蒼い月
白峰 渚
その夜の月は、一際明るく輝いていた。
月明かりの下、渚の目に映るのは…倒れた両親…そして…
銀色に輝く、十字架…
「ねぇお父さん、明日ガレス来るんでしょう?」
渚が、父親に嬉々とした表情で聞く。
「ああ、明日の朝早く到着だろうから…もう寝るぞ」
ガレス・ブルーフォース…帝国将軍である彼は、渚の両親とは旧知の仲であった。
「ガレスさん…3箇月ぶりだよね」
嬉しそうにいう蛍の頭を撫でると、そうだな、と笑った。
「何…? 何なの…わかんないよ…」
渚は、たった今目の前で殺された両親を見つめていた。
父親に刺さっていた十字架…いや、剣が引きぬかれる。
目の前に立つ黒衣の男の視線は、間違いなく渚と蛍を見据えていた。
「お…お姉ちゃん…」
蛍が、渚の袖を掴む。
「蛍…窓から逃げなさい。アタシが…何とかしてみせるから…!」
渚は恐怖を押さえつけ、転がった父親の刀を掴む。
そのまま斬りかかる…が、あっさりと弾き返される。
「無駄だよ、君に何ができる。君に出来るのは絶望だけさ」
「そんなの…やってみなきゃ分かるもんか!」
なおも斬りかかろうとする渚を、男は軽く掴み上げる。
苦しさのあまり離した刀が床に落ち、からん、と音を立てる。
「ほら…ね? 俺はこのまま君を絞め殺す事だって出来る。それとも…妹の前で犯してやれば多少は分かるかな?」
その時、男の顔が驚愕に歪んだ。
「お姉ちゃんを…離してください…!」
蛍が、ナイフで黒衣の男の背中を刺していたのだ。
「驚いたな…君にそんな行動力があったとは。だが…」
即座に蛍は殴り飛ばされ、床に倒れる。
その直後、腹部を殴られ、渚の意識は急速に遠くなっていった…
気を失う直前に渚が見たものは、月下で輝く十字架を背負う黒衣の男の後姿…
そして…一際明るく輝く蒼い月…
この当時、白峰渚14歳、白峰蛍、わずか8歳…この後、ガレス・ブルーフォースに引き取られ帝国に3年程滞在する事となる…
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過去に捧げる鎮魂歌の前の話ですね〜しかし駄文だなあ(汗
え?「過去に捧げる〜」は読んでない?
こっちに今すぐ行きなさい!ヽ(`Д´)ノ
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