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2004年4月の図書館長日誌

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サロニア私立図書館・玄関へ戻る日誌収蔵室で過去の記録を閲覧する

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  • 2004年4月21日 23時30分47秒
    Mr. WILANTO comes back ?

    イラク問題の影響で、総選挙中であるにも関わらず影の薄くなっていたインドネシアですが、
    最近、なかなか面白い動きが2つありましたので御紹介。

    1つは、インドネシア選管のHPが改竄されたという記事。
    政党名が「桃色祖父党」「瓶詰ミネラル水党」などに書き換えられたというのです。
    ……ギャグとしてはちょっと甘いかな、と突っ込みを入れたくなりますが、それはさておきまして、2番目の記事へ。

    今回の選挙で第1党となった「ゴルカル党」という政党があるのですが、
    この党が押し立てる大統領候補(インドネシアの政治制度は、議会が大統領を選ぶという議院内閣制の色彩を帯びている)に
    「あの」ウィラント氏が選ばれたそうなんです。

    では、このウィラント氏がどういう人物だったのかを簡単に振り返りますと、ざっとこんな感じ。

    1947年4月4日、中部ジャワ生まれ
    1968年、陸軍士官学校卒
    1989年、スハルト大統領の副官に就任
    1993年、陸軍ジャカルタ軍管区参謀長に就任
    1994年、陸軍ジャカルタ軍管区司令官に就任
    1996年、陸軍戦略予備軍司令官に就任
    1997年、陸軍参謀長に就任
    1998年2月、国軍司令官に就任、同年3月より国防治安相を兼務
    1998年5月、スハルト政権崩壊。ウィラント氏は現職に留任、後任となったハビビ大統領の側近として辣腕を振るう
    1999年、東ティモールなどで暴動が発生した際、国軍を指揮し鎮圧に当たる(後にこのことが国際的な非難を浴びることに)
    1999年10月、ワヒド政権樹立に伴い、政治・治安担当調整相に就任
    2000年5月、政治・治安担当調整相を辞任し下野

    彼は90年代のインドネシア国軍の中枢に座り続け、それ故に同国の政界のフィクサーであり続けた人物です。
    元々、同氏はスハルト大統領の腹心であり、2000年に下野してからも
    旧スハルト政権の与党だったゴルカル党に身を寄せています。
    ただ、1998年のスハルト大統領崩壊時には、軍内における最大の政敵にして、
    スハルト大統領の娘婿であるプラボウォ陸軍戦略予備軍司令官を解任するなど、
    スハルト政権の崩壊に大きな貢献を為した人物でもあります。
    一方、同氏は東ティモールなどでの暴動に対する軍事行動で、欧米諸国などから悪いイメージを持たれておりまして、
    被害国となった東ティモール政府からは「人道に対する罪」で起訴されているそうです。

    なお、ウィラント氏と日本人ジャーナリスト・大川誠一氏とのインタビュー記事もありますので、
    興味のある方はこちらも御覧下さい。氏の人となりを垣間見ることができます。

    現在行われている総選挙の結果、誰が大統領になるにせよ、
    その方にはインドネシアを東南アジアの大国として復活させるだけの政治的手腕が求められます。
    日本にとっては、インドネシアの安定が国益上欠かすことができませんからね。
    その点から言いますと、このウィラント氏という人物には、旧スハルト体制に組していた人間とはいえ、
    ある程度の期待と注目を寄せてもいいのではないかと思います。
    無論、ウィラント氏に期待を寄せる場合には、東ティモールなどで国軍によって引き起こされたとされる
    人権問題の数々を「無視する」必要がありますが、
    私の場合は3年半前の時点で「無視」を決め込んだので問題ありません(爆)


    それにしても、金が掛かる選挙とはいえ、ここまでおおっぴらにやられると、苦笑を禁じえなくなります。

    今月半ば、首都ジャカルタ西部で行われた第一党奪回を目指すゴルカル党の集会。
    候補者が聴衆から一人の若者を壇上に呼び上げ、着ていたベストを渡した。
    若者が候補者に促されポケットを探ると10万ルピア(約1400円)札が見つかり、聴衆は沸き上がった。
    女性歌手が歌い始めると男性が壇上に上がり、1000ルピア札をばらまいた。
    (中略)
    選挙グッズも帽子にうちわ、カレンダー、時計、たばこなど多彩。
    コメを配ったり、無料医療や奨学金の提供、テレビなど電気製品を賞品にしたくじ引きなど、
    各政党はあの手この手で有権者の歓心を買おうと懸命だ。

