リレー形式SSシリーズとりあえずの一発目
御剣 叢雲
「帝国側のレヴァイアの将として戦うと言っても兵士は帝国の兵士である…」
叢雲はぶつぶつとつぶやいていた。
「だから実質は帝国の将軍と変わりは無い……か」
どうやら誰かに言われたことをそのまま反芻しているようだ。
そしてそういう理由で叢雲は帝国将軍、アリサ・ハウンド・フォックスバットと会うことになっていた。
――厚底靴の準備は完了 いつもより分厚いものを履いている
――背伸びして伸びる背の高さは?ばっちり計算済みだから非常時には使える
――向こうの身長を低く見せるための浅い落とし穴も掘り終わった
「……よしっ」
気合十分の叢雲の前にフガクに乗ったアリサが姿を現すと、叢雲は一目散に地平の彼方目指して逃げていった。
しかし、いくら素早い(逃げ足の速い)叢雲と言えど、駿馬として名高いフガクにかなうはずは無かった。
出だしはよかったものの数秒後にはあっさりとフガクが追いついてくる。しかし追いついたフガクはそのまま叢雲にペースをあわせて叢雲の後頭部が息遣いを感じられる程度の位置を保って走る。
しかししばらくするとそれにも飽きたのか、突然フガクは走っている叢雲のツインテールの片方にぱくりと噛み付いた。
「!!…………………」
叢雲は器用に走るスピードを落としながら気絶した。
そしてアリサはその間中ずっと特等席からその眺めを見て笑っているのだった。
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