序章・番外編2

御神楽 薙

…………あ〜、空が青いなぁ…………。
小鳥たちも楽しそうに囀ってる…………。
そろそろ涼しくなってきて、いい風が吹いてるなぁ…………。
確かに外出日和なんだけど、でも、この状況は辛いなぁ…………。
後ろからよくわからないプレッシャー?のようなものがぐおぐおと迫ってきているし…………。
「あ、あの。お腹、空きません?」
とりあえずプレッシャー?の発生源に向かって声をかけてみる。
「いえ、大丈夫です。お構いなく。」
…………一刀両断されました……。
さっきから、時事ネタ、天気ネタ等使い切ってしまった(全て一刀両断された)ので最後の会話の糸口だったのに……。


現在オレは帝都と、高山都市ティルの中間に位置する山中にいる。
まっとうなものならなんでもいいから、と仕事を探していたら、街の斡旋所が紹介してくれた仕事……。
士官学校の士官候補生の地勢調査の実習の護衛任務……。
普段は正規兵が付くはずのものらしいのだが、また国境付近で何かあったらしく、人手が少し不足しているらしい。
ので、正規兵のかわりの護衛を募集していたらしいのだが…。


当日オレが付くことになった相手が……まさか、この間の女の子だったとは……。
…………それでも彼女、出発するまではおそらく同級のみんなとでにこやかに話してたのになぁ……。
人がいなくなったあたりから雰囲気が少し変わってしまいました……。
なかなか見事な感情コントロールです。みんなの前ではこのプレッシャーを微塵も出さなかったんですから……。


目的地到達、そして数時間経過……


女の子……ミルさんは黙々と付近を調べている。なかなか見事な集中力だ。
…………オレはオレで周りに気を張っているし、会話は全くない。なかなか近寄りがたい空気が出来上がっているんだろうなぁ。
…………と、あれ?ミルさんが今いる場所に何か違和感を感じる、あれは………?

やばい!!

(ガラッ)

「え?」
ミルさんの乗っていた地面が崩れる。
やっぱり落とし穴!!
「つかまって!!」
慌てて手を伸ばすが間に合わない!
「くそ!」
とりあえずオレも飛び込む。
そのままミルさんを抱き寄せて空中で体勢を…………

(ズダンッ!!)

整えられなかった…………思ったより穴が浅かった。
…………痛い。肩から思い切り落ちた…。
この感触は、肩……外れたかな?

「だ、大丈夫ですか?」
あ、ミルさんが心配してくれてる……。
「ああ、平気・・・・・・って、少し、痛いかな?」
「す、すみません。私の不注意で・・・」
ミルさんがオレの腕の中で小さくなっている……。
とりあえず、ミルさんを立たせて体の異常がないかどうか確認してもらう。
オレもその間自分の体のチェックを…………。
って、あ〜、やっぱり左肩外れてるな、これは。
折れてはいないみたいだから、まぁ、いいか。
「・・・痛っ!?」
…………あ、ミルさんにも怪我があったか。



(ガラガラガラッ)

………………………………なんか、すごく嫌な音を聞いたような……。
「・・・・・・あ、入り口が!」
………………やっぱりですか?

(2002.09.19)


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