    ──ジャカルタ発2004年3月25日付共同通信社記事


    時計やタバコも選挙グッズとは、なかなかすごいようですね……。


  • 2004年4月17日 15時42分40秒
    「自作自演説」という名の疑惑

    事件発生からほぼ丸1週間、日本と世界中を混乱と不安に陥れた誘拐事件は無事に解決しました。
    日本国内などでは、人質解放を喜ぶ声が多数あがっておりまして、
    私が派遣されている会社の社内でも、勤務時間中から(爆)今回の事件が話題になってました。

    しかし、先日の日誌でも書きましたが、私は今回の事態をあまり喜んでおりません。
    解放された3人とは別に2人が失踪し、この2人も拉致された可能性が高いと見られるという事実だけでも、
    今回の人質解放劇を喜べない理由は十分すぎるほど揃っています。
    本当に「良かったね」と言えるようになるのは、拉致されていると思われる2人が解放された瞬間から。
    それまでは、失踪(拉致)中の2人の動向に目を配らねばならないでしょう。


    ……何? 「表現が遠回し過ぎる?」「もっとはっきりと意見を言え?」


    ……もうバレちまったか(何


    今回、ファルージャ近郊で発生した誘拐事件の解決を喜ぶことができない事情は、他にもいくつかあります。


    心の中で引っ掛かっていたことの1つは、被害者及び被害者の一部親戚が見せていた言動でした。
    家族の1人が「特殊部隊を入れないで下さい、絶対にそれだけは駄目なんです」とか
    「米兵が1軒1軒突入して人質を捜していると聞くが危険が及ぶのでやめてほしい」と発言したり、
    日本国民への謝罪を無視して先に「同志」への謝罪をやってしまい、
    その上テロ行為そのものに対する批判・非難の声は全く上がらなかったこと
    など、
    事件発生直後を中心に、問題発言として批判されることになる発言が数多く飛び出しました。
    他にも、2004年4月22日付の『週刊新潮』では、政府関係者のコメントとしてこんな話が紹介されていました。

    「家族の記者会見に集まった報道陣に対して、人質家族や彼等を支援する共産党系の市民団体が、
    自衛隊派遣反対の署名を集めているのです。当然,記者たちは署名を拒絶するわけですが、
    すると”何故署名できないんだ”と怒るのです。彼等は外務省を敵視していて、
    外務省から人質に関する説明を受けるときは、必ずメディアを同行させ、
    何故外務省は首相に会わせないんだと批判する始末です」

    ──2004年4月22日付『週刊新潮』より抜粋

    (政党巡りの際に)「その時、家族を支援する市民団体がテレビカメラを持参して、
    ビデオで撮影、自分たちの主張を訴えているのです。自分たちの立場を最大限に活用し、
    自衛隊イラク派遣反対を世間にアピールしているのがミエミエですね」

    ──2004年4月22日付『週刊新潮』より抜粋

    これでは、自覚のある無しに関わらず、
    「被害者家族が取る姿勢としては少々図々しいのではないか」と批判されても仕方ありません。

    なお、誘拐事件の被害者が小泉さんとの面談を拒否されたことについて批判の声が上がっていますが、
    小泉さんが面会を拒絶した理由は「機密保持」だと言われています。
    しかし、上記記事のような露骨な政府批判が事実だとすると、
    本当に機密保持だけが原因だったのか疑問に思わざるを得ません。
    (下手に被害者家族と会った結果、彼らに会見の様子を政治的に利用されることを恐れた可能性や、
    誘拐事件に関する情報が被害者家族を経由して表沙汰になることを恐れた可能性もあります)

    また、誘拐された当事者も、解放直後のアルジャジーラとのインタビューで
    今後もボランティアや写真家としての活動を継続する意思を表明したことや、
    日本の外務省から17回も退避勧告が出ているのにもかかわらず、
    「日本政府から『世界で最も危険である』と認定されている」イラクに
    事実上丸腰のまま入国してしまうことなど、その言動に問題が全く無いとはとても言えません。
    無論、イラク国内で殺される可能性もあるわけでして、入国した誘拐被害者達には相応の覚悟があったかもしれませんが、
    彼らを送り出した家族やNGO関係者(場合によっては被害者本人)の危機意識が甘いと非難せざるを得ないのは事実です。
    「イラク国内が危険であるからこそ、人道支援に丸腰の民間人ではなく武器を持った制服自衛官が派遣された」
    という事実をどう考えているのでしょうか?

