[15]「商品」として見た『ONE』の総合評価 社長:では、結論を出さねばならないな。 企画:はい。しかし……疲れましたね。 総務:全く……。 社長:締めは営業部長にお願いしよう。 営業:では、結論から申し上げましょう。 息を飲んで営業部長の言葉を待つ3人。 営業:基本的には商品として「成功している」と言うべきでしょう。 営業部長の結論に納得する3人。企画部長は思わず軽く手を叩いていた。 社長:ほぼ予想通りだな。 営業:そう……なんですが、実際にはこうも簡単には参りません。「基本的には」という留保が必要です。 総務:でしょうなあ。 営業:『ONE』は「プレーする人間を選ぶ、万人受けしづらいソフト」です。イラストにしろ脚本にしろ世界設定にしろ18禁シーンにしろ、『ONE』というソフトは癖が強いのです。最も癖が強いのはキャラクターの原画と世界設定で、熱狂的なファンが存在すると同時に、極めて強固な反対派の人間がそれなりにいるのではないかと思います。また、18禁ゲームとしてみた場合には落第寸前の内容でして、こちらも純愛系・感動系18禁ゲームユーザーに専門特化した内容と言えます。 企画:ふむふむ。 営業:しかし、あまり大きくない18禁ゲーム市場というケーキパイの、更にその中の感動系ゲームといった小さなピースの中では、『ONE』、『Kanon』、『AIR』といったKeyの作り出す作品は、非常に大きな影響力と人気を誇っています。一連のソフトは、この小さなピースを求めるゲーマーのニーズ──萌えや感動するシナリオ、18禁という後ろめたさからの脱却する為の免罪符──を完璧に満たしています。これに比類しうるのは『ToHeart』だけでしょう。もし、『ToHeart』と『ONE』以下の3作品を除いて、一連の作品群と肩を並べ得るほどのヒット作・傑作を18禁ゲーム市場の中で求めようとするのならば、感動系ゲームは一切諦めて、ALICE SOFTやelfなどのように「『ゲーム』としてまともに遊べるソフトを発表する能力と意思を持った会社」(*115)の作品に目を向けるしかありません。 企画:それでは、『ONE』をプレーしたことの無い方にこのゲームを勧めるとしたら、どうすれば良いと思いますか? 最初、私は「このソフトなら誰にでも勧められる」と思っていたのですが、総務部長や営業部長の話を伺っていると、万人に勧めるのはちょっと躊躇われるような気がするのですが……。 総務:『ONE』の中で万人に自信を以って推薦できる項目は音楽だけです。勧めるとしたら、ゲームの持つ問題点──人によっては生理的嫌悪を催す可能性があることをはっきりと言っておいたほうがよろしいでしょう。単に「泣ける」「感動した」「絶対にやれ」と連呼するだけではいけません。そして、話を聞いて相手が興味を無くしたのでしたら、これ以上無理強いするべきではないでしょう。あと、欲を言えば、このゲームはギャルゲー初心者には勧めないほうがよろしいでしょう。世界設定や文芸様式としてのファンタジー、更には極端な主人公の性格など玄人好みの要素が目白押しですので、初心者がプレーするにはちょっときつい(*116)と思います。『ToHeart』を先にプレーさせて、「純愛系・感動系18禁ゲームがどういう性質のゲームであるか」「ヴィジュアルノベルのゲームシステムはどうなっているか」を実感させた上で(*117)、この作品を勧めたほうがよろしいでしょうね。 企画:難しいものですね。 営業:しかも、『ONE』に対して肯定的な見解を取る人でも、『ONE』の最大の魅力を「感動系ギャルゲー」に求めるのか、それとも「哲学性すら漂う芸術性」に求めるのか、意見が分かれるのは必至なんです。実際、インターネット上のファンサイトや18禁ゲームのレビューサイトを見ても、どちらの考え方に軸足を置いているかによって、サイトの雰囲気や賞賛文の中身が変わってしまうんです。とりあえずは、「脚本中に『デウス・エクス・マキーナ』が出現することを受容できるか」、「説明文の量を減らしてプレーヤーの想像による補完を要求する世界設定を認められるか」、「ぷに絵と綺麗ではない背景に耐えられるか」──この3点が『ONE』に対する個人的評価・好悪を最終的に左右すると思いますね。まあ、結局は予想通りというか当たり前の結論になってしまいましたが……。 営業部長の言葉が終わると、会議室は静かになった。 社長:……ところで、1つ聞きたいことがある。 営業:何でしょうか? 社長:確か、この作品は家庭用ゲーム機に移植されていたそうだな? 企画:ああ、あの駄作ですか? 総務:「駄作」? 企画:はい。18禁ゲームの移植作としては、5本の指に入るほどの失敗例(*118)です。 社長:本当なのかね? 企画:はい(キッパリ)。 社長:ならば、これも分析の対象に加えねばなるまい。 総務:………………本当ですか? 社長:我が社の新製品がPlayStation2にでも移植されれば、それは新たな収入源になるはずだ。違うかね? 営業:まあ……その通りですが。 社長:それに、成功作の分析だけをしても意味は無い。失敗作の分析も併せて行い、両者を比較しなければならないはずだ。その失敗作の原作が大成功を収めていたとしたら尚更だ。……というわけで、早速移植版の分析に取りかかるぞ。 総務:ま、まだ続くんですか……(T_T)。 |
[16]「商品」として見た『輝く季節へ』の総合評価 社長:そもそも、PS版はどういう作品だった? 営業:まずは、KIDのホームページ掲載されているオフィシャル情報を一部抜粋してみましょう。
