邂逅(仮)〜続・『彼と彼女』〜
猫狐
パンドラが聖都クレアに着いて3日目、パンドラは鴉と共に大通りを歩いていた。
士官学校の教官兼校長をしている鴉の知人に会いに行く所だった。
前日の深夜に決めた通りクレアの将軍になる為である。
先程まで馬鹿話に興じていたが、途切れたので昨日の事を思い出す。
「私の力が役立てるならね♪」
そういって私はほんの少し微笑んだ。声と表情が合っていない。
感情が定まらない。湧き上がってきた「本性の一部」は声を変えるに留まった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・気が乗らないのか」
鴉さんが訊ねてくる。私が声と顔を合わせない事はたまにある。
だが、今回は意図したのでは無いと気付かれた。さすがに鋭い。
自分でもよく分からない部分があるのでどう説明するかしばし迷う。
「・・・・・・・・・・・・・私は本来誰かに仕えたり、忠誠を誓ったりしません。」
本音を語る。誤魔化してもかえって誤解を招きかねない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・が、それは問題ではありません。
私があくまで私の意志で闘えば良いんです。
私が自分を見失わなければ、どんな事をしたとしても
それは私の勝手の結果であり、私が私の為にやった事です。
結果としてクレアの為になったとしても、私は平気です。」
「・・・・・・・・・・・ふむ、・・・・・・・・・・・・・・だとすると何がいけないんだ?」
鴉さんは結構余裕がある。正直に話す。内容は割愛
「・・・・・・・・・・・・・と言う訳でして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
私の意志が何処まで【クレアの為】に繋がるか・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私自身が衰えているので、大したことは出来ないでしょうし………」
そして黙り込む。鴉さんは考え事をしているらしく宙をみつめている。
「…………………まあ、良いんじゃない。とりあえずは」
「本当に構いませんか? 役に立てるか分からないだけじゃないですよ。
私の存在はただクレアを引っ掻き回すだけかも知れませんよ」
「その時は俺が何とかするさ。お前一人の面倒ぐらい見れるつもりだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・また子供扱いですか。これでも年上なんですよ?」
苦笑しながら言う。前からの事なので、そんなに悪い気はしなかった。
結局、その後に明日にでも(既に日付は変わっていたので正確には今日)
クレア軍のお偉いさんに会いに行こうと言う事になった。
鴉さんの意見により「CALCM教官」なる将軍に会いに行く事にした。
何でも将軍だけでなく士官学校の校長兼教官だそうで・・・・・・・・・・、
鴉さんとの関係はよく分からないが、相当変わり者な趣味人らしい。
「そろそろ着くぞ。」
鴉さんの声で現実に引き戻される。ちっと離れた所にそれらしき建物が見える。
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