それは、誰もが手にするコイノカケラ(前編)

アリサ・ハウンド・フォックスバット

「んーーっ・・・今日もいい天気だね・・・」
シチルの補給基地内の自室で、アリサは大きく伸びをした。
聖都クレアからの後退は成功を収め、今日部隊の再編。
そして、明日には聖都クレアへ再出撃と、結構ハードスケジュールである。
アリサは、部屋のドアを開けて廊下へと出る。そこで、ばったりフィアーテにぶつかった。
「よっす、今起きたんか?」
「あ、フィアーテさん、おはようございます・・・」
挨拶をしたとたん、アリサにちょっぴりいつものイタズラ心がでてきた。
イタズラ心が出てきたとたん、アリサはフィアーテにでこピンをお見舞いしていた。
「あたっ、いきなり何すんねん」
フィアーテがアリサの腕を掴む。でこピンをしてしまってから、アリサははっとした。
「え、あ、えっと、ちょっと目覚ましのでこピンを・・・」
「俺は目覚めとんのやが・・・」
その場でとっさに言った言い訳もなんなく交わされて、アリサは焦った。
「え、ええっと・・・うーんと・・・う、うぐぅ・・・・・・」
次の言い訳を考えようとするが、さっぱり何もおもいつかない。
「まったくこん嬢ちゃんは・・・」
フィアーテが、あきれたような顔で手を離す。
「う・・・うぐぅ・・・ごめんなさいっ」
アリサは慌てて自室に駆け込み、勢いよく扉を閉じて鍵をかけてしまった。
そのとき・・・扉を勢いよく閉めた反動で、ドアの郵便受けにささっていた手紙がずり落ちてきた。
ドアを開けるときは気付かなかった。おそらく、夜のうちに兵士が入れておいたものだろう。
アリサは、不思議そうに手紙を拾う。そして封を切りながら、机へと歩いていく。
封の中には手紙が1枚だけ入っていた。アリサはゆっくりと紙を広げていく。そして・・・アリサに戦慄が走る。
「ど・・・どうして・・・どうしてなの・・・?」



プリフライト・H・フォックスバット 手首切り自殺未遂 発見早く 命に別状無し
ラグライナ帝国軍鎮守府 法務科



「おーい、アリサちゃん、でてこんとドア壊すで〜?」
外からフィアーテの声がしたが、アリサには聞こえていなかった。体がガクガク震えているのだけわかった。
「お、お姉ちゃん・・・なんで・・・どうしてなの・・・?」
涙声で、アリサは机に泣き崩れた。その声は、ドアの外のフィアーテにも聞こえていた。
「ん・・・? おーい、アリサちゃん? どないしたんや? おーい・・・」 ドアをたたくフィアーテに気付かぬまま、アリサは涙目で手紙を見つめていた。
「お姉ちゃん・・・この前、見送りに来てくれたのに・・・お姉ちゃんっ・・・」
アリサは思わず立ち上がり、ドアへと駆け出した。そしてドアを開けフィアーテの脇を抜け、フガクのいる馬小屋へと走った。
「って、おい、アリサちゃん? おーい!」
フィアーテの声が聞こえないのか、アリサはそのまま走っていき、廊下の角に消えた。
「何かあったんやろか? ・・・ちょう悪い気がすっけど・・・じゃまするで」
フィアーテは、ゆっくりとアリサの部屋に入る。そして、机の上に広がったままの手紙を見つけた。
「・・・何やて? ・・・くっ」
フィアーテも、すぐに廊下へと飛び出す。が、そこでばったりカレン将軍と鉢合わせになってしまった。
「うわっとと・・・あれ? 隊長・・・・・・・・・そこ、アリサ将軍の部屋だよね?」
なにやら軽蔑するような目で、カレンはフィアーテを見ている。
「ああ、カレンちゃん。わりぃんやけど、ちょう出てくるけえ明日になったら部隊を指揮して先にクレアに向かっといて。」
カレンに一方的に伝言して、フィアーテも馬小屋へと走り出す。
「え、ちょ、隊長? どこへ行くってのさ!」
「ちゃんとクレアで合流するさかい、ほな頼むで〜」
振り向かぬままカレンに答え、フィアーテは馬小屋への階段を駆け下りた。
「・・・なんだってのさ。・・・それより、なんで隊長はアリサ将軍の部屋になんかいたんだろう?」
開きっぱなしのドアを見つめつつ、カレンもゆっくりとアリサの部屋へ入る。そして机の手紙を目にする。
「手紙・・・・・・プリフライト? ・・・名字はアリサ将軍と同じ・・・姉妹か?」
カレンは手紙を見つつ、首をかしげる。手紙が気になったのか、カレンは1分ほどその文面を見つめていた。
「も、もしかして、こないだ言ってた好きな・・・いや、それは早計か・・・ただの知り合いってこともあるだろうし・・・だぁーっ」
カレンは、頭を掻きながら考えていたが、確信できる答えは1つだけだった。フィアーテはこのプリフライトなる人物を知っている。
ならば、この手紙を見てとる行動も、自然と予測できた。
「た、大変だっ!」
カレンは、部屋の窓へと駆け出した。


