Black and White Waltz 〜もう一つのコイノカケラ〜

フィアーテ・V・S・B

『Black and White Waltz』




――クルス歴1255年第六周期・帝都ラグライナの軍病院

「……Preflight Hound Foxbat……此処やな、プリフライトちゃんの病室は」

帝国クレア戦線軍将軍第14歩兵部隊『WINGS』指揮官・フィアーテは現在、自らの部隊が駐屯している『シチルの街』を一人離れ、帝都ラグライナに来ていた。
部隊は明日、シチルの街を出発してクレアムーンの首都である『聖都クレア』に進軍する事になっている。 取り敢えず、出てくる時に副将であるカレンに代わりに指揮を取って貰うように言ってきているので、予定通り『WINGS』は出発するであろう。
最も、後日同じクレア戦線の将軍であるミルにばれたら説教を喰らうのは確実だろうが……。

『プリフライト・ハウンド・フォックスバット』

フィアーテがシチルを離れ、帝都に来ている原因である女性であり、帝国将軍『アリサ・ハウンド・フォックスバット』の姉でもある人物。
そして、フィアーテの目の前にある部屋はそのプリフライトが収容されている病室。
今日の朝、フィアーテと同じく兵補充の為にシチルの街に後退していたアリサに来ていた手紙で、フィアーテはプリフライトが自殺未遂をした事を知った。
少し前に、帝都でクレアムーンの破壊工作に巻き込まれ怪我をした事は聞いたし、本人にも会った。
その時からフィアーテは少し心配ではあったのである。
以前の人の良い明るさが無くなり、何処か陰があるように見えたから……いや、実際そうだったのだろう。
できれば、もっと彼女の話などを聞いてやりたかったが、その直ぐ後にクレアムーンとの聖都決戦が控えていた為、その準備でそれができなかった。
今、会っておかなければ拙い事が起きる……何故かは解らないが、そんな予感が手紙を見た瞬間頭を過ぎった為、フィアーテは明日出発だと言うのに単身シチルを離れた。

――――そして今に至る。

コンコン

女の子の病室に行き成り入るのは憚られるのか、フィアーテは病室の扉をノックする。
しかし、中から返事は聞こえて来ない。

「プリフライトちゃん?」

もう一度、今度は呼び掛けながら扉をノックするが、やはり反応はない。
現在、病室にはいないのだろうか?
しかし、既に外は暗くなっているので、その可能性は低い筈なのだが……。

「ふむ……しゃあない、入るか」

フィアーテはそう呟くとノブに手を伸ばし、右に回す。
ガチャッと音を立てて、病室の扉は開かれフィアーテは中に入って行く。

「すー……すー……」

消毒薬などの病院独特の匂いがする真っ白い殺風景な部屋の中には、ポツンとベッドとが一つある。
そこには穏やかな寝息を立てて、ベッドの上で寝ているプリフライトの姿があった。
白のブラウスを着て寝ているその姿は、ベッドに溶け込んでいるような錯覚をフィアーテに見せる。

「やっぱ寝とるんか……」

その様子を見たフィアーテは、呟いてベッドに近づいて行く。
しかし、プリフライトはそれに気付くこともなく、寝息を立てたままである。

「取り敢えず、命には別状なしって事やったが……全く」

溜息混じりにそう言うと、何を思ったかプリフライトの鼻を右手の親指と人差し指で摘む。

「ん……ん…………」

すると、息苦しくなったのか少し身じろぎをする。
そして、閉じられていた眼がゆっくりと開かれていく。

「………………あ……」

暫く寝惚けたような顔をするが、目の前の人物が誰か認識すると直ぐに驚いた表情をする。
そして、慌てて顔の左側を毛布で隠す。

「フィ、フィアーテクン? ……ど、どうしてこんな所にいるのっ?」

「どうしてってシチルから来たからに決まっとるやろ? ……アリサちゃんとこに来た手紙を見てもうてな……ちょう様子を見にきてん」

行き成りの事に驚き、慌てているプリフライトとは対象的にフィアーテは至極落ち着いた様子である。
最も、プリフライトが取り敢えずは大丈夫そうな様子を見たからなのだが、当の彼女はそんな事を知るわけはない。

