(1)Part2突入にあたって このページの存在意義などに関してはPart1を参照のこと。 さて、既に文字だけで1MBを軽く突破してしまっている本図書館であるが、このコーナーだけは今でもほぼ完全な他力本願状態が続いている。ゲームをプレーする時間の絶対量はここ1年間減少している上に、その残り少ないゲームの時間がこのタイプのゲームに使われることは少ないため、皆様からの御推薦が無いと記事が増えない、という困った状態に陥っている。貴重な時間を割いて投稿をして下さった皆様には本当に頭が上がらない思いである。 現在紹介されているのは以下のソフト。残りのソフトはPart1を参照のこと。 (1)『ファントム Phantom of Inferno』 (2)『忘れな草』 (3)『なかない猫』 (4)『GUARDIAN』 |
(2-1)暗殺組織を舞台にした純愛系(?)ハードボイルド ──『ファントム Phantom of Inferno』 2000年2月にNitroplusが発表したアドベンチャーノベルズ。同社のデビュー作品となっている。以前、当図書館ラウンジ(BBS)にてふりすきー様から御紹介があったソフトで、商品紹介ページでは「ビジュアルノベル形式を採用」と書かれているため、こちらのコーナーで御紹介することとなった。 WindowsユーザーだけではなくMacintoshユーザーも楽しめるハイブリッドCDになっている。 本作品のあらすじは以下の通り。 主人公となるのは一人旅でアメリカの訪問中だった少年。彼はある事件で偶然にも謎の暗殺者「ファントム」(女性)と遭遇、彼女の属する組織「インフェルノ」に連れられて行く。本来ならば殺されるはずだった主人公は、命は助けられる代わりに過去の記憶を消され、ファントムの元で様々な暗殺術を学び、インフェルノ内で「ツヴァイ」という名前の暗殺者としての人生を送り始める。 だが、これは主人公達が巻き込まれる、過酷で数奇な運命の始まりでもあった……。 タイトルでも触れられているように、本作品は文芸様式としてはハードボイルドに属し、権力争いや陰謀といった題材や二転三転する緊張感たっぷりの場面展開、安易なハッピーエンドを排除して作られた重々しくて非情なストーリーなど、「ハードボイルドの魅力」が前面に押し出された作品であるようだ。「純愛系」の後にクエスチョンマークを挿入したのも、世間一般に言われている純愛系作品とは全く異なったイメージを受けたからである。また、主人公の心理描写が実に事細かであるのも特徴。18禁シーンは軽めらしい。 技術的な面に話を限れば、セーブデータの表示がおかしくなることがあったり、CGモードの起動に時間がかかったり、起動時に必ずAドライブ(フロッピーディスクのドライブであることが多い)にアクセスが行われたりするなど、細かい問題点がいくつか転がっている。また、パソコンゲームショップでの入手が困難であるという声も多い。ゲームの中身でなくタイトルロゴが原因になってソフ倫の審査をパスできなかった……との噂が流れている(真偽不明)。そのため、このソフトが欲しい方はNitroplusのホームページの通信販売にて入手すること。 近い内にクリアして、その結果を御報告したい。 追記:2001年4月22日付 『ファントム』の通販再開(DVDタイプニューパッケージ版)を確認。誤字脱字を中心にデバッグが行われているようである。 それから、ふりすきー様からの正式な推薦文が到着したので、それを御紹介したい。なお、黄緑色の背景が付いている部分の文章はふりすきー様に著作権が属するものとする。
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(2-2)廃校で待ち受けるものは──『忘れな草』 2000年にProject-μ(ギリシャ文字の「mew」)が発表したADV。プレー時にはDirectX7.1以上が必要。 ある日、フリーターとして生活を送る主人公・ソラの元に1通の手紙が届けられた。 その手紙には、彼がかつて住んでいた村付近で再開発が始まり、主人公が昔通っていた分校も取り壊されることとなったので、建物が取り壊される前に最後の生徒達で同窓会を行いたい、とあった。 この手紙には曖昧な部分が多く、差出人も不明であったのだが、主人公はこの差出人不明の手紙の言葉に従い、同窓会の為に10数年ぶりの帰省を果たす。はたして、子供の頃の思い出が残る昔懐かしい廃校で、彼は何に出会うのであろうか……。 では、本ソフトを紹介して下さったS.N.様の推薦文を御覧頂きたい。なお、黄緑色の背景が付いている部分の文章はS.N.様に著作権が属するものとする。
本サイト運営者である私自身の感想・評価については、こちらに掲載されている。 |
