モンキー・ラヴ・ダンス(x)『マニュアル通り happy life』
アオヌマシズマ
「・・・朝か。」
カーテンから差し込む朝日で、スケキヨは目を覚ました。
脇では少女が1人、すやすやと寝息を立てている。
「・・・どんぐらい学校行ってねーんだろ。」
エ・ラヴェールとの出会い・・・
あの日からおよそ一月経つ。
この間、2人は一度も登校していない。
じゃーー何してたのよ?とゆーと
街へ繰り出し、派手に遊び、色々なヒトに会い、泣き、笑い、怒り、喜び…
勿論最初は戸惑い、流されるだけだった。
エ・ラヴェールの真意が解らないまま、振り回されるばかり。
だが、仕官学校と寮を往復するだけの生活を送っていた彼にとって
彼女と過ごす日々、そこで垣間見る世界は、ただただ、新鮮な驚きに満ちていた。
今まで彼が所詮は凡人共の薄っぺらな世界
(というか、 そう決め付ける事=自我を保つ手段 に過ぎなかったのだろうが)
としてしか見ていなかったモノが・・・こんなにも素晴らしかったなんて!!
煙草は身体に悪いだけです。馬鹿の吸うもんです。
お酒なんて飲めません。飲みません。
結婚するまでセックスなんてしません。(ヤりたくても出来ないだけという噂)
ギャンブルなんてしません。馬鹿がヤるもんです。私は健全に生きたいんです。
クスリは人間を辞めなくてはなりません。論外です。クズのやるものです。
自分はなんてツマラナイ人間だったのだろう。
スケキヨは心の底から震えた。
『あぁ、俺は本ッッ当に無為な時間を過ごしていた』
遊びに限らない。
やりもせずに、最初から全ての物事に目を閉ざしていた。
今まで、自分がイワンと交わし続けていた
あの不毛な議論はなんだったのだろう?
世の中って、なんでこんなに馬鹿ばっかりなんだろう
↓
実は自分の方が馬鹿だったんですな!!
有意義と信じ続けてきたあの激しいディスカッションは?
回答:時間の浪費。
閉じた世界、閉じた交友関係、17にして柔軟性を失った思考。
不毛な愚痴を喚いていたところで何も変わるものではない。
ウダウダ言ってねーで様はやってみる事だ。全てはそれから。
良いか悪いかはそれから判断すればよい。確実に得るものはある。
そんな当たり前の事が、改めて実感として解った。
生きるっていうのは、楽しいコト。
それを、まさか、自分がツマラナイヒトタチと決め付けていたであろう
こんな・・・不良少女に教わる事になるとは。
つづく
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