淫らな一夜

アメージュ・ラズリ

(あたしはあのコ達と上手くやっているつもりだった……だけど、それは浅はかな考えだった……)

「う………うう……くぅ………」
暗闇の中なら呻き声が聞こえる。
そしてベッドの上には小さく丸まりながら震えるアメラがいる。
「やめて…もう、やめてよ! あたしはもういや?! こんな事をして生き続けたくない!!」
アメラは叫んだ、だが誰に話しているのかは分からないだけど叫び続けた。

 コンコン……

扉を叩く音がした…。
「あ…あの、アメラ…もう一週間も食事を取ってないから……持ってきたんだけど……」
ラスケートだった……ラスケートは扉を開けようとした…だけど…。
「開けないで!!!!」
アメラはラスケートを怒鳴る様に叫んだ。
「きゃっ!?」

 …カシャン……パリンッ!…

ラスケートの小さい悲鳴とその後に食器が落ちて割れる音がした。
「っ……ごめん……でも、今は誰とも会いたくないの……ごめん…」
アメラは震える唇を動かして小さく言った。
「……わかり……ました……」
ラスケートは悲しく…泣きそうな声で言って部屋の扉を閉め立ち去った。
そして頭の中からまた声が聞こえた。
(女…牝……食べ物……貪れ…汚せ……)
それと同時に燃えるような熱さが…凍てつくような寒さが…。
「……くぁぅ! ……っくぅ……はぁ…」
アメラの体を2匹の龍が蝕むのがうっすらと見えた…。
そして、絶えることの無い言葉を頭の中に送り続けた。

 犯せ……殺せ……命を喰らえ……

この声は首都で変死体が10人位出た時から段々と聞こえ始めた。
その時、アメラは考えてしまった……総てはこのコ達が原因なのではと……。
そう思い始めた時から周りの仲間が……友達が……美味しそうに見えた……。
まるで…今までの思い出の崩壊を奏でるメロディーのように…。
それからというものアメラは人間関係を断ち……調べ物と称し部屋に篭り続けた。
腕を自らロープで縛り…明かりをつけず暗い部屋のまま……たった1人で…。
だが、遂に体力の限界がきてしまった。
(駄目……このまま倒れたら………近くにいる人が…………死ぬ…ううん、あたしが殺しちゃう……)
そう思いながら意識が闇に堕ちた……。


話は数時間前に遡る。
ラスケートは厨房にいた。
一週間前から、自分の所属している将軍の……いや、友達のアメラが部屋から出ないので心配になりこうして料理を作っていた。

 ジュ〜〜〜〜……トットットットット……ジャジャ…

「…これを…こうして……こっちはこうやって切って……いい香り…」
ラスケートは料理を作りながらアメラのこれを食べて美味しいと言う言葉、優しい笑みを創造しながら作った。
そして、料理が出来た。
ラスケートは味見をした。
「……美味しい………」
それらをトレイに置きラスケートはアメラの下に行った。

ラスケートはアメラの部屋の前に立った。
「……すぅ〜……はぁ〜……よし…」
 コンコン……
「あ…あの、アメラ…もう一週間も食事を取ってないから……持ってきたんだけど……」
ラスケートはアメラが嬉しい顔で開けてくれるのを待った。
だけど、出てこなかった…だから、扉を開けて中に入ろうとした……が。
「開けないで!!!!」
アメラはラスケートを怒鳴る様に叫んだ。
「きゃっ!?」

 …カシャン……パリンッ!…

アメラの怒鳴り声に驚きラスケートはバランスを崩し作った料理を床に落としてしまった。
「っ……ごめん……でも、今は誰とも会いたくないの……ごめん…」
「……わかり……ました……」
アメラの力の無い言葉にラスケートは泣きそうな声で言った…。
そしてラスケートは部屋を出て自室へと戻った。

 バタン……

ラスケートは自室に戻った……そして、ベッドに寝そべった。
何時の間にかラスケートは泣いていた。
心を込めて作った料理……。
自分を拒絶するアメラ……。
それを思い出してラスケートはまた泣いた。
ワンワン泣いた…。
シクシク泣いた…。
ビェンビェン泣いた…。
(会いたい……アメラに会いたいよ……)
理由なんてどうでもよかったただラスケートはアメラに会いたかった。
ラスケートのアメラに抱く感情は友情ではなく愛情になっていた。
だが、本人はそんな事は知らなかった。