    最近では、当事者の皆さんも言動に注意するようになったようですが、
    過去の言動が被害者とその家族に対する心象をかなり悪化させたのは疑いようの無い事実。
    2ちゃんねるなどインターネット上の掲示板には、
    被害者及びその家族に対する度を越した批判や誹謗中傷を行う書き込みも多数存在します。


    そんな、インターネットにおける誘拐事件関連の書き込みで、最も目を引くのがこんな意見でした。

    「今回の誘拐事件は自作自演だったのではないか」

    インターネットでニュースをあまり御覧にならない方にとっては「ハァ?」と首を傾げたくなる意見ですが、
    現在、インターネット上では、この自作自演説が、「出来立てほやほやの武装組織が起こしたお粗末な事件」説と並び、
    今回の事件の背後関係を説明する最有力説の1つとして扱われているのです。

    元外務官僚だった安全保障問題と危機管理の専門家も、
    産経新聞の上でこんなことを言い出しています。

    今回の事件ははじめから背後関係を含め、不自然で不可解な部分が多すぎる。
    事実がどのようなものであり、犯行グループと三人がどのような関係であったのかを突き詰めて解明してほしい。

    ──2004年4月16日付産経新聞第2面に掲載された森本敏・拓大教授のコメント(抜粋)

    他にも、そのストレートな物言いが2ちゃんねらーの好評を博しているという
    民主党所属の衆議院議員・西村眞悟さんはこんなことを話しています

    このところ、イラクでは各国の民間人が襲われている。
    三人の日本人と同時期に誘拐された外国人は、英国、カナダ、韓国など数カ国の人々である。

    しかし、イラク派遣軍撤退を要求されているのは日本だけだ。私は、このことに注目している。
    テロリストも、効果がないことはしない。効果があると分かれば、それをする。
    したがって、日本には、日本人を誘拐して人質にして自衛隊撤退を要求すれば、
    「効果がある」と犯人は判断してしているのだ。

    では、英国やカナダやその他イラクに軍を派遣している三十数カ国のなかで、
    日本には人質作戦が効果があると何故犯人は判断したのであろうか。
    二つ考えられる。
    一つは、犯人が独自に日本国内の特殊な政治情勢を研究して判断した。
    他の一つは、日本人が犯人にそれを教えた。「効果があるぞ、やってみないか」と
    イラクにいる日本人が日本人誘拐という道具を使って自衛隊撤退を要求する手法を教えたというわけだ。
    (・・・かつて、美しい珊瑚を自ら傷つけておきながら自然保護を訴えた朝日新聞のやらせ記事を思い出した・・・)

    ──2004年4月9日付『眞悟の時事通信(イラクにおける人質・・・現時点における見解)』より抜粋

    さて、イラクの犯人達の要求が「自衛隊撤退」であるから、
    この国内の運動と、イラクの犯人の要求は,見事に一致している,ということになる。
    イラクと日本に、シンジケートがあると思われるほど一致している。
    思えば、人質被害者の家族の最初の記者会見でも、「自衛隊撤退」が強調されていた。
    自衛隊派遣という余計なことをするからこのたびの事件が起ったというような雰囲気であった。
    そして、犯人の第二回の声明文(四月十日付)からも明らかなように、
    犯人は,日本国内のこの動向を知っているのである。

    ──2004年4月14日付『眞悟の時事通信(事態の推移がみせる全体像)』より抜粋

    では、自作自演説がどういう根拠に基づいているのかについて、大雑把に触れたいと思います。
    より詳しい記事についてはこちらのサイトに掲載されていますが、
    サーバの問題などによってこの記事が消される可能性もありますので、私のサイトでもある程度詳しく書くことにしました。
    (結果として、似たような記述になってしまいますがどうか御容赦を。
    なお、括弧内に図書館長としての私見を記しています)

    「自作自演説」の根拠

    ●事件発生時の状況について
      ○被害者3人と同行していたタクシー運転手が行方不明である
      ○同時刻に事件に出くわした韓国人牧師が「荷物が燃やされていた」と話していたが、
       解放された被害者3人はまとまった量の荷物を持っていた。
       (これについては韓国人牧師が誤認している可能性も高い)

    ●犯行グループについて
      ○装備している武器が、イラクで一般に使われているカラシニコフAK47ではない。
      ○首藤信彦さん(民主党衆議院議員・元伊藤忠商事社員で危機管理の専門家)が
       4月11日放送の「サンデープロジェクト」で、
       「被害者と共に映し出されている犯人達の持つ武器は新品であり、銃弾の互換性が殆ど無い」と解説。
       (つまり、武装組織が結成されてから日が浅く、本人達も経験不足である疑いが濃厚ということである。
       自作自演説に否定的な人々も、武装組織の歴史・経験の浅さについては共通した指摘を行っている)
      ○人質の身体を拘束していない、窓を開けた状態で脅迫用画像の撮影を行っている、
       床に座らせている人質の側に機関銃を放り出しているなど、犯行の手法に落ち度がある。
       (これも前項と同様、犯人達が荒事に慣れていないという客観的証拠になる。
       しかし、機関銃から弾をちゃんと抜き取っていた可能性もあるため、正確なところは不明)

