and the immoral happening

朝霧 水菜

エアードがバライの街に帝国の捕虜として滞在して数日が過ぎていた。
テキパキとメイリィが料理を運んできて、食卓には夕食が並べられている。
「今日はスープか・・・」
器に盛られた、湯気の立ち上る半透明な液体を見ながら、呟く。
バライの街に来てからの食生活は、それこそ平和な物だった。
少なくとも、時雨の料理に比べれば、全てマトモな物に思えるかもしれないが。
何か、香辛料でも入れてあるのだろうか―鼻腔をくすぐるいい匂いが漂っている。
他には、簡単なサラダや肉料理もある。帝国の郷土料理なのか、クレアでは見た事がない物もあった。
「じゃ、いただきます、っと」
「いただきます・・・」
「どうぞ、お召し上がりください」
全ての料理が出揃うのを待ってから、向かいに座る水菜と食前の挨拶を済ませ、
早速、美味しそうな匂いを漂わせるスープをズズッ、と飲む。
「おっ、なかなか美味しいな。丁度いいぐらいにピリッ、としていて――」
「・・・・・・・・・・・あれ?」
俺の感想の最中、直接器に口をつけて飲んでいた俺と違い、
きちんとスープで掬って飲もうとしていた水菜が、疑問符をあげる。
「メイリィさん・・・このスープ、どの調味料を使ったんですか・・・・?」
「ん?このいい匂いのする香辛料の事か?」
言いながら、また、ズズッ、とスープを豪快に口に運ぶ。
ここにある調味器具や食材などは、水菜が露店で調達してきた物が殆どだ。
本人が料理をしている所は見かけないが、その目は確からしく、そういった調達は上手い。
それとも、この香辛料はメイリィが密かに調達してきた物なのか。
「え?それは・・・丁度いい酸味がする粉があったので、それを使いましたけど?」
聞かれた本人も質問の意図が理解できないのか、小首を傾げ、メイリィが調味料棚の小瓶を指す。
それを聞いた水菜の顔が、より一層、険しくなるのがわかった。
「どれくらいの量を使いましたか?」
「なあ、それって一体、なんなんだ?」
流石の俺も、不安になって、スープを置いて尋ねる。
まあ、調味料の棚に置いてあるのだから、まさか毒薬とかではないだろうが。
「えっと、確か、小さじ二杯ほどだったと思いますが・・・あれって何なんです、水菜様?」
メイリィもますます訳がわからなくなり、明らかに混乱している。
2人が疑問符をあげる中、水菜は、青ざめた顔つきでポツリと呟いた。
「マムシとすっぽんのエキスの水分を蒸発させた粉末に、軽い酸味料を混ぜた物です・・・」
「なっ!Σ( ̄□ ̄;」
とんでもない物の名前を聞いて、思わず吹き出す。
あ、ヤバイ・・・目の前が・・・・真っ暗に・・・・・
「少量では滋養強壮に効くですが、加減を間違えると媚薬効果が・・・って、エアードさん!?
気づいた水菜が駆け寄ってくるのがわかっていたが、それも間に合わない。
「そんな物は・・・封印しとけ・・・・ぐふっ」
そう呟いたのを最後に、俺の意識は深い闇の中に落ちていった・・・

