予感
朝霧 水菜
―トクンッ・・・・
(・・・・・・・え?)
唐突に、心臓が跳ね上がるような音と共に動悸を覚え、水菜はよろめいた。
エアードさんと別れた時から止まらなかった胸騒ぎは、
今は余計に大きくなり、何か、とても嫌な予感がする。
心の一部がなくなったような、妙な喪失感が大きくなる。
「・・・・どうかしたかニャ?」
「いえ・・・大丈夫です」
紫苑の問いかけに答えるが、いつものように笑う事はできなかった。
今、私の部隊は行軍を続け、シチル戦線の前線に向かっている。
まさか、副将さんに任せて部隊を空ける訳にはいかない―けれど・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
嫌な予感を引きずったまま、エアードさんが向かった方を見やる。
そちらはシチル川の上流の方―そこに嫌な気配が溜まっていた・・・
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