    ●犯行声明について
      ○宗教的修辞が少なすぎる。
       (少なくとも、実行犯が狂信者ではないことだけは確かである)
      ○「3日以内に自衛隊はイラクから撤退せよ」という無謀な要求を行っている。
       (人質事件では、犯人側が最初高飛車な要求を出すことも珍しくないとはいえ、
       物理的に履行不可能な要求を出されると、さすがに首を傾げたくなる。
       もしかしたら、「武器を置いて今すぐ逃げ出せ」という意味で使ったのだろうか?)
      ○自衛隊に対する撤退要求だけで、アメリカとイギリスに対しては何も言っていない。
       (人質なんて取らずにその場で殺すということなのだろうか?)
      ○事件発生から1日でCD-Rがバグダッドに持ち込まれるなど、犯行声明作成があまりに手際良すぎる。
       (被害者の1人がビデオカメラとiBookを携帯していたため、物理的には犯行声明の作成は可能。
       これとは別に、犯人達がPCを持っていたことも十分に考えられる)

    ●解放声明について
      ○暦の書き方が日本式(年/月/日)である。
       (ただし、アラビア語は右から左に読む言語であることを考えると、さほど不自然でもない)
      ○「広島」「長崎」の記述でスペルミスを犯している。
       中東調査会は「アラビア語を母語とする者が書いた文章としては不自然」と分析している
      ○「ファルージャでは、米国は禁止された兵器を用いている」と書きながら、
       同市内で発生したモスクに対する攻撃による民間人殺傷には一切触れていないなど、
       ファルージャでの戦闘に関する記述に不自然さが漂う。
       (「禁止された兵器」とは劣化ウラン弾のことを指すと思われるが、アメリカの非道を正すのなら、
       劣化ウラン弾ではなくモスクでの民間人殺害に触れるほうが説得力があるし自然である。
       余談だが、現在、劣化ウラン弾を禁止する国際条約は存在しない。
       「非人道的」ならば納得もできるが、「禁止」という言葉には疑問が漂う)
      ○犯人達が日本の政治状況を詳しく知っている。
       (犯人達がアルジャジーラTVを見て勉強していた可能性も十分にありうる。
       また、誘拐被害者が犯人達に解放を働きかけ、その際に日本の国内問題について言及した可能性もある)
      ○解放宣言に、イラクでは(通信回線のせいで)使用が困難なファックスが使われていた。

    ●その他指摘された問題点
      ○犯人達の主張と誘拐被害者の主張がかなり重なっている。
       (単なる偶然だと考えられるが、原爆の話を出してモスクでの虐殺の話を出さないなど、
       犯人グループが被害者の主張・意見に配慮した可能性は存在する)
      ○出発直前の被害者3人の言動について、証言に矛盾が見られる。
       朝日新聞の記事では、イラク渡航を最も強く主張していたのはカメラマンだったが、
       産経新聞の記事では、そのカメラマンは最初イスラエルに入る予定だったらしい。
       双方の記事を満たす解釈は存在するものの、気になる記事ではある)
      ○中日新聞の記事によると、被害者の1人が犯人グループに近いと見られる武装組織の人間と
       接触を持っていたと見られる。
       (単なる偶然の可能性が強いが、自作自演説の主張にはこの接触も援用されている)
      ○被害者の1人が運営しているサイトの掲示板に、別の被害者が事件の存在を匂わせる書き込みを行っていた。
       (問題の書き込みのタイトルは「ヒミツの大計画!(笑)」。投稿時間は2004年4月7日午前9時57分。
       「これってサイコーかも?(笑)」「歴史に名前を残す大偉業のような気がする!」
       「そのうち日本でもニュースになると思う」などと書かれていた。
       書き込みの現物は2ちゃんねるで確認のこと。
       ただ、掲示板が閉鎖されている現状では、真偽の確認ができず、
       「2ちゃんねらーによる自作自演」の疑いを払拭できないため、
       自作自演の判断からはこの掲示板の存在を除外せざるを得ない)
      ○人質の映像が流れた翌日の4月9日になって、左翼系団体による反自衛隊キャンペーンが一斉に開始されたこと。
       (これも偶然と言ってしまえばそれまでであるが、デモの許可を取るためには
       デモの72時間前までの申請が必要であることを考えると、
       偶然にしてはあまりに左翼系団体に有利過ぎる偶然であり、故意を疑われる結果になっている)

    この自作自演説に対する私の判断は半信半疑といったところです。
    誘拐事件の発生経緯や被害者と加害者の関係については情報がまだまだ少なく、
    今回の誘拐事件を自作自演だと断言することなどとても無理です。

