モンキー・ラヴ・ダンス(xvii)『ある意味』

アオヌマシズマ

情景:前回の続き

スケキヨは、エ・ラヴェールの肩を優しく抱き寄せ
そっと口付けした。
抵抗する様子は無い。
ていうか、舌入れてきやがる。やりやがったなこのヤロウ。


俺は今、なんかトンデモナイ事してんじゃないだろうか。

この世に生を受けて17年、自分の身には決して起こり得ない筈の
奇妙なシチュエーション。
スタコラと逃げ出したくなる気持ちを抑えながら
負けじと(?)自分からも舌を絡ませていく・・・

緊張感でどうにかなりそうだ。
はっきり言って、到底えっちぃ気分なんかにゃなれない。
こんなんだったら独りでコいてた方が全然マシだ。
が、ここはぐっと堪えて、流れに身を任せるべし。

『・・・あぁ。キスって、ほんとに甘い味がすんだ』

First KIss達成の最中、ガチガチ緊張しまくり男は
こぉんなおマヌケな事を考えていた。
後に彼は、こうノタまう。
「比喩表現だとばかり思ってましたよ。」

あったかい。
細い。
小さい。
やわい。
小動物みたい。
壊れてしまいそう。

一方では怯え、また一方では陶酔し切った自分が居る。

『やべー、頭ん中痺れてきた・・・
 あぁ、もう、なんか、このままでいいや。
 俺は今、最高に幸せです。もう一杯一杯です。』

・・・待てや。キスができればhappy? 純情初恋少女か? あんたは。
もう満たされちまったのか? こんな所で終わっていいのか?
違うだろう。スケキヨ。
お前はもっと先へ行かなければならない。
これまでの『借り』を取り返さなくてはならない。
さぁ、漕ぎ出せ。冒険の海へ。

思考停止寸前・・・今にも吹き飛びそうな理性を堪え
スケキヨは自らに言い聞かせた。
そして恐る恐る、少女をベッドへ寝かせる。

つづく

(2002.10.11)


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