「君、聖都攻略部隊の指揮官でしょ? 私なんかの見舞いに来てる暇……あるの?」

相変わらず顔の左半分を毛布で隠し、毛布の下から覗くようにしてフィアーテの様子を伺いながら、尋ねる。

「ん、ああ、大丈夫大丈夫、十分間に合うけ」

手をヒラヒラさせながら、フィアーテは大丈夫と答える。
しかし、その頃、『WINGS』の副将二人組は「帰って来たら、とっちめてやる」と息を巻いているのだが、当然そんな事はフィアーテは知るわけがない。

「それよりどないしたん? 自殺未遂なんてしよってからに……」

そうフィアーテが尋ねると、今までより少し深く毛布を被る。

「………………………………………………ちょっとね……辛くなっちゃったんだ……」

暫く沈黙した後に、そうポツリと呟く。

「怪我……やっぱり、たくさんの傷が残っちゃったんだ……君も見たでしょ?」

「……それで?」

「周りは何も言わないよ……でも、視線をひしひしと感じて……私、耐えられないよっ!」

ギュッと毛布を掴む手に力を入れて、プリフライトは哀しそうに言う。
他の誰にも言えない彼女の内心……フィアーテに言うのも随分な勇気が要った筈である。
毛布に隠された肩が小刻みに震えているのがフィアーテには解った。

「君も、そう思うでしょ……? 顔に目立つ傷のある人がいたら、思わず見ちゃうでしょ……?」

「私はそれに耐えられないんだよ……それに……私、友達なんていないから……」

そう言うと、プリフライトはその視線を毛布の中へと外す。
恐らくはフィアーテに今の自分が見られるのが嫌なのだろう。

「んー、取り敢えず俺がプリフライトちゃんを見るんはべっぴんさんやからやが……んで、友達? んなら、俺が友達な、ほい決定」

しかし、フィアーテはそんな事はどこ吹く風かと言わんばかりの様子でプリフライトに答えていく。

「君が……私の友達になってくれるっていうの……?」

再び視線を毛布の中からフィアーテへと移す。
真っ白な部屋に佇む漆黒の衣を羽織っている人物……その光景は何故かプリフライトにはやけに幻想的に見えた。

「つか、俺は元々友達のつもりやったがな……まぁ、辞書をぶつけられたりとか色々されたが」

初めて会った時の事――即ちいきなり辞書をぶつけられた時の事――を思い出したのか、くっくっくっと笑う。
その時はまだ彼女は寝起きが悪い等と言う事を知ってるわけがなく、普通に起こしてその結果がそれだったのである

「だったら、私が自殺に成功してたら……悲しんでくれたの……?」

毛布の向こう側から自分を覗いているプリフライトを見て、まるで悪戯がばれた子供のようだな、とフィアーテは思う。
そう思うのは、唯覗いているからだけではなくその視線が不安げなモノだったと言う事もあるのだろう。

「生憎、知り合いが死んで悲しまんような奴になった覚えはあらへんな」

しかし、フィアーテはいつもの通りにしれっとして言う。

「じゃぁ……私の顔……どう思う……? 魅力なんて、ないでしょ……?」

今まで自らの顔を隠していた毛布を、プリフライトは恐る恐る取る。

「んなこたーあらへんよ? 今まで通りのべっぴんさんやん」

「違う……違うよ……」

しかし、プリフライトはフィアーテの言葉を否定し、視線を横にずらす。
今の彼女の精神状態は所謂、人間不信に近いところまで来ている。
今、目の前にいる相手がフィアーテでなければ頑なに拒否をし、会話にすらならないかもしれない。
このまま放って置くと、恐らくは更に酷くなっていくだろう。
だが、今のフィアーテには時間がない。
できるだけ早く自分の部隊と合流しておかなければならない。
今の戦況から言って、聖都に入って直ぐに戦闘はないだろうが、それでも数日以内に確実に戦闘が始まってしまうだろう。
だから、今のフィアーテには時間がないのである。
しかし、そんな様子を露ほども見せずに――

「んー、言葉だけじゃ信じれへんか? んなら、君がどんだけ魅力的に見えっか行動で示したるわ」

「………………え?」

プリフライトはフィアーテが言った言葉の意味が良く解らずに、思わず顔を上げフィアーテの方を見る。
すると、行き成り彼女の細い腰に腕が回されグィッと引っ張られる。

「わわっ!」

ほんの数cm程度の間を空けて、プリフライトとフィアーテの顔が正面から向き合う形になる。
フィアーテは残る左手をプリフライトの背中の方に回し、そして不意にキスをする。