    最もありえそうなのは、「人質がストックホルム症候群に掛かっているだけでなく、
    現地民である犯人達も人質に同情していた(または被害者の人選を間違ったと後悔し罪悪感を抱いていた)ため、
    犯行声明や解放声明に誘拐被害者の意向・主張が色濃く反映され、
    自作自演を疑われる結果を招いてしまった」
    という展開だと思いますが、
    これも私自身の憶測の域を出ないものです。

    自作自演説の根拠として述べたことも、「2ちゃんねる」を中心とした「インターネットにおける右系『言論』勢力」が、
    ニュースなどで報じられている事実関係を元に考え出した、相応の根拠は存在するものの
    確証や裏付けを取ることが難しい憶測(「左」から言わせると「妄想」)でしかありませんでした。
    しかし、事実関係だけを眺めてみると、疑われても仕方の無いだけの状況証拠が揃っていることもまた事実。
    誘拐事件が自作自演だったのではないかという疑惑も含め、事件に対する詳しい調査は不可欠となるでしょう。


    いずれにせよ、今回解放された日本人人質3人を
    日本人3人と同時期に誘拐され、「イタリア人がどうやって死ぬのか見せてやる」と叫び非業の死を遂げた
    ファブリツィオ・クワトロッチさんと同様に英雄扱いすることは絶対に不可能です。
    そのような疑惑が一旦生じてしまった以上、疑惑の払拭には長い時間が掛かりますし、
    事件中に見せた親戚の対応の拙さも、結果的に人質3人への評判を下げることになってしまいました。
    あれだけ大騒ぎになったこともありますし、外務大臣の言葉じゃないですけど、
    イラクの安定が回復するまでは、イラクへの再入国は遠慮してもらわざるを得ないでしょうね。



    最後になりますが、ファブリツィオ・クワトロッチさんとその御遺族に心からの哀悼の意を送ります。

  • 2004年4月15日 23時37分40秒
    喜ぶのはまだ早い

    先週イラクで誘拐された3人は無事に解放されました。
    これはこれで喜ぶべきことなのでしょうが、
    日本人2人がバグダッド郊外のアブガリブ付近で武装勢力に拘束されたとの
    情報が流れている状況では、まだ「完全」解決というわけではありません。
    人質解放のニュースにうかれるには早すぎますよ。

    事件の事実関係については、調べれば調べるほど不可思議な情報が出てくるのですが、
    その情報が真実なのかどうかがいまいちはっきりと分からず、記事には書けない状態です。

  • 2004年4月10日 5時46分40秒
    犯人は原理主義者じゃありません?

    昨日の日誌では軽く触れただけの、イラクでの日本人拉致事件。
    今のところ、政府は考えられる選択肢の中では「ほぼベスト」の選択肢を選び続けているようです。
    事件開始直後に、犯人から要求されていた自衛隊のイラクからの撤退に対して拒否を明言し、
    あらかじめ作成されていた危機管理マニュアルに基づいて、情報収集活動に全力を挙げ、
    必要とあらば警察内の特殊チームを現地に派遣することも検討し、人質救出作戦にも対応可能な状態を作る
    ──「人命は地球よりも重い」という迷言を残してテロリストに屈した30年近く前の事件と比べ、
    政府の示す対応にはあまりにも大きな差が見られます。
    まあ、30年近く前の事件の対応がどうしようもなくお粗末だったこと
    (問題の事件では、獄中にいた日本赤軍のメンバーに600万ドルを持たせて釈放するという解決策が取られました)を考えますと、
    事件発生直後に「自衛隊は撤退させない」と明言したことは的確な対応だったと言えるでしょう。
    自衛隊のイラク派遣に反対していた民主党も、今回の政府の対応は好意的に評価しているようです。
    私の知る限りでは、社民党・共産党に同調してイラクからの自衛隊撤退を要求している大新聞は朝日新聞のみ。
    (毎日新聞はテロリストを徹底的に非難する側に回っています。民主党の意見ではないですけど、
    「『テロリストの要求を受け入れる形で』イラクから撤退するのだけは論外」という姿勢のようです)

    事件経過から既に丸1日経過していますが、政府関係者の皆様は現地からの情報不足に最も頭を悩ませている御様子で、
    外務副大臣をヨルダンに派遣して情報収集に当たらせるなど、事件発生直後から矢継ぎ早に対策を打っています。
    私のほうも、記事を書こうにも判断材料となる情報が少な過ぎて、あまり多くのことを書くことができない状態です。
    ただ、アルジャジーラなど外国メディアが放送していた人質3人の映像を見たり、
    事件に関する報道を色々と聞いたりしていると、犯人グループ「サラヤ・ムジャヒディン」の言動に
    どこか妙な点が多いという気がしてなりません。
    「犯行声明にイスラム暦が使われていないこと」や、「ほぼ同時に捕まった韓国人数名は解放されている」こと、
    「アメリカやイギリスを脅迫していない」こと、「脅迫文に宗教的修辞が皆無であった」こと、
    「人質を逮捕・監禁する為の道具──手錠・縄などが一切使われていない」ことなどを見ると、
    少なくとも、この種の犯罪に長けたプロの人々の犯行ではなさそうですし、
    イスラム教の教えを曲解するほど厳格に守る原理主義者の犯行でもなさそうです。
    荒事が得意ではない元バース党員か地元の強盗団による犯行……というのが一番ありえそうですが、
    犯人がプロであるとはとても言えず、このことが余計不安になります。
    うまく解決できればいいのですが……

