モンキー・ラヴ・ダンス(xxx)『イワンの馬鹿』

アオヌマシズマ

立ち尽くしていた・・・。ただ、立ち尽くしていた。

再び糸を辿り始めたイワン・・・
今、彼の視線の先には、先ほど学校の中庭で別れた筈の
ワンピースの少女が居る。
そう、糸は、彼女と繋がっていたのだ。


       完結編・イワンの馬鹿
   それが、君の望んだ世界(つづき)


−−−こ、今度こそ間違いない。
   あの娘が、ボキの、運命の人・・・ッ!?

『どうするよ、抱きつかれるよ。オッパイ当たっちまうよ。
 ・・・っていうか、そういうことじゃないよな。ううん、何て言えばいいんだ・・・
 あの若草模様のワンピース。
 さっきは糸の事ばかりに気を取られて気が付かなかったけど・・・
 どこかで。どこかで見た筈だぞ。
 ??????? もしかして?? あの娘、もしかして・・・・????

−−−アラを探せばイヤなほどボロボロ出てきそうだ。これ以上深く考えない事にしよう。
   と、とにかく声を掛けるんだ・・・それで全てが解る。勇気を振り絞れ、ボキ。

 「あ、あ、あのーう、ちょっと。」
少女が振り返る。
 「あれ、アナタたしか・・・。どうしたの?」
 「あの、ホラ、糸、糸・・・」
そう言って、足元を指差すイワン。
少女とイワンの『赤い糸』は、ちょうどその真下で繋がっていた。
 「・・・あーーーーー!!!」
 「な、なんていうのかな。ハハ、お、面白いもんだね。世の中って。」
 「あなただったんだー・・・」

      ・
      ・
      ・
そして、2人は並んで歩き始めた。
 「・・・・・」
 「・・・・・」
 「さ、最初にさ」
 「ん?」
 「最初にさ、君に謝っておかなきゃいけない事があるんだ」
 「え・・・なに?」
 「本当は、さっき学校の中庭で会った時、気付いておくべきだったんだよ。
  お、驚かないで聞いてくれよ。
  き、君とボキは既に・・・出会っていたんだ
 「??????
  ちょ、ちょっと待って? ゴメン。なんかイキナリすぎて頭ん中の整理がつかないよ・・・」
 「ううん、ぼ、ボキこそ、1人で先走っちゃってごめんよ。
  そうだよね。君が覚えてる訳ないんだ。
  だってあれは、きっと…ううん、正真正銘タダの夢だったんだから。
  ネクラオタク野郎の、他愛も無い妄想なのかもしれない。
  そんな事は百も承知さ。ううん、だけど、もしかしたら・・・もしかしたらさぁ・・・
  その、だからさ、今からボキが話す事を、聞いてくれないか・・・」

少年イワンは、少女に『あの日のデート』の事を話し始めた。
  一緒に劇場へ行った事、公園で色々な話をした事、そして、突如訪れた悲しい別れの事・・・


 「・・・」 
 「け、軽蔑したかい? ねぇ、ゴメンよ。でもこんな偶然もあるんだなぁって・・・」
全てを語り終え、イワンが自嘲気味に漏らす。

 「・・・たよ」
 「え??」 
 「私も、見たよ・・・。それとまったく同じ夢を・・・。」
 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」

イワンはぶっ飛んだ。
なんたること!!! この少女も同じ光景を見ていた!! つまりは自分と『繋がって』いた!!

 「あ、ああ、ああああ、そそ、その、それはつまり・・・!!?」
 「・・・クス。なんて言ったらいいのかなぁ。
  ロマンチックだよねぇ。映画みたい。
  ねぇ、あの日の事はさ、神様が、この運命的な出会いを前にして
  私達に見せてくれた・・・ステキな予知夢だったのかもしれないね」
 「う、うん!! うんうん!!! きっとそ、そそ、そうだよ!! マチガイないよ!!
  世の中まだまだ捨てたもんじゃあないんだね!!! ヴ、ヴァンザーイ!!!!
  そ、そそ、それじゃあ、俗に言う『運命のヒト』っていうはキミのこと・・・!!!」

−−−少女はにっこりと微笑み、肯くのであった。


つづく

(2002.11.09)


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