モンキー・ラヴ・ダンス(xxxi)『イワンの馬鹿』
アオヌマシズマ
遂にめぐり合えた『運命のヒト』!!
震えた!! 少年イワンは歓喜に震えた!! ゲロ吐きそうなぐらいねッ!!!
と、その時!!!
脇の草村から1人の男が飛び出してきた!! そして一言!!
「ハイ、ハイハイハイ、ゴメンナサイ。 今までのは全部どっきりでしたぁ★」
完結編・イワンの馬鹿
君 は 踊 る 殺 人 鬼 と な る
男がそう言うと、周りからウジャウジャとスタッフが出てきて、拍手喝采が起こった。
「すいませぇーーん♪ 実はこの『赤い糸』は
我々心理学科のゼミの研究として全部仕組まれたものだったのです。
あっはっは。ビックリシマシタ−−??」
「???????????????????」
え、ええと・・・・・。この男は何を言ってるんだろうかね? ボキはたった今、運命の出会いを果たしたんだよ。ねぇ? うん。 そこで問題。『ドッキリ』ってナニ? な、なな、ナニ???? どういう事? う、うべ? うべぼ??
・・・・カンペキ錯乱状態に陥るイワン。 そして、予定調和な返答。
「そ、それじゃあ、今までのは全部・・?」
「はぁーーい、ヤラセでぇぇ〜す★
様々な方面からサンプルを選び出しまして
『特殊な条件下で、ヒトはどの様な行動に出るか?』
といったテーマの元、終始調査させて頂きました〜。
『赤い糸』は君の友達・・・スケキヨ君って言ったっけな?
彼の協力で、アナタが寝てる間に、こう、びしっと腕に装着♪」
「・・・・・・(。△。 )」
膝から落ちるイワン。 そんな彼に、ワンピースの少女は屈み込んでこう告げた。
「ごめんなさいね♪ 騙したりして」
・・・グルだった。
『イヤイヤ、全然気にしてないですよ。 あなたはどう見たって一般のオンナノコだし、話が美味すぎるな、と思ってはいたわけです。 ストーキングしてやんぜファッキン!!!・・・なぁんて事は全く考えていないので大丈夫。 こういう事に関しちゃ、もうプロですから。諦めも早いです。っていうかもう諦めてます。はっはっは』
・・・・・・なんつー事を言う余裕は、無論、今のイワンには無し。
「やぁーー、それにしても大掛かりな実験でした・・・うんうん。
糸のことも、事前に全て周囲に通知しておく必要がありましたからね。
20人体制ですよぉ? でもまぁ、おかげで良いデータがたくさん取れましたよ」
−−−男の声は、最早イワンの耳には届いていない。
白濁した意識の中、彼の脳裏に浮かんだのは、あの時の『タッキ−君』の顔・・・。
彼も・・・ボキと同じく『サンプル』にされちまったのだろうか。
それでも『思い出』を『過去』に変えて、強く生きていくのかなぁ・・・
空が、黒い。 それまで堰き止められていた『何か』が、ゆっくりと・・・しかし、確実に、壊れていく。 『全世界への憎悪』『大多数のコピー人間に対する憤然たる思い』 ドス黒い衝動が、凄まじい勢いで吹き上がってくる・・・
ゼミの学生らは、そんな自分を見てクスクスと笑っている。 滑稽でくだらない、見世物小屋の『カタワモノ』を見るような目だ。
「・・・・・・・・・」
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン
・・・もう、止められない。『限界』はすぐに訪れた。 今日の今日まで、貯めに貯め続けた『負』が、 スケキヨの『それ』とは全く違う最悪の形で、今、解放される・・・。
つづく
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