  • 2004年4月9日 2時30分40秒
    裁判所はどこまで口を出すべきか

    イラク情勢が「緊迫」という言葉では生易しいくらいに混乱している今日この頃。
    日本人誘拐事件も含めたイラク問題については別の機会に譲るとして、今日は先日行われたとある裁判の話を。



    1995年に、私が東京都内の国立大学(法学部)に合格して以来、かれこれ9年が経過しました。
    その9年の間に、東京都内にある名勝や観光スポットを一通り見て回り、
    公用とはいえ一部の政府機関に足を踏み入れることもありました。
    しかし、一昨日になって気付いたことなのですが、「靖国神社」という場所には1回も行ったことがありませんでした。
    その理由は「神社の正確な場所を全く知らなかっただけ」という何とも間抜けなものでして、
    東京都内やその周辺にある有名な寺社──明治神宮や川崎大師などにはお参りしに行ったことはあるものの、
    皇居の北西側(だよね?)にある靖国神社の境内に足を踏み入れたことは1回も無かったのであります。
    すぐ側にある日本武道館なら、大学の入学式とコンサートで合計3回行ったことがあるのですが(爆)
    毎年のようにニュースで騒がれているのを見ていると、「1回くらいは見たほうがいいかな」という気にさせられます。
    無論、「ニュース種を集める」という意味も含め、2月11日や5月3日や8月15日など
    日本の左右のマスコミが大騒ぎする日を狙って参詣する予定ですが(爆)

    ……で、この靖国神社に首相が参詣したことが違憲とされる判決が、昨日の福岡地裁で出されたわけですが、
    先日は、その正当性や是非について、様々なマスコミが騒ぎ立ててる状態にありました。
    ただ、マスコミなどの論調を見ていると、左右両方に共通して「初めに結論ありき」との感が拭い切れず、
    判決の法的な正当性についてどこまで客観的な説明をしてくれているのか、少々首を傾げています。
    私が見た中では、NHKのニュース10で行われた解説が最も政治的に中立と思われたのですが、
    その説明は判決要旨の解説に留まっているため、人によっては物足りなさを感じるかもしれません。
    以上のような事情もありまして、今回は10年前の憲法学の教科書を引っ張り出して、
    「元法学部生」の視点で今回の判決をあれこれ考えてみたいと思います。
    これで、法律の素人の方にも今回の判決が持つ性格というものを理解してもらえれば幸いです。


    今回の判決ですが、判決を出すまでに使われているロジックは極めて簡単なものです。
    大雑把に言いますと──

    (1) 当該行為/法令に特別な宗教的目的が存在する
    (2) 当該行為/法令によって、特定の宗教団体に利益/不利益が生じる
    以上の2点が満たされる場合、その行為・法令が憲法の定める政教分離原則に違反していると見なされる


    ──というもの。
    この考え方は「目的効果基準」と呼ばれるものでして、
    法律上は日本と同レベルの政教分離原則が貫かれているアメリカに起源を持つ考え方です。
    (余談ですが、アメリカでは憲法修正第1条によって国教の制定が禁止されています。
    「アメリカこそ神の国」という意見を時々聞きますけど、法律上は厳しい政教分離原則が採られているんです。
    どこぞの州の裁判所では、モーセの十戒を刻んだ石版を裁判所内に設置しただけで
    その裁判官が罷免されるという事件もありました)


    我が国の場合、アメリカの政教分離原則を日本国憲法制定時に「輸入」していますので、
    違憲審査の判断基準に、本家アメリカで用いられている目的効果基準を使っても問題は無いわけです。
    (もっとはっきり言ってしまうと、現在のところこれに代わる的確な判断基準が存在するという話を聞いたことがありません)

    今回の判決で亀川清長裁判長がやったことって、
    基本的には、この目的効果基準を過去に例が無いほど厳格に適用しただけのことなんです。
    判決の要旨を更に平べったく整理すると、ざっとこんな感じになるはずです。

    (1)参詣が行われた時点での小泉さんの行動を調べ、
    ●公用車で靖国神社に乗り付けた
    ●秘書官が同行していた
    ●「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳した
    という状況を鑑みて、
    裁判で争われる参詣を違憲審査の対象になる「公務」と判断