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
アリサは、馬小屋までの道を全速力で走り、息を切らしていた。フガクが、怪訝そうにアリサを見つめている。
「フガク、お姉ちゃんが大変なの・・・お願い、今から帝都まで走って・・・」
アリサは、フガクに飛び乗った。だが、フガクは動かずに、その場で振り返りアリサを見ている。
帝都までは、フガクの足でもかなりかかる。おそらく、帝都につくのは夕暮れ前であろう。
明日朝方の出撃が決まっている。今帝都まで行けば出撃までに帰ってくることはできない。フガクはそれを知っているのだ。
「フガク・・・お願い・・・走って・・・私、帝都に行かなきゃならないんだよ・・・お願いだよ・・・」
・・・フガクは無言のまま、アリサを見ていた。その脚を止めたまま・・・
そのとき、フィアーテも馬小屋に駆け込んできた。フィアーテは愛馬にまたがると、すぐに愛馬を外へと飛び出させた。
「フィアーテさん・・・ねぇ、フガク、お願い、お願い、お願いだよっ・・・」
フガクは3秒ほど沈黙していたが、ゆっくりと首を前に向け、外へと走り出した。
「フガク・・・帝都まで行ってくれるの・・・?」
普段なら何かの反応を示すフガクだが、今回は何の反応も示さなかった。小屋を抜け、ラグライナへと走り出す。
はるか前方の丘を、フィアーテが上っていくのが見えた。だが、そのとき・・・
「空将軍、2人を止めてくれーっ、2人ともラグライナへ行く気だよっ」
後ろからカレンの怒鳴り声が響いた。気付かなかったが、前方に帝都からシチルへ移動してきた翔三郎が見えた。
翔三郎は、カレンの声に最初は訳がわからなかったようだが、アリサの姿を見つけ、進路に立ちふさがる。
「ショウさん・・・お願い・・・私を行かせてよ・・・フガク、ショウさんから・・・フガク?」
翔三郎を確認したフガクは、アリサが何も言わないのに、ゆっくり減速して・・・そして立ち止まってしまった。
「フガク・・・どうして、どうして止まっちゃうの・・・?」
フガクは、何の反応も示さなかった。ただ、耳をぴくっと動かしただけだった。
アリサはとっさにフガクから飛び降りた・・・だが、飛び降りてから、躊躇した。自分の足で何ができるのだと気付いた。
それなりに走る特訓もして、足は速い方だった。が、翔三郎を振り切る自信はなかったし、なにより帝都まで行けるはずもない。
そんなことをしているうちに、翔三郎が近づいてきた。
「よい、アリサ嬢ちゃん・・・確か明日出撃のはずやが、どこ行こうってんの?」
「ショ、ショウさん・・・そ、その・・・」
アリサは、じっとしたままうつむく。
「んー・・・黙っとかれても分からんが、カレン嬢ちゃんが止めてくれ言うからには何かあんのやろ? ちゃうけ?」
アリサはただ沈黙を守っていた。理由を話そうかと思ったが、その言葉がなかなか出てこなかった。
が、その理由の紙を持って、カレンがこちらへとやってきた。
「隊長は捕まらなかったか・・・ところでアリサ将軍、一体どういうつもりだい? 出撃は明日だってのに」
カレンの質問にも、アリサは答えなかった。本当は答えてしまいたかったが、言葉が出てこなかった。
「カレン嬢ちゃん、一体何があったん? アリサ嬢ちゃん、何も言わんからの」
無言で翔三郎に手紙を渡すカレン。翔三郎は、手紙をさっと一読する。
「プリフライト嬢ちゃんがねぇ・・・そら帰りたいやろうけど・・・」
翔三郎は、頭を掻きつつ手紙をカレンに戻す。
「つったく、軍人の自覚が足りないんじゃないのかい? 姉さんとこに行きたいだろうけどそれができる状況かい?」
厳しい言葉で、カレンはアリサを叱責する。
「前線じゃ、あたしたちが戻ってくるの待ってるんだ。勝手な行動で到着が遅れたらどうなる?」
「あ・・・わ、私・・・・・・・・・・・」
ゆっくりと顔を上げたアリサは、ちょっと考えたようだったが、次の瞬間にはカレンの脇を抜けて、馬小屋へと駆け出していた。
「あ、ちょ、アリサ将軍? ・・・・・・やれやれ」
思わず、カレンは肩をすくめる。
今までじっとしていたフガクはアリサの後姿を見つめていたが、アリサの姿が見えなくなるとアリサを追って駆け出した。 「・・・ま、アリサ嬢ちゃんの方はオレが見てくんわ。カレン嬢ちゃんは部隊編成の仕事残ってるんやろ?済ませてきいな」
「なんか空将軍に任せるのも不安なんだけどねぇ。やれやれ、まったくうちの隊長は・・・」
カレンは、ぶつぶつ言いながら補給基地へと帰り、翔三郎は、フガクの後姿を眺めつつ馬小屋へと向かった。


