など、
    シビアなテーマから笑いのネタまで、話題の種は尽きない状態が続いております。

    そんな中、外国のニュースで個人的に気になっているのが、
    ニューヨークの共和党大会でのルドルフ・ジュリアーニ氏の演説が新聞各紙から好評を博した件。
    2004年の選挙が終わっていないのにこんなことを考えるのは気が早いかもしれませんが、
    2008年の大統領選挙への出馬が噂されているジュリアーニ氏にとって、今回の成功は大きな前身であると言えるでしょう。

    どうでもいいですけど、上記リンクにある「ニューヨーク、ニューヨーク、ニューヨーク」の連呼を聞いて、
    一番最初にとある漫画の名台詞が頭をよぎった私ってば一体……(爆)



    インターネットの住人にとっては、昨日のトップニュースは
    京都地裁で行われたWinny製作者に対する初公判ではなかったでしょうか。
    このニュースに関しては、京都新聞の記事(123など)が詳しく取り上げておりますので、こちらを御覧下さい。

    インターネットの世界で被告に対して同情的な意見が多数を占めているように感じられます。
    ですが、私が裁判記録やニュースを見ている限りでは、被告に対して同情を寄せるのは少し無理があるという気がします。
    検察側の冒頭陳述を読む限りでは、被告の言動は裁判官の心証を悪くすること請け合いとしか言えません。
    被告はWinnyの開発について「新型のファイル共有ソフトを作り出せるかという技術的な実験として行っていたもので、
    著作権侵害行為の手助けという意図ではなかった」
    と話していますが、

    ●開発者はアップロード機能がなく同時ダウンロード数が20の専用Winnyを使っており、
     アニメやゲームなど大量のデータをHDDに保存していた
     (著作権法に触れるコンテンツを外部に公開しない形で私的に持つこと自体は違法ではないらしいのだが、
     普通のWinnyに著作権法抵触のリスクが存在することを考えると、著作権法違反での摘発を避ける為に
     自分専用のWinnyを開発していたと解釈されても仕方が無く、このことが被告側に不利に作用する可能性は高い)

    ●匿名性を求めるユーザーからの要望を受けながら、238回のバージョンアップを行っていた
     (バージョンアップそのものは良くある話ではあるが、匿名性がその焦点になっていたとすると、
     著作権法違反の発覚を恐れての処置……と勘ぐられる余地が存在する)

    ●被告が既存のコンテンツ産業や著作権法に対する不満を2ちゃんねるなどで漏らしており、
     それがWinny作成の動機の一部ではないかと疑われている


    他にはこちら

    ……といった事実を前にすると、被告の言い分をそのまま認めていいとは思えなくなります。

    Winny作成という被告の行為が、刑法に既定されている「幇助」に該当するかどうかについては論議が分かれるところでして、
    被告が無罪になる余地は「法技術的には存在する」らしいのですが、私が刑法にはあまり詳しくない上に時間も無いので、
    この点に関する詳しい分析は別の機会ということになりそうです。
    (Winny事件に関する考察は色々ありますが、
    弁護士の服部廣志さんが面白い記事を書いていますので、こちらも御参照下さい。
    細かい法律的な話になりますので、専門家でないとついていけそうにないですが……)


    今回の更新は、最近発売された『下級生2』というソフトのレビューです。
    2ちゃんねるでは、そのメインヒロインの性格(設定?)の破綻ぶりが槍玉に挙げられ、
    この間の土日にいわゆる「お祭り」状態と化していたそうです。
    プレーしていないので何とも言えないのですが、今回頂いたレビューを見る限りでは、
    自分から地雷を踏みに行く度胸またはネタゲーとしてコレクションに加えるくらいの余裕が無い限りは、
    手を出さないほうが良さそうな感じがします。

    さて、資料を色々集めないと……。

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