序章・出会い
御神楽 薙
今から1年と少し前。御神楽 薙は人生の分岐点のひとつに差し掛かっていた。
クレア・帝国の国境付近
薙「・・・・・なあ、親父。」
仁「あん?なんだ、息子?」
薙「どうしてオレ達はこのクソ暑い中走ってるんだ?」
仁「なんだ、ついにボケたか? まだ筆卸もすんでねえのに・・・。あんな厳つい兄ちゃん達大勢が鬼のような形相で追っかけてくるんだ、逃げるに決まってるだろうが。女はともかく男に追っかけられて喜ぶ趣味はオレにはねえよ」
薙「・・・・・・・。じゃあ、質問を変える。なんでこんな状況になってるんだ?」
仁「まあ、仲間が殴り倒されたらそりゃ、怒るだろうが」
薙「・・・・。で殴ったのは?」
仁「オレ♪ だって男に体なんかまさぐられりゃ、つい裏拳の一発もでらぁな。」
薙「こ・の・クソ親父ぃ! 国境警備隊のボディチェックだろうが!!」
仁「でもなぁ」
薙「でももくそもあるか! どーすんだよ!? あいつら無茶苦茶殺気立ってるぞ!?」
仁「そら、さっきの行動に加えて帝国領土への不法侵入も加わっちまったからなぁ。この大陸はかなりキナ臭いことになってるみたいだから、そりゃ殺気立ちもするだろう」
薙「わかってんなら少しは我慢くらいしろよ! おまけに、よりにもよってなんでこっち(帝国側)に逃げんだよ?」
仁「クレアはもう行ってねえ場所なんかねえだろうが。同じ場所に2度も行ってもつまらん。」
薙「この・・・馬鹿親父ぃぃぃ・・・。」
(・・・・ドドドドド!)
仁「ん? ドドドドド?」
薙「おい・・・。親父、騎馬まできやがったぞ・・・(汗」
仁「みたいだな・・・。よしゃ、ここは二手に分かれるか。帝都で落ち合うぞ。」
薙「くそっ、もうどうにでもなれだ!」
その後、騎馬交じりの追撃隊から不眠不休で逃げること数日・・・。帝都路地裏・最奥
薙「ぜー、ぜー。よ、ようやく撒いたか・・・。」
薙「よく考えたら、この状況で帝都になんか近づけば、追撃がもっときつくなるに決まってるじゃないか・・。」
(・・・・・・っ!)
薙「ん? なにか聞こえるな・・・。」
(・・!)
(・・・・・・っ)
薙「・・・なんだ?喧嘩か?」
路地裏・奥
女性「なんですか、あなた達は? 私は任務中です! そこをどいてください」
男「へへ、いいじゃねえかよ・・・。少し付き合えって」
女性「お断りします。現在の任務は何を置いてもなさねばならない大事なものです。一分一秒でも無駄には出来ません!」
男「ごちゃごちゃうるせぇな、こいっつってんだよ!」(グイッ)
再び路地裏・最奥
薙「あ〜、世界中、どこに行ってもこういうことはあるんだよなぁ(溜息)」
薙「まったく、こっちは疲れてるのに・・・。」
路地裏・奥
女性「・・・・・いいかげんにしないと、私もいつまでもおとなしくはしてはいませんよ。」
男「へへっ、どうおとなしくしないのか・・。」
薙「ちょっとまった。」
女性「!?」
男「あん? なんだ、てめぇ・・・。」
薙「やめとこう。その人、いやがってるよ。」
男「・・・・。」
男(ブンッ)
薙(ヒョイ)
男「なに!?」
薙「問答無用か・・・。仕方がないな」
薙(ブオンッ)
薙(ズガンッ!)
男「・・・・。ひ、ひい!?」
女性「い、石畳を素手で粉砕した・・・?」
薙「・・・まだ、やりますか?」
男「う、うわぁぁぁ、ばけもんだぁ!!」(スタタタタタタ)
薙「さて、大丈夫ですか? 怪我とかはないですか?」
女性「は、はい。」
薙【・・・うわ、綺麗なな人だなぁ】
女性「あの、すみません・・・。少し待って下さいね。」
薙「?・・はい。」
女性(ガサガサ→何かの紙を開いている)
女性(じーっ→薙を見つめる)
薙「え、えと、なんでしょう(赤面)」
女性「手を、出してもらえますか?」
薙「?・・・は、はい。」
薙(すっ→手を出す)
女性(ガチャリ→手錠をかける音)
女性「逮捕させて頂きます」
薙「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
女性「私は帝国軍のジョシュアというものです。手配書に記載されている関所破り、領土不法侵入、職務執行妨害、障害、それに今の公共物、器物破損、その他もろもろの罪であなたを逮捕します。」
薙「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。【ああ神様、なんでオレってこんなに間が悪いんですか(泣)】」
ジョ「あ、でも・・・。先程は、ありがとうございました。」
薙(ドキッ)
薙「い、いや・・・。その、どういたしまして・・・。(真っ赤)」
ジョ「さて、では詰め所までご同行願えますか?」
薙「・・・・・・・・・・・・・あ、あはは〜【流石にやばいかなぁ】(滝汗」
これが薙のジュシュアとの出会いであった。
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