―どれぐらい、時間が経ったのか・・・
まだ完全に意識が覚めていない夢見心地の中で、俺は漂っていた。
―何だか、とても気持ちがいいな・・・
全身がフワフワとして、とっても心地よかった。
それに、何だか下半身の辺りに生暖かい感触がある。
「んっ・・・ぷっ・・・っ・・・・」
途切れ途切れに聞こえる、囀るような、押し殺した音。
―俺は・・・どうしたんだっけ?
段々と、意識が覚醒に近づいているのがわかった。
それと共に、欠損していた記憶も戻ってくる。
―確か、夕食を食べていて、それで・・・・
うっすらと瞼を開け、俺はそこでようやく自分が寝かされている事に気づいた。
「くっ・・・・・!」
唐突に、脳髄をひっくり返されたような刺激に襲われて肉棒が脈打ち、
堪えられずに、思わず、俺は精を放っていた―何がどうなってるんだ?
―ゴクッ・・・
何かを飲み込む音が聞こえ、不思議な感触に、俺は逸物が何かに包まれているのを感じた。
1度、精を出した事で頭がスッキリとしたのか、急速に意識が戻っていく。
「ぶっ・・・・!!」
―そして、目の前の光景に驚愕した。
俺の足の間に体を割り込ませた水菜が、熱く猛っている逸物をその口で咥えていたのだ。
既に何度か射精しているのか、その顔には所々に口で受け止め切れなかった精液がついている。
「な、何しるんだ、お前・・・?」
呻くようにして、水菜に問いかける―その間にもビクンッ、と肉棒が脈打ち、俺は射精していた。
別に、水菜の技術は稚拙な物だった。単純に、俺が興奮し過ぎているんだ。
それでやっと思い出した―確か、俺は夕食のスープを食べて、意識を失ったんだった。
水菜の話によると、それは大量に摂ると媚薬効果を持ってしまうとか、何とか。
「あ、エアードさん・・・気がつきましたか・・・・?」
口の中に放たれた精液を飲み込んでから、水菜が肉棒を咥えたままで、上目遣いに俺を見やる。
(うっ・・・・・・)
その目を見ただけで、また達しそうになるのを堪える。
大方の事情は飲み込めていた―気を失った俺を寝室に運び、そこで今のように・・・
(待て待て待て・・・俺は一体、何をやらせているんだ?)
冷静に考えると、かなり情けない―女に猛りを鎮めてもらっていたなんて。
「ちょっと・・休んで・・・いいですか? 流石に顎が疲れて・・・」
言って、申し訳なさそうな顔をしながら、水菜が肉棒から口を離す。
―本当にそういう顔をしなければいけないのは、俺の方だというのに。
「って・・・お前、どれぐらいやってたんだ? その・・何だ・・・フェラチオを」
視界の届く範囲で時計は見当たらなかった。
ここで迂闊に動けば、それだけで猛烈な快感に襲われるだろう。
今、水菜は顔を離しているんだ―その顔にぶちまけてしまうという事態だけは避けたかった。
「んっと・・・大体・・1時間ぐらい・・ですね」
「いち・・・・」
思わず、言葉がどもる―さっきの調子だと、どれぐらい達していたか知れた物じゃない。
というか、それでも全く衰える気配を見せない、あの粉の効果も恐ろしい物だが。
「なあ・・・あの粉の効果って、どれぐらい持続するんだ?」
幾ら強力とはいえ、何が何でも1日はもたないだろう―というか、それは本当に困る。
「飲む量にもよりますけど・・・2、3時間ぐらいだと思います・・・・」
「って事は、あと1時間以上はこの状態って事か・・・それもそれで辛いな」
言ってから、どうしたものかと考え込む―体に毒だというわけでもないから、解毒剤もないだろうし。
かと言って、このまま水菜に慰めてもらっているというのも何だか気が引ける。
「まあ、まずはそれよりも・・・」
「あっ・・・・」
肩を掴まれて、水菜がピクッ、と体を震わせるが、それに構わず力任せに引き寄せる。
そして、手近にあったタオルを取って、その顔についた精液を拭き取ってやる。
媚薬のせいとはいえ、水菜の顔を俺の精液で汚したまま、というのは、何とも嫌な気分だった。
「あ、ありがとうございます・・・」
「礼はいいさ。というか・・・お前、フェラチオとかに抵抗感ってないのか?」
顔を近づけているせいか、頬を赤らめながら俯き加減で呟く水菜に、聞き返す。
よくよく考えれば、今までこいつを抱いた中で、まともに、ってのはなかったと思うが。
「ない事はないですけど、あのまま放っておいたら血管が破裂して死ぬかもしれなかったし・・・」
そこまで言って、水菜の顔が更に真っ赤になるのが、薄暗い部屋の中でも見て取れる。
「エアードさんの、でしたから・・・」
ああ、そうか―どこか不思議と落ち着いた気持ちで納得する。
コイツはこういうヤツだ―依存した相手であれば、何であろうが受け入れようとする。
(だからこそ、か・・・・)
だから、俺はコイツのそういった部分に依存してはいけない。
依存し合えば、それは片方に何かがあった時、互いの破滅を招くだけだと、知っていたから・・・