 キィ……バタン…

誰かが入ってきた。
ラスケートは涙に濡らした瞳で入り口を見た。
アメラがいた……。
ラスケートは嬉しかった……。
ただアメラが出てきただけなのにラスケートは嬉しくて堪らなかった。
「ごめんね、さっきはあんなこと言っちゃって」
と、アメラはラスケートに優しい言葉で言った。
ラスケートにはそれが嬉しかった。
そして、ラスケートは嬉しさのあまりアメラに抱きついた。
「ううん、いいの……いいんです……アメラが出て来てくれた事だけでも嬉しいのに………?!」
ラスケートはアメラが自分の頭を撫でてくれるものと思った……が。
キスだった……。
甘く……蕩ける様なキスだった……。
突然だったためにラスケートは理解するのに少し時間がかかった。
(え……? アメラが……私に……キス?!!)
ラスケートは昔、家で見た本を思い出した…。
女と女の愛…?
同性愛?
自分には遠いものだ……そう思っていた。
だが、その事態と今まさに直面していた。
「……ぁむ…んっ……はぁ……」
アメラはラスケートに合わせている唇の中に自分の舌を挿れてきた。
「…ん……んむぅ………はふぅ………」
ラスケートは初めてのキスに戸惑った。
不意にアメラが聞いてきた。
「どう? 気持ちよかった?」
アメラの言葉はラスケートには理解できなかった。
「わ……わかり…ません……」
(な…何?この感覚……?)
初めてのキス……。
一瞬痺れる様な気分。
ラスケートにはそれが上手く分からない。
惚けているラスケートをアメラはベッドに倒した。
「…きゃっ!? ……え? …ア…アメラ?」
ベッドに押し倒したラスケートは持っていた縄を使い、両腕を縛りベッドに結んだ。
「じょ…冗談だよね…? アメラ…?」
ラスケートは怯えと混乱を入れ混じった瞳でアメラを見た。
「冗談…? ううん…冗談なんかじゃないよぉ…だって、ラスケちゃん可愛いんだもん♪」
無邪気な笑みだった……だが、ラスケートにはどこか作り物の様に冷たく見えた。

 シュル……

何時の間にかアメラの手はラスケートの首のスカーフを外し、胸のボタンを取り外していた。
「きゃっ!?? …ちょ…ちょっとアメラ…アメラ…?」
突然アメラは呻き始めた……まるで獣の様に。
そして、次の瞬間。

 ビリッ! ……ビリビリッ!! ………ビリリリリリッ!!!

アメラはラスケートの服を荒々しく引きちぎった。
ラスケートの体は突然の外温に晒されたがピンクに火照った色だった…。
だが、アメラはそんな事には目もくれなかった。
「……ア…アメラ…やめてよぉ…〜……」
ラスケートは涙を流しながらアメラに静止の言葉をかけた…けど。
「…五月蝿い……五月蝿いウルサイうるさい!!」
アメラは叫びながらラスケートの上に乗った。
「…っくぅ!!?」
全体重をかけて乗ったのでラスケートは気絶しそうになった…だが…。

 フニュ……ムニュ……ムニュン………ムニュムニュ……

「ふぁ?! ……っひ! ……ひゃん!? ……くぅん……」
気絶する前にアメラはラスケートの露になっている胸を揉みくだし始めた。
「ア……アメ…ふぅん…ラ………もう…や…くぅ…め…てよ…ぉ……ひゃぅ!」
ラスケートは息を切れ切れにアメラに言っただけどアメラはその言葉を無視しながら乳…乳首を何も言わず揉み続けた。


どれだけ経ったのかは分からなかった。
だが、ラスケートはまだアメラの言い成りとなっていた。
「…くぅ……ぁ…ぅん…はひぃ……」
ラスケートは殆ど瞳に光は無く虚ろになっていた。
そして、アメラはまるで悪魔のするような笑いを浮べていた。
「そろそろ、いいわね…」
そう言ってアメラはラスケートのスカートに手を入れた。
「……………」
ラスケートはただ見ていることしか出来なかった。
スカートに入れた手は下着に潜り込みラスケートの秘所に狙いをつけた。

 ヌチュ……ニチュ………ヌチャ………プチュ……

「ん……ぅん………ふぅん……ひゃく……ぃ…」
「ラスケ…可愛いわ………あたしだけのラスケ…」
この情景は狂っていた……。
そして、アメラは何かに取り憑かれた様に狂っていた。
アメラの指はビショビショに濡れた秘所を少しかき混ぜた後に女陰に向かった。
「ひゃぅぅ!! ……はぅ…こ…われ…ちゃ…う……」
「……壊れちゃえ♪」
アメラは微笑みながらラスケートの女陰を指で押さえた。
「ぅ……はぁぁああぅ!!!」
ラスケートは目を見開き叫んだ後に気絶した。


翌朝アメラはまた自分の部屋に閉じ篭った。
「あたし……なんて…事を…………」
アメラはそう呟いて雨に濡れる窓を見た。
「また…あたし1人になっちゃったな……」
そう呟きながらアメラはトボトボと外に出た。
あの時に…昨日の惨劇でラスケートの寿命は…。
そう思いながら豪雨の街に歩いていった。

(2002.09.29)


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