妹の告白
アザゼル+鴉
「カイザー、実験台になってくれ」
「カイザー、ちょっとこっちに来い」
「カイザー」
カイザーはティリシア・アザゼルにあの日以来ずっと付け回されていた。
「(えらい疲れるわ......)」
ふと、鴉の部屋の前で足を止める。
「失礼しますさかい.......」
一方ティリシアは美雪と風華を呼んでいた。
「なんですの?」
「夜這いって....如何すればいい?」
「へ?」
ティリシアの一言で硬直する二人。
「いやな、今度カイザーに夜這いをかけようと思っている」
「美雪...知らないですの」
「そんな事まで考えているなんて.....結婚もですか?」
「いや...実際の体力がどれほどあるかどうかを知りたいのだ」
それを言い終わった後ティリシアが硬直する。
「なあ.....今何て言った?」
「はい?」
「いやだから....何もですかって....何をだ?」
「だから....結婚を..」
ボン!
そんな音が聞こえた様な気がした。
「そそそそそそそそそそそそそそそ、そんなことは普通に考えないぞ!」
滝のような汗を流し、慌てふためくティリシアを見て美雪が一言。
「結構...純情ですの....」
「わ、私はただ夜這いを....(焦り)」
「ティリシアさん.....想いを伝えるですの」
「私は恋愛感情なんて持ってない! ただ、実験体として興味がぁ!(おろおろ)」
それに対して美雪が。
「その優しい想いと純情な心は...カイザーさんに伝わるですよ(ニコッ)ね、姉様ぁ?(抱き)」
「そうですの」
「あううう.....あああ...」
ふら付いているティリシア。
「本気なら...美雪応援するですの。姉様も...応援しますか?」
「もちろんですの」
カァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
超赤面するティリシア。
「(や、奴と結婚なんて....でも、なんだ? この心臓の鼓動は? これが....恋愛感情と言うものなのか?)」
激しく鼓動する心臓に手を添えて思ってしまうティリシア。
「ふ〜ん。アザゼルの妹がねえ....」
「はい....もう、疲れてしもうて.....」
「・・・外に出て一極どう?」
「ええですけど.....」
鴉に連れられ外に出て一極する事になったカイザー。
戻ってティリシア達。
「はにゅう..........」
かなり恥ずかしいティリシア。
理由はどうせ告白するなら着替えようと言う事になって.....
風華からスカートを、美雪からリボンを。
無論、ティリシアには未体験だった。
「あまり.......見ないで下さい」
赤面して俯き何時ものティリシアから掛け離れた状態となっていたりする。
「本当に可愛らしいですよ...ほら」
美雪がティリシアに鏡を渡す。
「・・・・本当に.....私?」
鏡に映った自分を凝視する。
其処に居る人物は全くの別人かと思ってしまうほどであった。
外で何処からか用意したテーブルの上で将棋をしている二人。
「そう言えば.....カイザー。君の好きな女性のタイプは?」
「好きなタイプですか...一途な人とか...姉さんみたいに料理できる人とか...でもヤッパリ優しさですか」
「ちゃんと解かってるじゃないか.....」
「でも、鴉将軍...なんで俺って男にもてるんでしょうね(泣)。今日も1人簀巻きにして川に投げ飛ばしてしまいましたよ...」
「野郎にもてるか.....でも、君に密かに好意を抱いている女性が居たら?」
「まさか....」
苦笑いするカイザー。
「案外、近くに居たりして。王手」
「かいざ〜く〜ん」
鴉の王手と重なる様にして風華がカイザーを見つけ呼ぶ。
「はい? 鴉将軍ちょっと失礼しますね」
カイザーが風華に呼ばれ席を立つ。
「自信を持つです(ガッツ)」
「自信........(クソ医者が言ってたっけ....『自分に自信が必要な時は一世一代の大勝負だ!』正にその通り.....なのか?)」
木の陰で待機している美雪とティリシア。
「何や姉さん&美雪さん」
「こんにちはカイザーさん(ニコッ)」
ぎこちない動きでティリシアが出る。
カイザーはティリシアを見ても本人だとは思わなかった。
「ん? この人は? 友達?」
「貴方に紹介したい人ですの」
「カイザーさん...こちらの女性がお話したいそうですの...」
が、声が出ないティリシア。
「(コソコソ)頑張るですの...」
美雪の声援で気を引き締めるティリシア。
「お、ええで。何や?しっかし、えろ〜べっぴんさんやないか。何でも言いってええよ」
この言葉が決め手になって...
「カイザー! 私、ティリシア・アザゼルの一生の実験台になってくれ!」
風華と美雪が思わずこける。
「へっ!?」
鴉がやれやれと思い近付く。
「カイザー。君を想って全く経験の無い一世一代の大勝負に出たんだ。答えをちゃんと出してやれ」
それに連動して美雪が。
「カッ...カイザーさん...ティリシアさんは頑張ったんですぅ...貴方のために...想いがうまくいえないんです...だけど理解してあげてください」
「???????????」
この手には全くもって鈍いカイザー。
「つまり.....一生自分に付き合ってくれと言う事だよ」
鴉の言葉を聞いてカイザー。
「え、えええ〜〜〜〜〜(ボッ)」
カイザー飛ぶ。
「お、俺はええけど...君はこんな俺でええんですか?」
「は........はぁぁぁぁぁ.......」
ティリシアがへたり込む。
「姉様!」
「美雪さん!」
二人が顔を見合わせる。
「お、おい大丈夫かいな?」
カイザーがティリシアのもとへ行く。
ティリシアが深い溜め息を吐く。
「よし!今晩、夜這いしに行く」
スッと立ちあがりカイザーに指指す。
「...姉様...いきなり宣言していますよ...夜這い」
「は、はい!」
条件反射で返事をするカイザー。
「良いか? 今夜必ずだからな!」
そう言って去るティリシア。
「あ、ああ......(元気な子やな〜〜〜)」
今更、ティリシアだと思い出したが面倒なのでそれを払拭した。
「じゃあ...今晩は美雪の部屋に来るですぅ。姉様が美雪の部屋にお泊りですぅ」
「そうしましょう。カイザー君がんっばてくださいですの」
何故かお互い赤面する風華と美雪。
そして、鴉は.....
「お前の妹、ようやく一皮剥けたな」
「ああ、妹が巣立っていくぅぅぅ。けど、それが幸せなら私は見守ろう。妹の成長をっ!」
妹を思う兄ここにあり。
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