「ん、んんっ!」

突然の事にプリフライトは、抗議なのか戸惑いなのか判別できない声を上げる……最も、キスで口を塞がれているので声になっていないが。
暫くしてフィアーテはその赤く綺麗な唇から、ゆっくりと自らの唇を離して行く。

「フィ、フィアーテ君……な、な、何を!?」

その整った顔立ちを真っ赤にして、プリフライトはどもりながら言う。
はっきり言って、誰が見ても動揺しているのが丸分かりである。
怪我前の普段の彼女を知っている者なら、さぞかし驚く光景である事だろう。
だが、周りが思ってるのと実際の彼女は随分違う。
彼女は誰よりも強いが、誰よりも脆い存在である。
妹のアリサに唯、心配掛けないが為に周りに『作った自分』を見せ続けてきた。
しかし、演じ続けてきた心は時が流れるに連れて、まるで硝子に罅割れが入るように次第に罅割れていった。
そして、今回の『怪我』の一件で彼女の心の硝子は割れてしまったのである。
だからこそ、まだほんの一欠片でも無事な内に彼女の心を取り戻さねばならない。
故にフィアーテは、強引と言えば随分強引な手に出ることにした……自分の命をチップに最後の可能性に賭けて。

「言葉じゃわからへんようやけ、君がどれだけ魅力的にみえとるんか行動で示したるわ」

相変わらず右手でプリフライトの腰を抱き、彼女の透き通るような瞳を見ながら話す。

「こ、行動って……?」

「今から君を抱く」

まるで予め台詞を打ち合わせている劇の如く言葉を紡いでいく。
その罅割れた心を一つ一つ丁寧に修復していく為に。
しかし、そんなフィアーテの言葉を聞いても――

「嘘だよ……こんな顔が傷だらけの女なんて抱きたいと思う筈がないよ……フィアーテクンは優しいから……」

そう言って、暗い悲しそうな眼をする。

「ほう、まだんな事ゆえる余裕があるんか」

フィアーテはふっと笑って、再びプリフライトにキスをしてそのままベッドに押し倒す。
そして、キスを止めると今度は彼女の左側の顔――即ち傷がある方の頬に口付ける。

「これからんな事考える余裕なくしたるけ、覚悟しいや」

そう言って、今度は先程よりも深い情熱的なキスを重ねる。
冷たかった二人の唇は先ほどまでの2回のキスですっかり暖かくなっていた。
フィアーテはプリフライトの口内に舌を差込み、彼女の舌を絡め取る。
それと同時にブラウスのボタンを片手で器用に外していく。

「うっ……ん……はぁ……」

すると、プリフライトの口から切なげな声が漏れてくる。
その綺麗な瞳も既に潤んでおり、頬にも紅が差している。
彼女はこうして異性と身体を重ねる事はおろか、キスさえも初めてだった。
故に、どうやらその未体験の行為に気分が少し高まってきているらしい……相手がフィアーテである事も加味されているのかもしれないが。
そうしていると、ブラウスのボタンを全部外し終わり、胸の前を完全に肌蹴させる。
すると、フィアーテは脣を離して――

「プリフライトちゃんってスタイル中々ええね〜」

と、言う。
肌蹴たブラウスの中からは、その華奢な体つきに似合わず純白のブラジャーに包まれた豊富な胸が現れた。
白い肌に約86cmぐらいと思われるバストは中々に扇情的である。
しかし、プリフライトは関係ないというように首を振って――

「ありがとう……でも、この顔はそれすら気にならなくしちゃう……この傷の前じゃ、そんなの無意味だよ……」

「はっ、そら君がそんな風に思うとるだけやん……こんなに魅力的な娘はそうそうおらんで」

だが、フィアーテは気にした風もなく、今度はその白いブラジャーに手を掛けて一気にたくし上げる。

「お〜綺麗な胸やね〜……んっ」

そして、完全に空気に晒された左胸の突起に行き成り口付ける。
口付けた後は、舌を胸の色々な個所にゆっくりと這わせていく。
同時に左手は右胸を優しく包んで、持ち上げるように撫で、時に痛くない程度に揉んだりする。
フィアーテの舌と手が胸を攻める度にプリフライトは熱い吐息を吐き出す。

