モンキー・ラヴ・ダンス(xv)

アオヌマシズマ

前回までのあらすじ
泥酔したスケキヨは、その場の勢いとは言え
他人こと『敵』に対し、初めて『自分』というモノを曝け出した。
大量の血液は、見せ付けない(謎)



          猿【哀】踊 N
 
  【  僕 は も う  戦 わ な い  】


語る少年スケキヨ。
黙って耳を傾ける少女エ・ラヴェール。

ややあって。
今度はエ・ラヴェール自らもが『真実』を語り始める。
それはスケキヨが初めて他者に『受け入れられた』瞬間…


「あたしもあったよ。君みたいな時期」

「地味で冴えない娘。多分、誰かに愛される事なんて無いんだろうなって」

そんな少女が、生まれて初めて恋に落ちた日の事。
視野が一直線の15歳。(同義語:若気の至り)
そして訪れた、サイアクの別れ。
残されたのは罪なき幼子。

「遊び出したのはその頃から」

「色んな男と付き合ったけど、結局誰もあたしの事、解ってなかった」

「あの頃は普通じゃなかった。ちょっとしたきっかけで一気にどん底」

「何回くらい手首切ったかって? ・・・うーん。覚えきれないくらい」

「こうして自分に罰を与えることで、許される気がする。」

「自分の血を見ると落ち着く。多分、そんな事考えてたんだと思う」

「こういう見た目だから誤解されんだけど
 部屋で独りっきりで居る方が性にあってんだよね。本当は」

「でも、それ以上に寂しがり屋。
 誰かと一緒でないと、不安になってしまう。
 自分は誰にも必要とされていないのかなって」

「だから、街へ出る。息が詰まらない様に」

根は素直で素朴な優しい娘。
他者との関係を望みながらも傷つく事を極端に恐れる娘。

「君と、同じだよ」

この人になら、全部見せられるかな。
この人なら『私が安心して帰れる場所』になってくれるかな。
今度こそ、きっと。
ずっと、君に何かを感じてた。
だからあの日、声を掛けた。


そして


見た目が自分好みだった事。
 
まぁ、結局はそれか。


つづく

(2002.10.09)


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