    (2)靖国神社という団体の性格や現在の社会情勢・国際情勢などを根拠に、
    今回の参詣を「宗教的活動」と判断

    (3)参詣直後の終戦記念日に参拝客が倍増した点などを元に、
    「靖国神社という特定の宗教団体に利益が生じた」と判断

    (4)原告に対して直接の不利益が出たわけじゃないので、損害賠償請求は棄却

    ちなみに、損害賠償請求は棄却されましたので、形式的には国が勝訴してしまったことになります。
    結果、実質的には違憲判断を出された小泉さんの「負け」は明白なのに、
    小泉さんはこの判決に対して控訴できない(控訴してもほぼ確実に棄却される)
    という
    実にナイスな奇妙な状況が生じています。
    なお、靖国神社公式参拝に対する今回の違憲判決は、より上位の裁判所である
    高等裁判所・最高裁判所の合憲判断によってひっくり返ります
    (憲法判断を回避した場合も含め、「違憲」と明瞭に判断されない限り
    違憲はならないと思いますが、この点については確証がありません)
    ので、
    今回の判決によって「司法が靖国神社参詣を違憲と決め付けた」と考えるのは早計です。
    ただし、地裁とはいえ違憲の司法判断が示されたことによって政治的影響が生じることは間違いありません。
    ……というか、既に中国や韓国や日本の野党はここぞとばかりに声を上げているようですし。

    当然のように、今回の判決には賛否両論が寄せられています。
    ただ、目的効果基準をここまで厳格に適用した例が無かったのですから、
    どちらの立場の人々も今回の判決に対しては結構驚いていたようです。
    賛成派から寄せられる賛辞の多くに「画期的」
    反対派から上がる糾弾の声の中に「前例破り」という表現が多く含まれていることからも、
    今回の判決の特異性が想像できるのではないでしょうか。

    ちなみに、今回の判決に対する反対論を整理しますと、こんな感じになります。
    (賛成論については、判決内容をそのままトレースしても中身に差は生じませんので省略します)

    (1)について
    ●公用車で靖国神社に現れたのはテロ対策などの関係上やむを得ないのではないか
    ●「内閣総理大臣」と記帳したからって公務には当たらないんじゃないか

    (2)について
    ●靖国神社の性格を判断する際に、裁判官の政治的信条が混じっている
    ●外国の意見を元に合憲性を判断しても意味が無い(それは間接的な内政干渉を容認することにならないか)

    (3)について
    ●靖国神社の参拝客が増えたのは事実だが、小泉首相は参拝客の増加を狙って靖国神社に参拝したわけじゃない

    (4)について
    ●事件に対して直接の利害関係が発生しないのに、どうして違憲判断までやってしまったのか

    どちらの言い分を正しいと考えるかは、皆様次第。



    ……以上までが、新聞等で伝えられている今回の判決のあらましです。
    以下は、以上のことを踏まえた私見になります。

    個人的には、今回の判決はやはり問題があるだろうと思います。
    ただし、重大な問題点と考えるのは、靖国神社への参詣を違憲と判断した部分ではありません。
    (事実関係のみを考慮すると、首相の靖国神社への公式参拝には違憲の疑いが付き纏います。
    戦没者追悼施設としての性格を持つ靖国神社への参詣という行為を「宗教的活動」ではなく「世俗的活動」と認めさせるには、
    その行為が国民に一般的に受け入れられているかどうかという点も判断材料に加える必要があります。
    しかし、今のところ、靖国神社への公式参拝が国民に受け入れられているとはとても言えません。
    「伊勢神宮に出掛けるのと靖国神社に出掛けるのとは訳が違う」という意見が半分くらいは存在するはずです)


    問題なのは、直接の利害が発生する人間であるとは言えない人々が起こした訴訟に裁判所がまじめに取り合った点。
    ここで、今回の靖国神社の問題から一旦離れますが、どうか御容赦を。

    常設の憲法裁判所が存在しない日本の場合、法令が憲法に違反するかどうかの判断は個別の事案に即して行われます。
    専門的には「付随的違憲審査制」と呼ばれるこの制度を分かりやすく言い換えますと、
    「問題となる法令が直接関わる事件が発生しない限り、憲法判断を行ってはならない」ということ。
    また、これには「必要性の原則」
    ──「事件の解決に必要不可欠でない限り、憲法判断は行わない」
    「憲法判断が回避可能な解釈があるなら、それを優先して選べ」
    という準則もついています。
    ちなみに、どちらのもアメリカ由来の原則です。

