エピローグ
結城 紗耶
紗耶が精神集中を始めて、すでに半刻・・・
しかし、本来襲い来るべき『荒神』はいまだに来ない。
不思議に思った紗耶の目が開かれる。
そこには爽やかな青空に、穏やかに流れる川の音だけが響き渡っていた。
不思議に思い、目を開けると、そこには居るはずのないエアードの姿が映りこんでいた。
紗耶「エ、エアード…さん? エアードさん!? エアードさん!!」
いくら呼んでも返事は無い。昏睡状態…いや仮死状態とも見えるほどに…
紗耶「そんな…エアードさん!」
顔元に手を当てるが息は見られず、心の臓に手を当てるが動きは無い。
状況から、エアードが自分を助けたのだと、紗耶はすぐに理解した。
紗耶「私の力が荒神を静めるほどの力なのなら、どうかエアードさんを助けてください」
紗耶はエアードを抱き抱えると、再び精神を集中し始めた。
その命を生命の力と変え、無心にエアードに送り続けたのである。
紗耶「お願いです…どうか死なないでください。
側にいなくても良いです。遠くに離れていても構いません。
でも…でも生きていてください。エアードさんと引き換えの命など入りません」
無心に紗耶はエアードの心に呼びかける。
エアードが戻るまで、ただただ無心に…
1254年1周期:エアードの子『春華(はるか)』を出産。
1271年3周期:病にて床に臥す(享年35歳)
1253年8周期以降は、病に臥すまでほとんど人里に出ることはなかったと言う。
エアード「ん? …ただいま」
紗耶「…おかえりなさい」
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