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
約200mの距離を全力疾走したアリサは、馬小屋の柱に手をついて息を切らしていた。
「うっ・・・お姉ちゃん・・・お姉ちゃん・・・・・・グスッ・・・」
アリサは、ついに目を押さえて泣き出してしまう。
12歳で帝都に出て勉強し、帝国の文官にまでなったプリフライトをアリサは尊敬していた。
小さいころから負けん気が強くて、男の子ともよく喧嘩していた。負けても相手の前では決して泣かなかった。
だが、アリサは自宅で1人悔し泣きをしているプリフライトを何度も見ていた。
昔から人前で弱みを見せるのを嫌い、表面的には強い女の子であった。
だが・・・その本質はあまりにも繊細で脆かったのだ。顔に傷を抱えたコンプレックスに彼女は耐えられなかった。
彼女の本質を知っていたからこそ、アリサは姉が不憫でたまらず1人すすり泣いていた。
そんなアリサを、フガクは馬小屋の入り口で悲しそうな目で見つめていた。が、すぐに馬小屋の中へ進みだした。
「・・・・・・・・・クゥ」
小さな声を立てて、フガクはゆっくりとアリサに近づいていく。
それに気付いたアリサは、フガクをきっと睨んだ。そして思いもよらぬ言葉を叫ぶ。
「フガクのバカーーーーーっ! もう、大嫌いだよッ!」
全力疾走で切らした息が戻らぬまま、アリサは再び自室へと駆け出した。
・・・フガクは、その場で驚きの表情で硬直していた。
「やれやれ・・・アリサ嬢ちゃん、相当参っとるようやの」
アリサとフガクのやり取りを見ていた翔三郎は、フガクへと近寄っていく。フガクは、悲しそうな目で涙を流していた。
「人は、思うても無いこと口にすることもある。今のがアリサ嬢ちゃんの本心やと思うけ?」
翔三郎は、うなだれているフガクをポンポンとたたく。
フガクは翔三郎を無視するかのように何の反応も示さず、うなだれたまま自分の小屋へと入っていった。
そんなフガクを横目で見ながら、翔三郎はアリサの部屋へと向かった。

