モンキー・ラヴ・ダンス(viii)

アオヌマシズマ

友人(腐れ縁)イワンとの不毛な議論から一夜明けて・・・


    −−−情景・士官学校にて−−−



「ねぇ、ちっといい?」

『彼』ことスケキヨは困惑した。
クラスの女子、それもちょいヤンキー入ってる
いかにも『遊んでおります』といった風の娘が
自分に声を掛けてきたのだ。
スケキヨが「コイツとは卒業するまで一言も会話しないだろうな」
と位置付けたタイプの人間だが…

      刹那

彼の頭に浮かんだ図式はこうである。
こ〜んな可愛い娘が俺なんかに何の用だろ?
シナリオ分岐1:「ごめーん。ノート写させてくんない?」
             ↓
          なんてこた無い。
  たまたま手近に居たってだけで
  別段俺でなくてもヨイのだ。便利屋なら。
  ある意味OK。というかコレが一番望ましい。
  無難こそが至福。

シナリオ分岐2::「キショいんだけど。今すぐ首吊ってくんない?」
             ↓
           BadEnd確定。
  目的 = 暇だしコイツでもイジメて適当に遊ぶか〜
  ここから派生するコンボで今日も気分は最悪。
  女は独善的で思い込みが激しい人種が多い。
  従って男の『ソレ』よりも大分タチが悪いと思われる。

シナリオ分岐3:「貴方の為に三分間祈らせてください。」
             ↓
          祈ってください。


            ・
            ・
            ・

昼休み。
他の生徒達が、学生食堂や近場の店へ向かう中
スケキヨは教室で独り、机に突っ伏していた。
「今、この時間だけは独りで居られる…」
彼にとって学校で唯一、心休まる一時に
突如発生した『突発イベント』であった。
とにもかくにも…


「・・・」
スケキヨは警戒心に満ちた瞳で
娘の方へ向き直った。


「もしもーし。起きてますか?」

「別に・・・ただボっとしとっただけ」

「スケキヨ君って、いっつも1人だよね。お昼どうしてんの?」

「別に・・・関係ないだろ。」

「ねぇ。一緒になんか食べ行かない?」

「・・・は?」

「お昼。食べてないんでしょ?」

「い、いや。その。まだですヨ。
 腹すいてる、ますけど。」

「じゃ行こ? ね? いいっしょ?」

「あ。えぇ、あぁ、はい。うぇ?」

「決まりっ。昼休み終わっちゃうよ。はやくはやく〜」

人懐っこい笑顔でスケキヨの手を引っ張る彼女であった。


正解=シナリオ分岐4:昼食に誘われる
予想を完全に裏切る展開に
完璧ロレツが回ってないスケキヨ君(17歳)。


つづく

(2002.09.18)


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