モンキー・ラヴ・ダンス(ii)

アオヌマシズマ


帝都の夕暮れ。

よく言えば地味め、悪く言えばのび太。
というかオタク風の
ひょろひょろとした少年(もちろん眼鏡、バンダナ、リュックは必須)が
俯きながら歩いていた。アカラサマな負のオーラを放ちながら…
服装を見る限り、士官学校の生徒なのだろう。


「……ああ、もうなんかみんなどうでもいいや。
 ハイ、ワタクシは誰にでも負ける
霊長類サル科、ヒトモドキでアリマス」

ぼそぼそと独り言を呟きながら、尚も歩き続ける少年。

 『 俺はアザラシ 手も足も出ない
   俺はアザラシ 身動きできない
   泣いてもダメさ 叫んでもダメさ
   笑ってもダメさ 逃げてもムダさ
   息が詰まる 息が詰まる 息が詰まる・・・ 』


 「彼」は昔から運動がからしき駄目であった。
 ならば勉学は?それも中の下…といった程度。
 努力らしい努力もしない。思考は基本的にネガティヴ。
 それでも人一倍、プライドだけは高かった。
 当然、女と縁などあろう筈が無い。

 このタイプの人間が辿る道。
 暇を持て余した活発な少年達に弄ばれる…といった
 おおよそ典型的なイジメられっこが相場である。
 そのヤンチャの程度はともかく
 「彼」は内向的になっていかざるを得ない。

 「彼」が幸福なのかどうかは分からないが
 その弄ばれ具合も、彼の人間性同様「中途半端」なものだったので
 死に至る事は無く「先」を考える余地はあった。
 「彼」は「同族」を嫌った。セツナの恋から冷める様に。
 帝国が悪い。共和国が悪い。クレアが悪い。世界が悪い。
 周りの連中が利口じゃないんだよ。俺は特別なんだ。
 様々なものに対する怒り、疑問だけが残る。

 この八方塞りな状態で「彼」はどうしたか?

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シズマ 「や〜。ついたついた。
     あそこに見えるのがモンレッド集落だよ。

スケキヨ「バーネット部隊は既に進行を始めたみたいっすね。

シズマ 「兵達に準備させときな。僕らもそろそろ頃合だ。

スケキヨ「Yes S@r

シズマ 「さ〜てね〜…どーしたもんか 【煙草の煙を吹きながら】


 シズマの包帯が風に靡く。
 死闘の幕開けは間近に迫っていた。

(2002.09.09)


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