モンキー・ラヴ・ダンス(iv)
アオヌマシズマ
モンキー・ラヴ・ダンス(ii)
情景・夕暮れの帝都より
貴重な青春の日々を今日も1つ
無為な迫害によって浪費してしまった「彼」は
やっとこ下宿先にたどり着いた。
仕官学校生専門アパート。
6畳1LDKが「彼」の唯一にして最後の「砂の城」。
ドアを開けると
「彼」と同じ「向こうの住人」の少年が上がり込んでいた。
長年弄ばれたクチなのであろう。黙っていても伝わってくる「オーラ」がある。
少年はイワンと言った。
友人が一人しかいない「彼」は嫌でもこのイワンと会わなくてはならない。
そして、なんと言おうか・・・同族嫌悪ってヤツ?
「向こうの世界の住人」の習性として
俺はこんなクズとは違う。一般人だ。
と互いを見下しあってたりすんだが(彼とイワンもご多分に漏れず)
周りから見りゃ大差ねーんだよな。
2人には一度、じっくり鏡を見る事をおすすめしたい。
全ては自分を知る事から始まるのだから。
「彼」とイワン最大の共通点は
歪んだレンズの持ち主であり、冷静に全ての物事を突き放した視点で見ているところだ。
だからこそ「彼」もイワンを見込んで友人になろうと思ったのだろう。
2人が喋り出すと、毎回「自分達オタクの存在意義」「現実世界の必要性」「童貞は悪か?」等
不毛な論争に展開する事が多い。
変則型の傷の舐めあいみたいなもんだ。
つづく
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