二人の夜

アザゼル+鴉

人は人に言えぬ事を愛する者に受け止めてもえるだろうか?
一人の女性が一人の男性に告白した。
普通の人が言えぬ事を、自分の疚しい過去を.....


『カイザー......私を受け止めてくれるか?』
ティリシアが言った言葉。
カイザーは受け止めた。
ティリシアの過去を。



夕暮れの外を見ながら思いにふけるカイザー。
初めて異性から告白され、しかも今夜来る。
無論、異例な事である。
鴉が言っていた『案外、近くに居るかもな』。本当に意外な相手、案外近くに居た。
これまで同性にしかもてなかった自分が初めて異性に告白されたのだ。
本当は飛び跳ねて喜びたい所だがどうもそんな気分にはなれなかった。
何故かは解からない......だが、彼女は他の人には言えない事が有る。そう思っていた。
自分でもこんな気分になったのは初めてだった。
「綺麗やなぁ.....」
夕暮れの日が沈む光景を見て呟くカイザー。

兄、アザゼルが経営する診療所からカイザーと同じ光景を見ているティリシア。
硝子に自分が夕暮れの日差しで赤くなっている。
ティリシアは人には言えない事をカイザーに言うべきかどうかを迷っていた。
だが、今はその時を訪れるのを待っていた。
仮面を付けず素顔の自分を見ながら自分は何を考えているのだろうと思う.....
初めて異性に告白した。
それも実験体と見ていた者に.....
知らず知らずに想っていたのだろう。
だが....カイザーの事を考えると何処かでカイザーが恋しいと想っている自分が見えた。
紛れも無く考えていたのだろう......
「私を......受け止めてくれるだろうか.....」
それだけを考えていた。


「如何言う意味や?」
カイザーはティリシアの言葉を意を問う。
「私は....兄、アザゼルが初めての相手だ。『他の男にはじめてを奪われるくらいなら私が』。そう言ってアザゼルは私を抱いた」
「それを....か?」
アザゼルと寝た事なのだろうか?
だが、彼女の顔は暗がりでも良く見えた。
ティリシアが首を横に振った。
「そうじゃないんだ。その後のことなんだ.....アザゼルに犯されてから暫くして飼っていた犬に襲われた」
「え?」
カイザーは自分の耳を疑った。
何を言ってるんだとそれが出る前にティリシアが続けた。
「度々....自ら犯されに行った。正直....快楽に負けた。犬に犯され悦んでいた自分が今では醜い....そして、その犬が死んだ。これまで誰とも寝ていない.......カイザー......こんな私を受け止めてくれるか?」
「ふ〜ん。ほんで?」
「え?」
今度はティリシアが自分の耳を疑った。
「正直、気持ちええかったんやろ?」
「あ.....うん.........」
カイザーの返答に戸惑うティリシア。
「なら、ええやん。人間正直に行きていかなあかんやろ」
ティリシアはカイザーがモット冷やかな反応をするだろうと思っていた。
だが、カイザーは簡単に受け止めてくれた。
「あとな、正直に言ってくれてあんがとな。かなり言えない事やったやろうけど正直に言ってくれて嬉しいで。何か....とてつもない病気に侵されてますぅとかそんなん考えてたけど、想像してのとはまだええ方で良かったわ」
こんな人が居たなんて.......ティリシアは心の底から会えて良かったと思った。
「カイザー......ありがとう.....」

