モンキー・ラヴ・ダンス(ix)
アオヌマシズマ
前回までのアラスジ
無為に過ぎ去る青春の日々。
『自分はこのまま何の進展も無く、朽ちていくのだろう』
そう思っていた矢先の事。
『彼』ことスケキヨは、思いがけず
『異世界』と接点を持つ事になった
[M]onkey − Love − Dance \
生きてると思ったら、死んでいた
少女の名はエ・ラヴェールといった。
顔はまぁ『可愛い』の部類に入る。
ただ、ちょいヤンキー入ってて近づき難い雰囲気があった。
髪はボサボサな感じのセミロングで、明るめの茶髪。
なんとも言えない気だるさを纏っており
自分と同い年とは思えない程・・・とても、大人びていた。
彼女はよく士官学校をサボり、1人、街をブラついていた。
ただしその日は・・・
「カラオケ行こ、カラオケ。」
「ひ、昼飯食うんじゃ、なな、なかったのかよぉ〜」
お供が約1名。
突然、そして全く思いがけない事であり
スケキヨには未だ現実感が沸いてこなかった。
俺は
何故
この女の子と一緒に居るんだろう????
『未知の生命体』である『少女』
エ・ラヴェールが発する
言葉の端々から、スケキヨは必死に分析を試みる。
「ん? 少年っぽいヒト好きなんだよね。あたし。」
人にはそれぞれ、趣向というモノがある。
当然の事ながら…
居るのだ。世の中には。
『物好き』が。
確かに『彼』の顔つきは、年齢不相応。
あまりに『可愛いらしすぎる』。
童顔、であった。
それは人生経験の薄さから来る。
ルックスは遺伝子の成績表。
その人間に対する『総合評価』が
顕著に表面化するモノだ。
故に『見た目』で判断するのも『中身』で判断するのも結局は同じ事。
(と、彼は結論付けていた)
「スケキヨ君て、今彼女とか居ます?」
「い、いや・・・全然。」
「あれ、そうなんだ? 普通にモテそうなんだけどね」
「(お、お世辞か? お世辞なのか?)な、なんでそんな事聞くんスか」
「ちょっとね」
なんのつもりだ? このヤンキー女。
もしかしてもしかするのか?からかってんのか?
エ・ラヴェール・・・見るからにこの少女、男性経験は豊富だろう。
望む、望まないに限らず、初体験は早かった筈だ。
12? 13? 14?
女のほうが恋人つくりやすいのは確かだな。
おそらくそんなモン。ああ、気分が悪い。
自分が引き篭もってウジウジしとる間に、こいつは『進んで』やがった。
にも関わらず何故に自分なんだろう?
いや・・・だからこそ自分なのか?
豪勢なディナーばっかじゃ飽きが来る。
「たまには庶民の粗食でも食ってみるかのぅ。フォフォフォ」
って事ですか?
あるいは、彼女は自分の様な『変則型』に『癒し』を求めている??
いやいや、変に期待もつなよ。スケキヨ。
そうやって何度奈落へダイブした?
暇つぶしなんだよ。後でクラスの仲間との話のネタにするつもりなのさ。
「・・・声かけんのさ」
「うぇ?」
「スケキヨ君に声かけんの、けっこー勇気要ったんだから。」
「ぼ、ぼぼぼ・・」【会話慣れしていない為、とっさに言葉が出て来ない】
「いーーっつも怖そぉ〜〜な顔してるじゃない?
あからさまな、自分にはかまうな!!みたいな雰囲気。
ずーーと前からいつ声かけよー、いつ声かけよーって悩んでた。」
そんなスケキヨの戸惑いを知ってか知らずか…
「こう見えて結構シャイっすから」
と、エ・ラヴェールはおどけてみせた。
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日が暮れる。
つづく
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