思い出・1

アメージュ・ラズリ

眠る……あたしは眠る……
深く…深く……過去へ……記憶の海へあたしは落ちる……

あたしには親はいない……
ただ産まれた時に教会の前に置かれていたらしい。
この事は直接神父様に聞いたことだ。
神父様……親のいないあたしにとって神父様はたった1人の身内だ…。
神父……それは神に身を捧げる職業らしい……ただ、どんな神なのかは分からない。
お友達……そう呼べる者はいない……だって、何かあたしと違うから。
……あたしの心が冷静に聞こえる……それもそうだ…あたしには心は無い……いや、実際にはあるのだろう。
だけど、あたしは見つける気にはならない。
それが6歳の頃のあたしだった…そういえばその時はまだアメーゼと呼ばれていたな……

秋の少し涼しい夜……今日はあたしの7歳の誕生日らしい(実際の誕生日は知らないから拾われた日だ)。
神父を始め顔見知りがあたしを祝う為に準備をしているらしい。
だけど、あたしは嫌だから近くの河原で涼しんでいた。
でも、何時もよりも何か自分の様子が少し可笑しかった(そう…本当は嬉しかったんだ……)。
少ししたらあたしは教会に戻った。
教会は暗かった……いや、暗すぎたのだ……。
人の……生物の鼓動が聞こえない……そんな感じがした。

ピッチャ……

歩いた所に何か水滴があった……暗いのであたしには見えなかった。
あたしは恐くなってきた……本当の孤独と言うものに……
遂にあたしは耐えられなくなり声を出した。
「ねえ、神父様……皆何処…? 本当に出てきてよ……ねぇ?」
そして何時しかあたしは走り出そうとした……が
「……きゃっ!? ……な……何……?」
満月を覆っていた雲が取れて周りの状況が分かった。
「……………ひっ!!?」
教会に置かれる筈のないモノが置かれていた。
普通なら出ない液体が一杯……一杯飛び散っていた。
聖堂の奥には首があった……神父様の……
その周りにはあたしを友達と言う皆が……口に刃を突き刺されて浮いていた……
……紅い液体が……皆から流れ出た赤い…紅い液体が……床中に一杯零れ落ちていた。
「………う……あ……ぁ………」
あたしは叫ぶ事も泣く事もせずただ震えるばかりだった。
そして、あたしは力無く床に崩れ落ちた……そして、横を見た。 あたしに対してよく突っかかってきた奴がいた、だけど動かない……
当たり前だ皆と同じように……ううん、それ以上に酷く殺されていた。
四肢を引き裂かれ……
総てに楔を打たれ…
腹を割かれ臓腑が出て…
首は千切れ頭上に蝋燭を立てられ……
そして、目はあたしを見ていた……いや、実際には見ている様に見えるだけだ。
これらを見てあたしの中で何かが割れる様に崩れていく様な気がした。
「……う…う…う…あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」
何時しかあたしは叫んでいた……涙を流して。
「何だ……まだいたのか」
何時の間にか目の前に男がいた……だけど、あたしは気づかなかった。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
「ごちゃごちゃ、うるっせーんだよ!」
男は怒ったらしくあたしに近づいた。
男は近づいてくる所で床に落ちていた頭を潰した。

プチュ…
血がとんだ……
目玉が飛んだ……
床に落ちた蝋燭が床に落ちて燃えた。
燃える……周りが燃える……教会が……皆が……
それを考えながらあたしは気を失った。

(2002.09.08)


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