モンキー・ラヴ・ダンス(xxviii)『イワンの馬鹿』

アオヌマシズマ

タッキ−は去った。

          完結編・イワンの馬鹿
        それが君の、望んだ世界。(つづき) 

ぽんっ

『そうだよ!! この糸、相手に繋がってんだとしたら
 きっとコミニュケーションできる筈だよ!』


イワンは目を瞑り、糸を2.3回引っぱってみた。
・・・しばらく待ったが反応がない。

『・・・やっぱドッキリですか? どこぞの誰かさんが、隠れてボキの滑稽な様を笑ってんですか?』

半ば諦めかけたその時・・・!!
反応アリ!!こちらがしたのと同じように、糸を引っ張り返してきたのだ。
私は、ここにいるよそう、言っているに違いない。

『・・・なんだ、いるじゃん。
 しょうがないなぁ、信じてやるか。ホラ、行けよ、絶対大丈夫だよ。これはもうフィクションじゃないよ』
−−−少年イワンは『素直に喜ぶ事』を、潔しとは思わない。
   だってさ、1つ良い事があったって、どーせその万倍、不幸が待ってんだから。
   これまでの人生、ずっとそうだった。ヌカ喜びはいい加減ウンザリなんだよ。


居る。この先に。
ただそれだけを信じ、黙々と歩き続ける。
右に曲がり、左に曲がり、階段を上り降り・・・。さすがに疲れてきた。一体いつ会えるんだろう?
イワンは壁にもたれ掛かり、窓の外をぼんやりと眺めた。
ふと、中庭を見下ろすと、木陰で腰を下ろしている娘が居る・・・。
若草模様のワンピース姿がとても可愛らしい。靴を脱いで足を伸ばしている。
『あの娘?? どこかで??』
イワンは、引き寄せられる様にフラフラと中庭へ出ていった・・・


29へ続く

(2002.11.09)


『モンキー・ラヴ・ダンス(xxvii)』へ
『モンキー・ラヴ・ダンス(xxix)』へ

年表一覧を見る
キャラクター一覧を見る
●SS一覧を見る(最新帝国共和国クレア王国
設定情報一覧を見る
イラストを見る
扉ページへ戻る

『Elegy III』オフィシャルサイトへ移動する