その後

エアード・ブルーマスター

元クレアムーン第2部隊『蒼風』副官、曇空時雨は書類仕事に追われていた。
そんな彼女の元へ、一つの報告書が送られてきた。
「え、こ、これは……」
それに目を通した瞬間、顔色が変わる。
「どうかなされましたか?」
「いえ、なんでもないです…」
近くにいた者の問いに曖昧に答える。
「まさか…将軍が………」
それは、元『蒼風』指揮官エアード・ブルーマスターの死亡を報告する物だった。

シチル川上流付近…
「ふぅ……こんな物でいいか。しかし、自分の墓を作ることになるとは…」
男は出来たての墓を見る。
そこには『エアード・ブルーマスター ここに眠る』と刻まれていた。
「まっ、こうでもしなきゃ色々面倒なことがついてきたりするからな…」
ぼやきながら、髪と瞳が黒くなったエアードはその場から離れた。

紗耶と小雪のおかげでなんとか生き返ってから一週間…
はじめの2、3日は、力を使い果たしたせいで体がほとんど動かずに大変だった。
おかげで、紗耶に食事を食べさせてもらったが…「はい、あ〜ん」は二度とやりたくない(−−;
動けない間に、少し考えた。
元クレア将軍なんて肩書きついてたら、色々厄介事が起きそうだ。
正直言って、しばらくの間ゆっくりしていたい。
で、その時にふと思いついたのが「エアード・ブルーマスター」を殺すことだった。
徐々に戻ってきた力で髪と瞳を黒くし、名前も「蒼主空也」と言う偽名を使うことに。
紗耶に頼んで、工作にちょっと協力してもらった。
そして今日、正式に『エアード・ブルーマスター』は死んだ。

「これからどうすっかな…」
あてもなく歩き始める。
クレアへの借りを返すという目的も終わった。
別段やることはない…

「……あれ?」
しばらくたって気づくと、見覚えのある神社の前にいた。
こちらに気づいた紗耶が笑顔を見せる。
「…ま、しばらくはここにいるか……」
そう言って、エアードは紗耶の方へと歩いていった。

(2002.10.17)


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