「あっ……はぁ……」

「ん〜乳首が立ってきたな……ひょっとして割と感じる方なんかなっと」

コリッ

そう呟くと、フィアーテはプリフライトの左胸の突起を優しく噛む。
それと同時に右胸の突起を人差し指の腹で軽く転がす。

「ひゃうんっ!!」

フィアーテのその行為はまだ未体験な彼女には刺激が強かったのか、背を弓なりに反らせて1オクターブ高くなった声を上げる。
大分感じてきたのかプリフライトはクタッとして、肩で息をしている。

「んー、かわええ声だすやん」

言葉で攻めながら再び左胸に舌を這わせ、左手を今度は腰の辺りに這わせる。
舌はそのまま胸を中心に攻めて、左手は腰だけでなくお腹、尻、太股など全身を撫でさせていく。
そして、頃合を見計らって右手を白のスカートの中に差し込むと、そこは既にショーツ越しに僅かな湿り気が感じられた。

「あ、フィ、フィアーテクン、そこは……んんっ、あぅ」

プリフライトの抗議の声を無視して、フィアーテはショーツ越しに彼女の中心を人差し指と中指でそっと撫でていく。

「んー、濡れとるやん……何だかんだゆっても気持ち良くなってくれとんのやね〜」

フィアーテがそう言うと、プリフライトは赤くなって黙りこくる。
そして、その様子に満足したのかフィアーテは再び愛撫を開始する。

「うっ……くぅっ……」

「この病室、都合のええことに周りに誰もおらんけ、少々声を出しても大丈夫やで」

そう言うと、愛撫を一旦中断する。
プリフライトが熱い吐息を吐きながらどうしたのかと、フィアーテの方に視線を向けると、再びキスをしてきた。

「……ん……んぅ」

プリフライトは少し驚いた様子を見せるものの、大分慣れたのか心が落ち着いてきたのかキスを目を瞑って受け入れる。
フィアーテは先ほどまでの愛撫で随分濡れてきたプリフライトの秘所にショーツを寄せて手を入れて直に触れてその部分を擦る。

「はぁぁっ……くぅああっ!!」

プリフライトは身体をビクッと振るわせる。
その様子がキスの最中である為に、フィアーテにも良く伝わってきた。
暫く慣らすように中心を擦っていると熱い愛液が割れ目から滲み出てくる。
それ確認したフィアーテは、人差し指をゆっくりと割れ目に飲み込ませる。
それと同時に、舌ともう片方の手で胸を攻めていく。
胸と秘所を同時に攻められてプリフライトは我慢できないという風に嬌声を上げる。

「あっ、ひぃっ……ふっ……ああ……!!」

多少キツク感じるが愛液のおかげで取り敢えず、痛みはないようである。
取り敢えず、徐々に慣らすように動かしあまり激しくしないようにする。
何回か指を出し入れすると、膣内は更に熱くなってきて、滑りもよくなってくる。

「さて、2本でも大丈夫やろうか?」

そう言って、指を一旦引き抜くと今度は中指を加えて再び膣内に侵入されていく。

「くぅんっ……く……ああ……んあああ!!」

ジュプッと音を立てて、2本の指はプリフライトの潤ったヴァギナに飲み込まれていく。
先ほどよりも、締め付けがかなりキツく、プリフライトも少し眉を歪めている。
それでも少しでも慣らせるために、2本の指を優しくストロークしていく。

ジュプジュプッ

「んんっ……あっ…ふっ……んあああっ!」

次第にヴァギナからマグマのように熱い液がどんどん溢れてくるようになり、プリフライト自身も苦痛よりも快感の方が勝ってきたようである。
フィアーテは人差し指で薄い膜を剥いて、コリコリッと淫核を摘む。
するとプリフライトは、眼の端に涙を浮かべて天井に向けて更に嬌声を発する。

「んんっ! くぅっ、はぁうああああああっ!!」

今までよりも更に背を反らせて、ビクビクっと震える。

「んー、イッタみたいやね?」

プリフライトの頭を撫でながらフィアーテは笑いながら言う。
一方のプリフライトは少し空ろな眼で天井を見つめながら、息を肩でしている。
玉の汗も随分とその白い肌に浮かんでいる。
上気した頬や肌に浮かんでいる大量の汗、そしてベッドのシーツに足れているショーツから溢れた愛液などの全てが官能的でプリフライトを淫らながらも美しく見せていた。

