使節団撃破
御神楽 薙
モリス隊が撤退して数時間後…。帝都から早馬が駆けて来た。
共和国が南方のレヴァイア王国への使節団を派遣したので、援軍と合流し、これを撃破せよ、とのことだった…。
その後、敵部隊との遭遇戦が一度あり、これを撃退した後は使節団も動こうとはせず、敵軍とのにらみ合いが続いていた。
カルスケートの街・はずれにて
「…………はぁ…腹減った…」
思わず呟いてしまう。
開戦からこっち、うちの部隊はまともな補給もなしに戦い続けていた……。
食料はまだまだ備蓄があるのだが、一回あたりの食事量には制限がある。
それに、乾パン、干し肉、山菜ばかりの食事はもう飽きた……。
「…………はぁ…腹減った…」
思わず繰り返してしまう…。それくらい腹が減っている。
と、そこに一人の兵士が何かを食べながら近づいてくる。
…………あれは、確かクレアの菓子…萩とかいったかな?
「あれ、どうしたんだ、それ。」
とりあえず聞いてみる。
「ええと、よくわからないけど、うちの部隊宛てに大量に届いたそうです。補給じゃないんですか?」
「へえ、んじゃ、オレも貰いにいくかな…。」
今のところ周りに怪しい気配はなし……。すぐに戻ってこないと不安だが、少しなら大丈夫だな。
配給所までの距離はさほど無い。
何か違和感を感じて戻っても充分間に合う。
で、オレが配給所にいくと……すでに萩は残っていなかった……。
「え……もう、ないんですか?」
「ん? ああ、ジョシュア将軍のご意向で兵と町民に全部配っちまったよ?」
衝撃の事実……。空腹で、さらに思い切り期待していただけに、カウンターのダメージも大きい…。思わず膝をついてしまう……。
……まあ、ジョシュアさんの判断なら不満なんて無いけどさ………(泣
「あ、薙殿! こんな所に居られましたか。ジョシュア将軍がお呼びです。」
「何かあったのか!?」
気分を瞬時に切り替える。
「敵軍が攻撃を開始した模様! 鋼鉄参謀殿の部隊と交戦を開始したとのことです! 敵使節団も南下を開始しております! 詳しくは本陣で!」
「わかった! すぐに行く!」
オレは本陣に向かって駆け出した。
数十分後、ジョシュアさんの指揮のもと、うちの部隊は敵部隊への攻撃を開始した。
程なくアリサ隊から敵使節団撃破の報が届いた。これで、当面の目的は果たした。
しかし、このとき既に一つの大きな動きがレヴァイア王国に起こりつつあったことをオレは知る由もなかった…………。
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