    例えば、憲法違反として無効化された法令として最も重要なものである刑法の尊属殺規定
    (親・祖父などを殺害した場合、量刑が死刑・無期懲役のみになる規定)の場合、
    実際に発生した尊属殺人の判決の中で、「尊属殺規定は憲法違反」という判断を下し、
    普通の殺人罪(死刑または懲役3年以上・執行猶予あり)と同じ量刑を適用し、
    執行猶予付き判決を出したことによってはじめて「尊属殺規定が憲法違反である」と認められたのです。

    上に書いた「付随的違憲審査制」「必要性の原則」という考え方は、判例・学会などで広く認められているのですが、
    このうちの「必要性の原則」については、憲法学会の中でも異論が多いのが実情です。
    しかし、この違憲判決を出す確率を低く抑えるように構成された違憲審査制度(+必要性の原則)のおかけで、
    憲法第9条と自衛隊の問題など、本気で憲法解釈を行ったら極めてまずい結論しか出てこない問題
    (憲法の条文を字面通りに解釈したら、自衛隊は違憲以外の何物でもありません。
    これは、自衛隊ではなく現実離れしている憲法のほうが明らかに悪いのですが、
    その点についてはこれ以上論議しません)
    に対する憲法判断を回避する道が生まれているのです。
    これは、砂川事件の際に提起された統治行為論と同じくらい重要であり、日本の安全保障上不可欠であると言えます。

    ……で、ここで靖国神社の参詣問題に話を戻します。
    今回の裁判では、原告と被告の間に直接の金銭的な利害関係は存在せず、
    原告側の蒙った損害はニュースを見て不快な気持ちになったという軽度の精神的ダメージのみ。
    なので、今回のケースのような訴訟が起こされた場合には、
    裁判長は「原告に法的保護に値する利益・権利の侵害は認められない」と言い切り、
    憲法判断を回避して訴訟を事実上の「門前払い」にすることも可能だった
    わけです。
    これは一般的な民事訴訟のルールに基づいた当たり前の処置です。
    また、法令に関する違憲審査で使用されている付随的違憲審査制(及び必要性の原則)とも矛盾しない、
    極めて穏当な司法判断になります。

    しかし、今回の判決では、そのような判断を行いませんでした。
    「原告に法的保護に値する利益・権利の侵害は認められない」のに、不必要な憲法判断に踏み込んでいます。
    それはさすがにまずいと思いますよ、私は。
    今回の判決のように、「原告に法的保護に値する利益・権利の侵害は認められない」のに、
    本来ならば行う必要の無い憲法判断にまで踏み込んでしまったとしたら、
    現行憲法では認められていない抽象的違憲審査制(憲法問題を扱う専門の憲法裁判所を設置し、
    具体的な事件とは関係無く憲法審査権を行使するという制度。ドイツなどで使われている)
    を容認してしまうことになります。
    もしも、現行憲法で抽象的違憲審査制が認められるとしても、
    抽象的な違憲審査権は、最高裁大法廷の判事席に座り、国民投票による審判に晒される15人のみに与えられるべきです。
    経験の浅い一介の地裁判事が扱えるようなものではありません。

    それに、今回のような判決を容認してしまったら、利害当事者ではない赤の他人が、1個の違憲判決を得るべく、
    法的保護に値しない権利を振りかざして訴訟を乱発し、日本の安全保障政策を不必要に害する事態が起こらないとも限りません。
    それはできる限り避けなければならないのですが──
    ……………………
    ………………
    …………
    ……
    ……って、既に起きてるじゃん(爆死)



    一応、自分の意見を書けるだけ書いてはみたのですが、頭の中が完全に整理されているわけではありません。
    大学時代の友人(1人は司法試験浪人、別の1人は厚生労働省のキャリア官僚)に会ったら、色々と話を聞いてみたいところです。

  • 2004年4月1日 21時25分40秒
    色物武将勢揃い

    さて、社交辞令を済ませたところで、本日のお題。

    最近では、歴史物のSLGに自作した武将を出す機能が備わっているゲームも数が増えてきました。
    そんな自作した武将を作って遊ぶゲームの1つに『太閤立志伝V』という作品があるのですが、
    私の友人がチャット中、このゲームについて面白い話を持って来ました。

    「メイドさんで天下統一したぞ〜」

    一瞬、「は?」と目を疑った私。
    しかし、その後に友人が持って来たリンクを見て、さらに愕然。
    御老公の姿とか新撰組の服とかはともかく、セーラー服とかネコミミとか人魂とかって一体……?

    「どこかを激しく勘違いしているな」と思いつつも、ついついこのゲームのことが気になってしまう今日この頃でありました。
    ……アフロヘアの殿様で天下統一でも目指してみるか(爆)


    堅苦しいネタで記事を書いてみたいのですが、最近時間が無くて……とほほ……。

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