モンキー・ラヴ・ダンス(xiv)

アオヌマシズマ

          其の壱拾四
『真性の駄目人間が読んだ後、絶望を感じる代物ですから』


「齢17、人間そう簡単には変われない」
スケキヨの持論だ。(だった)
では何があった?
何が彼をここまで変えた?

そりゃ
やっぱ、これに尽きる。

初えっち。


『事に至るまでの過程』については
今となっちゃスケキヨ自身、記憶が曖昧。

少年イワンの『訪問』より遡る事数ヶ月。
いつもの様にエ・ラヴェールに連れられて街へ繰り出し
その悪友達と共に『酒』というモノを
これまた『ハジメテ』飲んだ日のコト。
身体は正直。
いきなり周りのペースに合わせようったって、そりゃ無理だ。
身体は受け付けません。
世界が回る、回る、回る・・・

気が付くと、其処には見慣れた天井。

『エラヴェの部屋・・・。』
グラグラと揺れる意識の中、彼はか
ろうじて状況を認識する。
泥酔した自分は、ひとまず近場のエラヴェ邸へ運ばれたらしい。

「生きてる〜?」

仰向けのスケキヨを
ベッドに腰掛け、覗き込む少女。

虚ろな意識の中、頭にタオルを乗せられながら
『あぁ、もう17だってのに。自分は酒も満足に飲めないのか』
−−−少年スケキヨは、特殊スキル・自己嫌悪を発動していた。
そこから派生するダメダメ思考。
さぁさぁ脳内マスターベイションの幕開けだ。

とまぁ、いつもの彼ならば『ここまで』だ。
あくまで自分の内面のみで全てを完結させる。(もとい、やり過す)
決して外部に漏らす事はしない。
『自分を晒す』?
論外だ。迫害が日常である彼にとって、最も避けねばならない愚行。
かの少年イワンにさえも、結局のところ
根っこのトコロにある本音は話さない。決して。

だが

今回に限り、これまでと決定的に異なる『要素』が加わっていた。それは…
酒の勢い。
脇に腰掛ける少女エ・ラヴェールに向かい、彼は堰を切った様に語り始める。

自分がどれほど惨めな青春を過ごし
どれほど『世界』を憎んでいたか
どれほど『人間』を憎んでいたか
望まない生、かと言って死に至る事も無い。
どれほど『自分』から逃げ出したかったか・・・

ETC ETC もう止まらない。
『せっかく掴んだこの幸運を離したくない』
だからこそ、それまで隠し通して来た内面の醜部を
全て、余すところ無く、晒してしまった。
よりによって、この少女に。


つづく

(2002.10.07)


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