私は『私』

語り手エリー

夕食の後片づけを終えて、再び向き合う。


「さて、何から話しましょうかね?」
「何からでも」

即答され考え込む。思わず『むー』とか唸りながら
話す事は沢山あるが、話すべき事は余り無い。
真面目に考えてみても何から話せばいいのか決められない。

「強いて言うなら近況をまず聞かせろ」

救いの手が差し伸べられる。えらく無愛想だが

「近況………戦況ですか?」
「んなことは今聞いてもしょうがないだろ。
御前の近況だよ。お前自身の」

言われて、当たり障りのない辺りから話し出す。


「しかし……………」

ガグが言葉を切る。

「まさか『女』とはな……」

一応、本気で驚いているらしい。
驚いているのならそれらしく振る舞えばいいのに

「そんなに驚く程に不思議なことなのですか?
私が『女性』だということが」
「ああ、物凄く」

言われて思わず溜息を漏らす。
まあ、ガグは昔の「パンドラ」しか知らない。
それが予備知識もなく「私」に会えば仕方のないことか

「元々、女性的な部分もあった筈だと記憶していますが?」

「私の記憶違いですか?」と問いかけるのを辛うじて堪える。
今、問えば責める口調になってしまうだろうから

「でも、『女性』ではなかった」

また溜息を漏らす。的確過ぎて痛い。

「ガグ、あなたは知人を捜してここを訪れたのでしょう?」
「無論だ。」
「なら問題ないでしょう。私はパンドラの名を持つ『存在』であり、
あなたの知人はその名を持つ『存在』で良いのでしょうから」

夕食の間、外していた仮面を懐から取り出す。

「この仮面もあなたの知人たる証になります」

そう言って仮面を渡す。ガグは仮面を細かく観察している。
暫くして納得した様子で仮面を返す。
仮面を身につけ締めくくる様に言う。

「私は『私』です。それで良いのではないですか?」

ガグはただ笑った。
声も出さず、目つきは変えず、顔だけを僅かに歪ませただけで
―――――――――されど、本当に楽しそうに

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
PL:また、暴走気味です。表現に拘りすぎて言いたい事が上手く書けてない。
   後、これで
『女性確定』です。疑惑も払拭されました。
   私の言いだした疑惑ですが・・・・・・・・・この方が良いと判断したので。

(2002.11.22)


『再会』へ

年表一覧を見る
キャラクター一覧を見る
●SS一覧を見る(最新帝国共和国クレア王国
設定情報一覧を見る
イラストを見る
扉ページへ戻る

『Elegy III』オフィシャルサイトへ移動する