「アリサ嬢ちゃん、入んで〜」
ノックをして、翔三郎はドアを開ける。アリサは、机に突っ伏していた。
「ショウさん・・・どうして・・・どうして行かせてくれなかったの・・・?」
「アリサ嬢ちゃん・・・プリフライト嬢ちゃんは心配やろうけど、アリサ嬢ちゃんは、今はやることがあるやろ?」
「ひっく・・・私、そう割り切れるほど強くないんです・・・聖都クレアに行かなきゃみんなに迷惑かかるのはわかってるのに・・・」
「そうけ? 開戦前にプリフライト嬢ちゃんと一度だけ飲んだことあるんやが、アリサ嬢ちゃんのこと、そげん風にゃあ言いよらんかったよ」
「え・・・・・・?」
アリサは、ゆっくりと顔を上げる。
「プリフライト嬢ちゃんな、『あの子は私と逆なの。外見は気弱だけど、中身はしっかりした子だから』て言っとったよ」
「お姉ちゃんが・・・そんなことを・・・? ・・・そんなことないです・・・今の私、しっかりしたように見えますか・・・?」
「あん、オレも『そげん風にゃあ見えん』っち言うたんやけどな。プリフライト嬢ちゃんはこう続けるんよ。
 『慌てるうちはその通りだけどね。けど・・・ちゃんと落ち着けばそういう面、見せてくれるよ』ってな」
「・・・落ち着けば・・・落ち着いたら・・・私、そんな感じなのかな・・・?」
「今すぐに、ってんは無理やろがの。ゆっくりとでも落ち着いてけばそんでええから」
「は、はい・・・私・・・クレアでの戦いのときもそうだったけど、最近焦ってるのかもしれないです・・・」
「ん、外で会った時よか大分落ち着いたようやの。オレぁーちょっと出かけてくんが、元気出しぃな。
 いつもんごとイタズラしよんくらいがアリサ嬢ちゃんらしいよ」
アリサの頭を撫でると、翔三郎はアリサの部屋を後にした。アリサは、ぼんやりとその後姿を見ていた。
「・・・どうして、どうしてなの・・・?どうしてショウさんと話してるとこんなにもドキドキするの・・・?」
机に突っ伏して、アリサはつぶやいた。
「私・・・ショウさんに・・・恋してる・・・」
開戦前から、このドキドキはあったのだが、アリサは今、それが恋だったと気付いた。
イタズラ好きなアリサは、よく翔三郎にとがめられていた。そして、謝ったあとの翔三郎の笑顔が、アリサは好きだった。
その笑顔見たさに・・・アリサはイタズラを繰り返し、何度も謝った。
アリサから見て、翔三郎は「頼れる人」であったのだ。
そして、開戦。翔三郎はクレア戦線へ行き「シチルの戦い」に参加、アリサは共和国戦線へ行き「カルスケート攻略戦」に参加する。
カルスケートにいたときは、正直寂しかった。翔三郎のことは忘れ、あちこち走り回るばかりだった。
戦果もわずかばかりの護衛部隊を持つ外交団を壊滅させたぐらいで、本国での評判は、決して高くなかった。
そして・・・3年が経った。アリサの戦線異動が決まり、アリサはシチルへと向かい聖都クレアで翔三郎と再会する。
「ショウさん・・・私・・・」
無意識のうちにアリサの右手は、スカートの下をすべり奥へと進んでいた。
右手が腿の上まで進軍したところで、一度躊躇した。が、迷いを振り切り右手は奥へと侵攻し、ショーツの上から攻撃をかける。
「・・・んんっ」
アリサは思わずうめき声をあげた。初めての自慰だったが、会話中の心の高ぶりは、その下準備としてしっかり機能していた。
「ハァ・・・ハァ・・・ダ、ダメだよ・・・んああっ・・・」
左手をぎゅうと握り締め、アリサは机に突っ伏したまま右手で自慰を続ける。
「あっ・・・んんんっ・・・ショ、ショウ・・・さ・・・ん・・・んわっ・・・んぅ〜・・・あ・・・」
自慰の途中で、アリサは翔三郎が出て行った後、扉に鍵がかかっていないことに気付いた。
ここで人が入ってきたら、この姿を見られてしまう・・・だが、今やめたくはなかった・・・
アリサは右手で自慰を続けつつ、ゆっくり立ち上がりドアへと向かう。
「ハァ・・・ハァ・・・ああんっ・・・お願い、誰も来ないで・・・」
祈りながら、ガクガクした足取りでドアへと向かう。そして、何とか鍵をかける。
しかし、ドア際で自慰を続けるわけにもいかない。声が外に聞こえてしまうだろう。
アリサは、ドアから机へと戻ろうとする。が、足がなかなか前に進まない。
「はぁん、ダ、ダメ・・・何とか・・・机に戻らなきゃ・・・あんっ・・・あうう・・・」
力の入らない足を、少しずつ進ませる。ゆっくりゆっくり・・・椅子に、手を伸ばせば届きそうなところまで戻ってきた。
「んんん・・・も、もうちょ・・・あああんっ・・・」
ビクっときた刺激で、ふいにアリサの膝の力が抜ける。体を支えられなくなったアリサは、ばたっと椅子に倒れかかる。
「ハァハァ・・・んっ・・・よいしょ・・・・・・んんっ・・・」
なんとか、椅子によじ登ることに成功した。椅子に戻ったとき、ショーツはもうかなり濡れていた。
「ダ・・・ダメだよ・・・私・・・私・・・何してるんだろう・・・あああああっ・・・」
そして左手もまた、無意識のうちに動き始める。服を掴み、スカートに入れた部分を引っ張り出すと、
そのまま服の中へ潜り込み、上昇。ブラを上に押し上げ、左胸を弄んだ。
「あんっ・・・あああっ・・・ふああん・・・うんっ・・・んんっ・・・」
乳首の先端はすでに硬くなり、ちょっと触れただけでアリサは思わず声をあげてしまう。
「んんっ・・・はわぁ・・ショ、ショウさん・・・ど、どうしてこんなに・・・気持ちいいの・・・?」
アリサは、もう正常に座っていることができなくなった。頭を支えきれず、机に頭の重量を預けている感じだ。
ショーツはすでに愛液を吸収できなくなっており、外へ外へと流れて椅子を濡らしていた。
「んっ・・・んんっ・・・んんんんっ・・・と、止まらない・・・止まらないよ・・・」
手の動きが激しくなってくる。左手は乳首を弄りまわし、右手はいつのまにかショーツの中に潜り込んで秘所を直接刺激していた。
「ああっ、ダメ、私、変になっちゃうう・・・ショ、ショウさん・・・ふわあああっ・・・」
だんだんアリサは絶頂へと近づいていた。上半身は頭だけ机に乗っている形になり、自然と弓なりになってくる。
「あんっ・・・あああっ・・・ショウさん・・・んわああっ・・・私・・・あうっ・・・あ、あ・・・ああああああああっ」
アリサは、ついに絶頂を迎えた。その後ふいに全身の力が抜け、アリサは気を失った。


