独白
ソフィア
「帝国軍の先鋒に、カオス将軍の一隊のみが立ち塞がっているようです」
アリスの言葉に、ソフィアは馬車にしつらえられた寝椅子の中で、かすかに柳眉を寄せた。
「カオス、さま・・・。あぁ。あの時アリスさまに一騎打ちを挑まれた共和国の猛将ですね。なるほど・・・あの方ですか・・・。あの方ならば、そうでしょうね・・・」
その声の響きに、感嘆の色が混ざっているコトにリリエは気付いていた。
「少数の兵ながら果敢な用兵のようで・・・。遭遇してから、もう一刻は過ぎましたでしょうか」
「まさに、一騎当千ですね。・・・共和国にも、まだ<もののふ>がいらっしゃいましたか」
「まだ、キロールさまのコトを?」
「・・・・・・・・・」
アリス将軍の言葉に、プラチナの悪魔はただ黙って透き通るような微笑を浮かべる。
「そろそろ動き始めるようです。御采配を」
その薄い朱の唇から漏れた言葉は、全く関係のない言葉であった・・・。
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