「さて、お疲れの様子で悪いんやが、まだまだ終わりやないで?」

いつの間にやらコートや上の服を脱いで、その数々の傷が所狭しを刻まれた上半身を露にしたフィアーテが、未だ息が整っていないプリフライトに覆い被さる。
そして、スカートを捲り上げ、ショーツをプリフライトの腰を片手で持ち上げてもう片方の手ですっかりぬれたショーツを取り去る。

「……フィアーテクン」

多少、空ろだった瞳が焦点が合ってきて、フィアーテを見つめながらその名を呟く。

「いくで……ええな?」

ズボンからすっかり硬くなった自らのモノを取り出して、先端を秘所に当てながら尋ねる。

「……うん」

小さく、しかし確かにフィアーテの問いに答える。
その言葉を聞いたフィアーテは、右手で腰を抱き、左手で彼女の右手を握る。
そして、できるだけ痛くないようにゆっくりと挿入していく。

ぐっ……ちゅ……

「あぅっ……はっ……くぁぁ……」

ぐっと入り込んでくる異物の感触に、プリフライトが苦しげな声をあげた。
中々に成熟した身体を持つ彼女だが、どうやらまだ処女らしくすんなりと進めたのはほんの最初だけだった。
フィアーテは少しでも痛みを和らげようと、ゆっくりゆっくりと挿入していく。
普通なら遅すぎて焦らしているような挿入だった。
すると、不意に柔らかい壁のようなモノにぶつかるを感じた。
それがプリフライトの処女膜なのだろう。

「フィアーテクン……無理しないで思うようにして良いよ」

「いや、でもやな……」

どう考えても無理をしているプリフライトの発言に「はい」と答えるわけもなく珍しく言いよどむ。
しかし、対するプリフライトは痛みの所為か少しぎこちないながらも久々の心からの笑顔を見せて−−
「私、嬉しいから……こんな私を抱いてくれて嬉しいから……だから、好きにして良いよ?」

と、言うと、上半身を起こしてフィアーテの首に手を回しキスをする。

「……ふっ、んなら好きにさせてもらおか」

数秒間のキスの後に、フィアーテはそう言って笑みを浮かべる。
そして、もう一度触れるだけのキスをしてゆっくりと奥に進んでいく。

ぐちゅっ……ぶちぶちっ!!

「ひっ……ぐっ……あああああっ!!!」

何かを引き裂くような感触と同時にプリフライトが声を上げる。
かなりの痛みを秘所から感じるのだろう、その頬には滅多に流さない涙が伝わっていた。
しかし、それでも「痛い」と言わないところが彼女らしかった。
そして、秘所から太腿にかけて一筋の赤いモノが流れていく。
即ちそれが彼女の破瓜の証であり、25年間護り続けた処女を捧げた証である。
透明な愛液に混じった赤い筋はそのままスカートに流れて白のスカートを染めていく。

「だ、大丈夫だから……そのまま続けて」

痛そうに眉を顰めながらもプリフライトはそうフィアーテに言う。
最早フィアーテも戸惑わずに一つ頷くと、行為を再開した。
下手に躊躇すると、余計苦痛を長く与えるだけだと解っているのだろう。
そうして、プリフライトを気遣いながらも彼女の最奥を目指してフィアーテは自分自身を進めていく。
すると、コツンと誰も侵入した事がない彼女の膣内の最奥に辿りついた感触が伝わってきた。
そして、今度はゆっくりと自分自身を引き抜いていく。

ぎちっ……ぐっちゅ……ぐちゅ……

「ひぃっ……はぁぁあっ……かふっ……」

フィアーテは快楽を求めそうになる自分を抑えて、腰を動かしながらもできるだけ優しくしていた。
だが、それでもやはりほんの少し前まで処女だったプリフライトから痛みを完全に消す事は無理である。
それでもなるたけ「痛み」が「快楽」になるように、今度は繋がったまま乳首に舌を這わせる。
胸に舌を這わせると同時に、左手でクリトリスへの愛撫も開始する。

「はうっ……ひあっ……んあああっ!!」

すると、効果が上がったのか次第に甘い声を上げ始める。
それを見てとったフィアーテは段々ストロークのピッチを上げていく。

「あっ……ふぁっあああぁぁっ……フィア……テ、クン、ああぁぁっ、ふっ……くあぁぁっ!!」

フィアーテの名前を呼びながらその手はしっかりとフィアーテの身体を掴んでいる。
フィアーテの右手もまたしっかりとプリフライトの腰を抱いていた。

「くっ、ホンマキッツいわ」

フィアーテは腰を動かしながら思わず呟く。
彼の言う通りプリフライトのそこは非常に熱くきつかった。
マグマのように熱い膣内がフィアーテのモノをグイグイとどんどん締め付けてくるのだ。
そんな感触に加えて、ストローク自体も激しくし始めたのでプリフライト同様フィアーテにも限界が近づいてきていた。