目を覚ましたとき、すでにあたりは暗くなっていた。あと1時間もすれば夕食の時間である。 「う、うぅん・・・あ、あれ? 夜? ・・・そっか・・・私・・・あんなことして、それから・・・」 アリサは、思わず恥ずかしくなった。誰も見ていなかったとはいえ、顔が赤くなっているのが自分でもわかった。
「私・・・こんな自己満足じゃ嫌だよ・・・でも、ショウさんに・・・言えるかな・・・」
アリサは、椅子から立ち上がる。そして、着替えを持ってシャワー室へ行くために、部屋を出た。
シャワー室は、空いていた。アリサは服を脱ぎ、熱いシャワーを全身に浴びた。
湯の温度は高めだったが、アリサはそのままシャワーにうたれていた。自分を戒めるように・・・
「明日、私たちは出撃・・・今しかチャンスはないよね・・・」
決心を固めるアリサ。ぎゅっときつめにシャワーを止めてシャワー室を出る。
服を着て、タオルを濡らすと、アリサは早足で部屋に戻った。
部屋に入ると、まず椅子をタオルできれいに拭いた。椅子には大きな染みが残っていたからだ。
そしてメモ用紙を破りとり、ペンでささっと手紙を書く。


ショウさん突然ごめんなさい。ちょっと話があるんです。
食事が終わったら、私の部屋まで来てほしいです。お願いしますね。

アリサ・H・フォックスバット


アリサは、その紙を持って翔三郎の部屋へと向かう。ちょうど夕食の時間なので、翔三郎は部屋にいなかった。
それを確認してから、アリサは紙を郵便受けから部屋の中へ投げ込み、逃げるように食堂へと走った。
パンとスープだけを貰って部屋へと戻り、軽い夕食を取る。そして・・・アリサは目を閉じて翔三郎を待った。

そして、20分ほどが過ぎた。

(2002.11.29)


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