「や、やっぱり、汚いですよ・・・」
俺のほうにお尻を向けて四つん這いになりながら、水菜は顔だけで振り向き、そう言った。
お互いに、服は既に脱いで、裸身を見せ合っていた。
裸を見られるのは3度目―いや、4度目か―とはいえ、恥ずかしいのか、白い肌は朱に染まっている。
「って言ってもな・・・お前の感度だと、1時間もしてたら、壊れてしまうだろ?」
言いながら、お尻の割れ目を開く―コイツの過敏さはこの前ので思い知らされている。
だとしても、“こっち”で感じない、という保証も全くないわけだが。
「余り体に力を入れるなよ・・・入れると本当に痛いだけだからな」
「は、はい・・・あっ・・・くっ・・・・」
小さくすぼんでいるお尻の穴に肉棒の先を宛がい、力任せに捻じ入れた。
さっき、軽く慣らしてやったとはいえ、それでもキツイのか、水菜はシーツを掴んで瞳を固く閉じている。
本当はその程度では済まない痛みのはずだが、今はそんな事を考えても仕方がない。
何とか亀頭を入れた所で、その窮屈さに俺は早くも精を放っていた。
熱い液体が直に直腸に流れ込む感覚に、水菜がビクッ、と体を震わせたが、何も言ってはこなかった。
自分自身、全く萎える気配を見せないモノに内心で驚きながら、腰を進めていく。
「うあっ・・ぐっ・・・さ、裂けちゃいます・・・・」
ズブズブと自分の内臓を抉られて、耐えられなくなったのか、そう呟くのが聞こえる。
確かに、本当に裂けてしまうのではないかと思えるぐらい、ギシギシと嫌な音をたてていた。
しかし、それは中に入れる方としては、それだけ締め付けがキツイという意味でもある。
何とか根元まで入れた途端、俺は2度目の射精をしていた―今度はより深くに。
「・・・・・・っ・・・ああっ!」
また、それに応えるように水菜の体が跳ねる―悦びともつかない、曖昧な反応で。
「動かすぞ・・・」
互いの呼吸が整うのを待ってから、言って、俺は内臓を削り取るかのような律動を始めた。
水菜が漏らす、苦痛の中に僅かに悦び入った声を聞きながら。

―30分後・・・
「結局、1時間はもたなかったか・・・(==;」
「ご、ごめんなさい・・・・」
ベッドの上で申し訳なさそうにちょこんと座り込んでいる水菜を見ながら、呟く。
水菜が言った粉の持続時間の見立てが間違っていたわけではない―俺の肉棒はまだまだ元気だ。
もたなかったのは、水菜の体の方だった―それも、苦痛にではなく、悦びに。
最初の内こそ痛みの方が勝っていたが、10分ぐらいもすれば、慣れからか悦びが勝り始めた。
それから何度か達し、そのまま変な方向に進む前に俺の方からやめたのだった。
ここで水菜に特殊な性癖を植え付けでもしたら、後から紫苑に何を言われるかわかったもんじゃない。
「あと30分ぐらいなら・・・ゆっくりやれば、前でももつかな」
何か、物凄い思考をしているような気がしたが、敢えて無視しておく。
「え、ま、前って・・・きゃっ!」
水菜が言い終わるよりも早く、その腕を掴み、強引に引き寄せた。
小さな悲鳴を上げて、俺に凭れ掛かるように水菜の体が覆いかぶさる。
軽く汗ばんだ体とは対照的な、水菜の髪の匂いが鼻をくすぐる。
「・・・・そ、その・・・本当に・・優しくしてくださいね・・・・」
「・・・どうだろうな」
念を押すように呟く水菜に軽く笑いながらそう返し、閉じられた水菜の足を開く。
太股を伝う液体には、愛液に混じり―お尻の方から零れてきたのか、白濁の液体もある。
それを見ながら、腰を掴んで、引き寄せ、
「んん・・・ああんっ!!」
初めてのときに比べれば大分と慣れてきた中に肉棒を挿入していく。
この時に気づいておくべきだった―理性がそろそろ働かなくなってきている事に。

―更に30分後・・・
「はぁ・・・はぁ・・・やっと、落ち着いた・・・か?」
荒い呼吸を整えながら、やっと体の火照りが治まり、感覚も元に戻った事を実感する。
自分で調達してきただけあって、水菜の見立ては確かに正しかったようだ。
「おい、水菜。だいじょう・・・ぶっ!Σ( ̄□ ̄;」
さっきから静かだった水菜の方を見て、思わず吹き出す。
水菜は焦点の定まらない瞳で虚空を見つめながら、体をビクビクと痙攣させている。
その秘裂からは大量の精液が溢れ出していた。
(そういえば・・・途中から、何だか気持ちよすぎて・・・・)
頬を嫌な汗が伝うのを感じる―これはヤバイ。とってもヤバイ。
『あ〜あ・・・とうとうやっちゃったねー』
ああ、小雪の幻聴まで聞こえてきやがった。
「おいっ! 水菜、しっかりしろ!!」
悪寒を振り払うように、ガクガクと肩を揺さぶりながら、叫ぶ。
虚ろだった水菜の視線が定まり、弱々しく、俺を見、
「エアードさん・・・激し・・過ぎ・・・ガクッ」
「ノーッ!!Σ( ̄□ ̄;;;」

(2002.10.19)


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