思い出・3
アメージュ・ラズリ
朝になった……目を開けると脇腹から鋭い痛みがした。
「……っ?!」
そうだ……昨日、あいつにやられたんだ……。
血は……止まっている……。
動けるか……無理だった……。
「仕方が無い……少し休むか…」。
・
・
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時間が経った…だけど、まだ動けない。
太陽から見て午後になったのだろう……。
そろそろ、少しは動けるだろう……。
あたしはふらつきながらも立った。
「くぅ……い…一応…大丈夫ね……」
実際にはかなり痛かった…。
だが、あたしはふらつきながらもアジトへと戻る為に歩き出した。
限界だった……体力も…今まで自分に被せた心の仮面も……。
あいつだ…あいつのせいなんだ……。
脇腹の傷も……壊されたプライドも……。
殺す……絶対に殺す……何年かかっても……絶対に……絶対に!!
と、考えている間にアジトに近づいてきた…が…山が燃えていた…。
実際には山の一部……あたしのアジトが燃えていた…。
近くに人がいた、その人に何が起きたか聞いた。
「あの…? 一体何が起きたのですか?」
「ん? ああ、何でもラヴェリア様を殺そうとした集団のアジトが此処にあるという話を聞いて討ち入ったらしいよ…って、キミ?」
何故、あの場所を知ってるのか……あの仕掛けが簡単に破られる筈が無い…。
何時しか、あたしは走っていた…。
燃える……燃える……。
人が……木で出来た家が……燃える……。
それが見えそうになった所であたしは体力を使い果たし目の前が真っ暗になった。
目を覚ました。
何時まで寝ていたのかは分からない…。
だけど、人が来ない場所で気絶したのは幸いだったらしく、あたしの体には何もなかった。
そして、直ぐにアジトに向かった。
仲間がいた……いや、元・仲間だ今はただの屍だ…。
胴を横から真っ二つにされた者…。
首だけが無い者…。
胸に矢が突き刺さって絶命した者…。
その中に一際目立つ死体があった。
胴が無く…四肢だけが残された死体だ…。
あたしはそれの顔を見た……目玉がくり貫かれ……舌…歯も抜かれた無様で…吐き気がする死体だった…。
「無様ね……貴方があたしを此処に連れてきたのに貴方が先に逝くなんてね……あれ…?」
気がつくと目が熱かった…ポタリ……ポタリと目から液体が零れてきた……。
「…これが……涙……?」
涙は段々と溢れ出してきた。
自分がコイツに連れてこられて誰に世話をしてもらっていた……コイツだ…。
色々と思い出していく…思い出……。
気がつけばあたしは土を掘っていた…。
ザック……ザック……ザック……
ある程度までの深さまで掘った。
そして、頭…腕…足……と次々と体を埋めていった…。
ふと、腕が刀を2本持ったままだと言う事に気づいた。
「……貰っておくわね…」
そう呟いて刀を取った……刀はスルリと抜けた。
そして、あらかた埋めて入り口まで戻り呟いた。
「さようなら……」
そう言って、山を下りて当てのない旅をしようと考えながらアジトから離れていった…。
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