(2-3)バッドエンドに真の価値を持つサイコサスペンス──『なかない猫』 2000年7月にScramble HOUSEが発表したADV。 作品のオフィシャル情報はScramble HOUSEオフィシャルサイト内の「ばった」コーナーに設置されている。 本作品の主人公となるのは島田直樹。 ある夜、彼は自分の過去と思われる夢を見た。 それは、自分が義姉と体を交わす夢。そして、自分が義姉に促され両親を殺してしまう夢……。 この不可解な夢を見て以来、様々な異変が彼に襲い掛かる。 本来ならばいるはずの無い妹「あやか」の出現、直樹達の周囲に現れた「正樹」と名乗る男、頭に響き渡る謎の声、 そして崩壊と転落の淵に立たされる直樹の精神……。 彼の脳裏に現れる夢とは真実を語っているのか? 夢によって狂い始めた直樹の行き着く先には、果たして何があるのか? そして、彼と関わる女性達の運命はどうなるのか? この作品を「素晴らしい」ものにさせている要素は大きく分けて2つある。 まず第1に、この作品がサイコサスペンスとしてしっかりと成立している点。衝撃的なオープニングと、作品中で幾度と無く使われている「心臓の鼓動(効果音)」「水面で揺れる月(CG)」が、良い具合に読者の恐怖感を煽り立てている。サスペンスに欠かせない謎解きについてだが、作品世界の謎を読み解く為に必要な情報がメインヒロイン(=鹿島彩音)のシナリオで集中的に登場するので、可能ならば彼女のシナリオは最後に攻略したほうが良い(ストーリー上の欠点があるとすればここだろうか)。 また、ゲーム中のテキストが全て3人称で書かれている点も見逃すことはできない。複数の人間の心理描写をスムーズに展開させ、主人公に対する感情移入に歯止めをかける効果を持っている。主人公に感情移入し過ぎると辛くなってプレー続行が不可能になるシナリオ(バッドエンディング)も存在するため、1人称を排除した今回の試みは非常に良いものだと考えている(主人公への感情移入に明確な歯止めをかけなかったため多数のプレーヤーから反感を買った『ONE』の長森瑞佳シナリオとは正反対である)。 そして第2に、バットエンディングが非常に充実している点。衝撃的なオープニングに見合うだけの重くて痛いシーンが揃っており、グッドエンディング以上に見応えのある内容となっている。バッドエンディングで見せる主人公の壊れ具合や悲劇的な末路を迎える関係者の描写が非常に良い。具体的に書くとネタバレになるので書けないのが実に惜しい。これでこそサイコサスペンス(何かが違うような気がするけど気にしないように)。 逆に、思わず唸ってしまうほど凄まじいシーンが揃っているバッドエンディングを見た上で、日常的な光景が展開されているグッドエンディングを見ると、その日常性・平穏無事さが際だって感じられるようになる。 なお、本作品の18禁シーンの多くは陵辱系なので、そちらのシーンが苦手な方は注意が必要(本作品の魅力の半分以上はオープニングと多彩なバッドエンディングなので、それらを楽しめるだけの心の余裕が無いと辛い目を見る)。 また、操作性や音楽・CGなどに目立った問題点が存在せず、ゲームとしての技術的な完成度が高い点も見逃すことはできない。サイコサスペンスという作品のジャンルや陵辱系18禁シーンが多いこと、極めて「痛い」描写が多いことなど、万人受けするとは決して言えないところが難点であるが、作品としての完成度は高いので一度プレーされてはいかがだろうか。 本作品の攻略情報など、より詳しいことを知りたい方はLyre's Nestを参照されたし。 それにしても、「あやね」ルートのグッドエンディング……どう見ても「グッド」には見えないんですけど(苦笑)。 |
(2-4)多数の選択肢、そして無数のエンディング──『GUARDIAN』 本図書館では『LOE』の紹介でも登場したAaruが発表したADV。正確な発表時期は現在調査中であるが、対応OSなどから考えるに1999年から2000年にかけての作品であると考えられる。 物語の主人公となるのはとある男性。最初、彼は自分の名前と記憶を失った状態で、ダンジョンの中で寝転がっていたのである。ゲームを進めてダンジョンから脱出すると、彼は自分の正体を知ることになる。 名前は「アイン」 その任務は「レムトリア王国近衛騎士隊ガーディアン副団長としてレムトリア王女セーラを警護すること」 ところが、後になって、彼は別の男性から全く異なる事実を知らされることになる。 任務は「レムトリア王女セーラを暗殺すること」 どちらの言葉が真実であるか──それは、失われた本人の記憶だけが知っている。 果たして、「アイン」と王女の運命はどうなるのか? 大雑把に話すとこういった筋書きの話になる。 この作品の最大の特徴は、ソフト紹介欄に書かれている通り「マルチシナリオ・マルチエンディング」であることなのだが、その真実と詳細については、本ソフトを紹介して下さった18様に説明を譲ることにしたい。なお、黄緑色の背景が付いている部分の文章は18様に著作権が属するものとする。
「本当に90個のエンディングがあるのか?」と疑問に思われた方は、Aaruホームページ内にある『GUARDIAN』攻略情報(1/2/3/4/5)を参照されたし。本当に90個揃っているのである。『LOE』当時からこの会社に対しては「色々と拘ったソフトを作っているなあ」という印象を抱いていた人間であるが、ここまで思い切ったことをやってしまうとは……。ただただ脱帽するばかりである。 なお、前出レビュー中に名前の挙がった作品のエンディング個数は以下の通りである。 『コ・コ・ロ…』『コ・コ・ロ…Voice版』……24 『コ・コ・ロ…U』……30 『紅色ノ狂宴』……18 『LOE』……8(この他に、バッドエンディング直行する選択肢が複数存在する) |
(3)最後に 今のところは投稿記事のみしか掲載されていないが、折を見つけてこれらの作品のプレーリポートを紹介していきたいと考えている。その結果、詳しい記事が必要になった場合には、『CAMPUS』の場合と同様に別ページを作る予定である。それにしても、ゲームをプレーする時間が無いなあ……困った……。 『マンネリなギャルゲーに飽きた方へ』及び『面白いヴィジュアルノベル求む!』については、読者の皆様からの御意見も積極的に載せていきたい。 |