シルクス警視庁警視総監 ナヴィレント・ティヴェンス様 初めて御手紙を差し上げます。本日は、時間が無いので要件だけ伝えさせて下さい。 現在、我々異端審問所で審問が行われている《7番街の楽園》の従業員その他8名の裁判についてですが、本日になって、極めて興味深い証言が得られました。被告人の1人であるフォルティア・クロザックが、帝都シルクスの7番街で発生した殺人事件の犯行を自供したのです。犯行の動機については、殺害された2人が帝都シルクスでの連続女性失踪事件の実行犯達であり、彼女が犯行現場を目撃したがために狙われ、正当防衛としてやむなく相手を攻撃したところ2人が死亡したと説明しているのです。また、この彼女の証言の信憑性を巡り、異端審問所の裁判官達が乱闘騒ぎを起こし、現在、《7番街の楽園》で逮捕された8人に対する異端審問は事実上開廷できない状態となっております(この件については内務省と両竜神の総本山に通報済みです)。 そこで、このフォルティア・クロザックの供述の信憑性や、《7番街の楽園》で逮捕された8人に関する情報を検討する為に、両機関による合同の会議を開きたいと考えていますが、警視庁側の御都合や会議の開催日時、参加する機関(異端審問所としては両竜神神殿にも参加して頂きたいのですが)などについて、閣下の御意見を拝聴致したいということで、御手紙を差し上げました。可及的速やかに御返答をお願い致します。 それでは、警視庁の皆様の益々の御活躍を祈念しつつ筆を置きたいと思います。 新太陽歴4999年4月1日 リマリック帝国大学教授/異端審問所書記室長 デスリム・フォン・ラプラス |