モンキー・ラヴ・ダンス(xxxii)『イワンの馬鹿』
アオヌマシズマ
「愛キャ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!!!!」 『彼』が胸元から取り出したのは、冷たく光るナイフ。 奇声を発し、ワンピースの少女めがけて突進する少年!! その名はイワン!!!! 少年・イワン!!!!
完結編・イワンの馬鹿 君 は 踊 る 殺 人 鬼 と な る
「・・・・・??」
何が起こったのか理解できない、少女はそんな表情(かお)をしている。 『トウフ』を突いた様な軽い感触と共に、刃は少女の胸元に深々と突き刺さった。 みるみるうちに鮮血が溢れ出て、若草模様のワンピースを赤黒く染めていく・・・。
「う・・・うわわ・・・うあわわわわああああああああ!!!!!」
男が叫ぶ。と共に、周りのゼミ生達は我先にと、その場を一斉に逃げ出し始めた。 少女を助けようとする者?ファッキン。ンなヤツ居ると思うかい? 勘違いしてもらっちゃ困る。アンタラの命にゃ元々一銭の価値もありゃしない。 ヒトもムシケラも変わりゃせんって。動く肉塊。宇宙の塵。 されど、誰しも自身が一番可愛い。どんな局面になろうと、いっちょ前に命乞いだけはしやがんだ。 その場に居合わせた者全てが『エゴの塊』となり、醜く蠢いてたってわけさ。
「ガバーダダダダデアダー!」
少年イワンは白目を剥きながら、倒れた少女を尚もメッタ刺しにした。 返り血が、肉片が、何やらワケの解らぬ体液が、彼の全身に飛び散っていく。
気付くと、其処には『挽き肉状の物体』がヒトツ。 仕上げとでも言わんばかりに、イワンは辛うじて原型を止める『右の乳房』を揉みしだき始めた。
「や、やや、やわいねぇーー 肉まん? マシュマロ? エヒャヒャヒャひゃひゃひゃ!! こんな柔らかかったのか!YOOOOOーソロ−−!もうビンビンだぜチキショー!」 あぁ!お、おお、オマエラ何様のつもりで偉ぶってんだ!? 糞饅頭喰わすぞコノヤロウ! オマエラはテメェの肉が気持ち良けりゃいいのか? ふ、ふふ、ふざけんな。そんな肉コワしてやる!オマエラみんな敵だ!!」
既に物言わぬ『物体』に向かい、ノタマうイワン。 と思えば、今度は優しく愛撫をするように揉みしだきながら、こう続ける。
「ゴメンよゴメンよゴメンよゴメンよ。SOrrySOrrySOrrySOrry!!!!!! SOOOOOOOOOOrryYYYYY そりゃあ、ぼ、ボキだってこんなこたぁしたかないよ。 オモシロタノシク、普通に暮らせたとしたらそれで満足だったよ。 でも、こうなる様仕向けたのはどこのどいつだ? オマエラだろ? そうだよ。悪いのはボキじゃあないんだよ。ていうか何故ボキだけが全てを背負わなきゃならない? 借りを返しただけさ!! 悪事は巡り巡ってオマエラに帰ってきたんだよ!! 解ったら黙って受け入れろ糞虫!!! あいつは・・・スケキヨは、たまたま女作って、そこそこ恵まれて 音楽ってぇ発散手段手に入れて、サゾいい気んなってる事だろうよ。将来安泰。万歳サンショーだね。 ボキはどうよ? ドォにもなりゃしない。肉とチカラと遺伝子に迫害された結果がこれさ。フヘヘヘ・・・・・・」
そして・・・乳房を握り潰し、絶叫!!(ドモりは治らず)
「お、おお、オマエラがボキを否定するなら、ボキもオマエラを全力で否定する!! ボキはどうせトチ狂った雑魚さ。ホラ、ボキヲワラエ、サゲズメ、コワガレ、イヤガレ! それがボキの存在意義だ! アイデンティティーだ! 弱肉強食?? なんだそりゃ!? 返せ!! ボキの青春返せ!!!!!!!!!」
「みんな死ね! 死んじまえ! オシマイだ馬鹿野郎! オシマーイおしまぁい、おしぃまい、オッシマイ・・・」
帝都の夕暮れに、イワンの叫びが木霊する・・・・
つづく
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