ティリシアはカイザーに飛び付き始まりの口付けをした。
「あ.....ん.....」
後ろから他の女性が羨ましがるような胸をカイザーが揉んでいた。
「結構....柔らかいんやな.....」
「カイザー.....」
「ん? なんや」
「鼻血出た時は.....遠慮無く言ってくれ....」
ティリシアがカイザーが女性の下着姿を見ただけでも鼻血を体制気遣い言う。
「大丈夫やって。何かしらへんけどでぃひんわ」
既にティリシアは裸体を曝け出しているのだが何故か出ない。
「そっか......ん」
その短い会話でカイザーの緊張が解れたのか積極的になる。
「そう言えば媚薬とかある?」
「ん? .....一応....あるが....どうして?」
「ちいとつかわしてもらうで」
カイザーはティリシアから受け取った媚薬をティリシアに打つ。
「カイザー.....体が熱い......」
「俺もそうなったんやで」
「んあっ!」
カイザーがティリシアの乳首を舐める。
ティリシアの顔が赤くなり息が荒くなる。
カイザーが舐めるの止め、手をティリシアの股間に持っていく。
「ああああああっ! だめぇ!」
「駄目と言われて止めへんよ〜」
ぐちゅぐちゅと部屋に響き渡る。
「あぅん!」
カイザーの指が入りティリシアの中を捏ね回す。
「かいざぁ」
「こんなにやらしい音出すなんて変態やな。ティリシアは」
ティリシアが黙りこむ。やはり恥ずかしいのだろう。
「カイザー......もう.....」
ティリシアがカイザーの肩に手を置く。
「来て.......」
ベットの上でティリシアが濡れた自分の秘部を広げカイザーを誘う。
「いくで.......」
「うん......」
カイザーが唾を飲み自分のを近づける。
「ん.....あああああああああ........」
カイザーのがティリシアの奥までとどき、暫くのその状態を維持した。
カイザーの腰が動き、ピストン運動を開始した。
「あっ..あっ..あっ..あっ..」
「どや? 気持ちええか?」
ゆっくりとだがカイザーはティリシアの胸を揉みながら腰を動かす。
「いい.....ぅん.......もっとぉ......」
カイザーは更に腰を激しく動かし絶頂を持って行こうとする。
「ぅく.....でる!」
「待って......」
ティリシアがカイザーの射精を止める。
「あ?」
ティリシアは自ら引き抜き、四つん這いになり秘部を広げる。
「最後は.....ちゃんと.....人間を感じたい....カイザーを感じたい....」
「・・・・わかった」
ティリシアの要望に答えた。
「ああああああああっ!」
再びカイザーのが入り声を上げる。
入れて間も無くカイザーが動く。
更に激しく動き既にそこまで来ている絶頂へ......
「カイザー....一緒にっ!」
「くぉぉぉぉ.....いくでぇ!」
「イクゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン
カイザーのがティリシアの奥で弾けるように勢いよく射精をする。
「あ....あ.....あ.....」
カイザーとティリシアは崩れ、呼吸を整える。
カイザーがティリシアに顔を近づけ口付けをする。
「カイザー.......」
その言葉を最後に二人は深い眠りについた。
そして二人の顔に日が差す。
「ん......朝?」
「ふぁぁぁぁぁぁぁぁ......あ〜良く寝た」
二人がほぼ同時に起きる。
「カイザー.....もう一つ言いたい事が有る」
起きて早々ティリシアがカイザーの顔を見ながら言う。
「ん? なんや.....」
少し寝ぼけている顔のカイザー。
「今日.....実は危険日なんだ」
「あ......そう......」
カイザーが寝直そうとして横になる.....
「ん? ........危険日?」
カイザーの耳に不快に残った。
「えーと、ティリシアさん.....今なんて?」
起き上がり効き返すカイザー。
その顔はほぼパッチリと起きていた。
「だから、下手すれば子供出来るかもしれないと言ったんだ」
ティリシアが笑顔で答える。
「なんですとっ!?」
宮廷内中にその声が響き渡った。
「・・・・・・まさか、ティリシアの奴.....危険日じゃあねぇだろうなぁ?」
何時ものランニングをしていた鴉の耳にも響いた。
「・・・・・カイザー。覚悟を決めるべきだな」
そうぼやき再び走り始める。
「少し黙れ。まあ、意図的に隠してたのは謝る。しかし、出したお前にも一つの責任はあるぞ?」
「ま、えっか」
ティリシアがガクっと体をこけた感じに動く。
「で、出来たら結婚してくれるか?」
「まあ、それしゃあないやろ。別にええよ」
「良い性格だな......お前は」
ティリシアがカイザーの楽観的な性格を誉める。
「そお?あまりそうはおもわへんけどなぁ」
頬をかきながらも照れ笑いをするカイザー。
「じゃあ.....もう一回する?」
ティリシアが妖しくカイザーを誘った。


次の日の朝。
カイザーが宮廷内を一人で歩いている.....すると。
「うおわぁ!?」
不意に誰かに肩を掴まれた。
「カイザー君......おはよう」
掴んだ主はティリシアの兄、グリード・アザゼルだった。
「お、おはようさん......」
カイザーは終始焦った。
もしかしたら殺られる!?
そんな考えが出る前にアザゼルが.....
「カイザー君。妹を泣かせたら君、手術ね」
両肩に手を添えて仮面の中から殺意を出しながらカイザーを見たアザゼル。

(2002.11.17)


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