「ああぁぁっ、ふっ……くあぁぁ……フィ、フィアーテ……クン……もうっ」

「俺ももういきそうやわ!」

「んんっ……ふあぁ……んぅっ! ……フィ、フィアーテクン……き、君の思うようにして良いから……」

プリフライトはそう言ってフィアーテの傷だらけの身体にしがみ付いて来る。
フィアーテは言葉を返す代わりに、プリフライトのその白く綺麗な身体を抱き返す。
そして、絶頂に向けて腰を動かし続けて――

「くっ……プリフライトちゃん、いくでっ……くっ!!」

ドピュッ……ドクドクッ……ドクンッ!!

「あああっ!ああぁあぁぁあああっ……くはぁあぁぁぁぁぁぁんっ!」

迸るフィアーテの精液を自らの子宮に感じながら、プリフライトは今までにない絶頂感を味わった。
身体は先ほどイッタ時以上に小刻みに震えて、フィアーテにしがみ付いている腕にはまったくと言って良いほど力が入らない。
それを察したフィアーテは自分もベッドの上に横になりながら、プリフライトの背中に腕を回してそっと自分の胸に抱き寄せる。

「フィアーテクン……身体の中も外も暖かいよ……」

そして、プリフライトはそう呟きながら自分の傍にある体温を感じて夢の世界へ落ちていく。
すうすうと寝息を立てているプリフライトを見つめながらフィアーテは微笑を浮かべて――

「ふっ、かわええ寝顔やねぇ」

と言いながら、プリフライトの流れるようなロングの黒髪を梳かしていく。




――数時間後

「さて、そろそろ俺は行くかな」

フィアーテは脱いでいたいつもの黒のシャツやコートを既に羽織っている。
一方のプリフライトもショーツやスカートが多少汚れたので、別のものに着替えている。

「…………ねぇ、フィアーテクン」

すると、プリフライトが何かを決意したような眼でフィアーテを見つめてくる。
フィアーテはその眼差しを真っ向から受けて――

「ん? どなした?」

と、尋ねる。

「私も連れてってくれないかな?」

突然の言葉……しかし、まるでフィアーテは予想していたかのようにいつもと変わらぬ様子を見せている。
プリフライトの瞳にはフィアーテがこの病室に来たばかりの時にはなかった光が宿っていた。
それを認めると、フィアーテは「んー」とわざとらしく唸る。

「ま、プリフライトちゃんが来たいっちゅうんなら俺は連れてくけど?」

バサッとコートを一つはばたかせて、フィアーテはプリフライトをサングラス越しに見つめる。

「正直ゆうて、近くにおってくれた方が色んな意味で“護れる”し、それに君が望むならその顔の傷も治したる事ができる」

その言葉にプリフライトはバッとフィアーテの方を向く。

「え、な、ほ、本当……なの?」

「君が望むなら、な?」

そう言って、フッと笑う。
そして、ベッドの方に近づいて行って――

「どうやらもうきまっとるみたいやし、とっとと行こか」

プリフライトを所謂『お姫様抱っこ』という形で抱き上げる。

「わわ、ちょっとフィアーテクン、一応宿直のお医者さんにもで言っていかないと」

「もう俺が言って来た」

「い、いつのまに……」

そんな会話をしながらフィアーテは窓際に歩いていく。
それに気づいたプリフライトは一寸不思議そうな顔をしてフィアーテの顔を見る。

「ねぇ、そっち窓だよ?」

「そうやな」

事も無げにそう言って、フィアーテはプリフライトを抱えたまま器用に窓を開ける。
それを見たプリフライトは「まさか……」と言った表情をして――

「ひょっとして……」

「ん、君の考えとる通りやで♪」

プリフライトの様子を面白そうに見ながらフィアーテは夜の帝都に身を投げ出す。

「わ〜〜〜」

そして、夜の帝都にプリフライトの声が響くのであった。




――それはとある一夜の『白と黒のワルツ』のお話

――それはもう一つのコイノカケラのお話

(2002.12.07 / 2002.12.09)


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