営業:初回限定版の2枚目はMIXCD。起動するとCGモードとサウンドモードが出現します。1トラック目にはハイレゾリューションCGが入っていて、ゲーム中のCG・原画の閲覧が可能でして。2トラック目以降にはCD-DAのパソコン版と同じ音楽が収録されております。それから、パッケージには「えいえんのせかい」の回想で登場した「ちびみずか」が登場します(*119)。 社長:ふむふむ。 企画:何すました顔で聞き流しているんです? これって、非常に重要なことなんですよ。 社長:しかし、それのどこが重要なのかね? 企画:(--#)ちびみずかの情報はネタバレなんです。そんな物を正々堂々とパッケージに載せてしまうスタッフの気が知れません。 総務:まあまあ抑えて……。 社長:(^^;)……なるほど。分かった。 総務:声優がいた……という話もございましたよね? 企画:キャスティングは以下の通りです。
営業:一応、名の知れた声優さんを起用していますので、音楽のところで触れました「声優ブーム」にしっかりと便乗した格好になっています。 総務:なるほど。 企画:しかし、これがまた失敗しているんです。 社長:理由は? 企画:人選はさほど問題ではありません。演技指導がまるでなっていません。何しろ、「アフレコに音響監督が不在だった」という噂すら流れているほどなのです。そして、その代わりに現場を仕切って演技指導をすべきであるCVディレクターの仕事ぶりも、決して誉められたものではないのです。 総務:それが何か問題でも? 営業:声優さんが台本を読んで得られたストーリーに対する印象と、ストーリーを書いた人間の解釈が異なっている場合は当然ありますよね? その時に、原作者の意向・解釈を現場の人々に伝え、その解釈通りに声優さん達に演技してもらうように仕向けるのが、音響監督でありCVディレクターなんです。ところが、彼らが仕事を怠けていたり仕事の現場にいなかったりすると、声の調子や台詞・脚本の解釈は全て声優さん任せになってしまい、脚本家と声優さんの解釈が正反対のまま録音が行われることが起こり得るんです。そして、『輝く季節へ』では、この現象が実際に起きてしまいました。 総務:そうなんですか……。 営業:さすがに、次からはそんなことは無くなりました(*120)けどね。 社長:この他の変更点は? 営業:ざっとこんなところだったと思います。 営業部長は立ち上がり、ホワイトボードに変更点を書き出していった。
社長:意外と修正個所は多いものだな。 営業:ハードが違いますから仕方ありませんよ。 企画:しかし、(3)と(6)を除く5つは全て改悪なんです。Windows版の良い所を全て帳消しにしてしまっています(--#)。 総務:それほどひどかったのですか? 企画:(1)は技術上の制約があったからやむを得なかったのかもしれません。しかし、改善の余地はあったはずです。確か、Win版『ONE』と同じ形式でテキストを表示していたPSソフトがあったはずですよね? 営業:『Prismaticallization』(*121)ですか? 企画:そう、それでした。そういった具体例があるのですから、参考にしてもらっても良いと思いました。ですが、これはまだ許せるほうでして……。 社長:他の4つはそんなにひどかったのかね? 企画:はい。(2)と(4)は明かに蛇足です。(2)についてはWindows版で完成された演出を放棄してしまっていますし、(4)については、追加したのはいいけど樋上氏のイラストとは似ていないんです。 社長:(5)は仕方の無いことだとは思うのだが……。 企画:18禁シーンや、喫煙・飲酒に関する情報を削除するのは一向に構わないと思いますよ。でも、その代わりに挿入したシーンというものが、他の部分と比較として、とにかく浮いて見えるのです。前後の矛盾を無視したまま完成品にしてしまった、という気がするんです。 営業:…………(--;)。 総務:追加シナリオはどうだったんです? 企画:…………。 総務:あの……企画部長? 企画:……申し訳ありません。あれについては、私は何も言いたくありません(--#)。 総務:は、はあ……(--;)。 社長:しかし、これでは論議にならぬではないか。 営業:仕方ありませんので、私が説明致しましょう。 企画:……どうぞ御勝手に。 総務:(こりゃ重傷だな……) 社長:それにしても、企画部長があんなに怒っている理由は一体何だ? 営業:とりあえず、清水さつきというキャラクターの位置付けですが、KIDのホームページに書かれていた説明では、「路上で車に轢かれそうになった所を助けたことにより浩平になついてしまう。面影がやや似ていることで、浩平を『お兄ちゃん』と呼ぶ」となっています。 総務:そう言えば、眼鏡をかけていますね。 営業:ええ。彼女はWindows版に登場した6人には存在しなかった属性──「眼鏡着用者」且つ「妹」を与えられたキャラクターです。 総務:しかし、これだけなら、企画部長が激怒することにはならない……はずですよね? 営業:はい。問題はここから先でして── 企画:いくら「妹」だからったって、「お兄ちゃん」と呼ばれたからすぐにみさおと「えいえんのせかい」の話が登場するのは反則だと思いますけど(--#)。 営業:(--;)……と、まあ、気を取り直して話を先に進めますが、このキャラクターのシナリオって、Windows版の6人と決定的な違いがあるんです。 社長:何かね? 企画:折原浩平が「えいえんのせかい」から帰還しないままゲームが終わってしまったんです(--##)。 総務:…………それ、本当ですか? 営業:はい(キッパリ)。清水なつきの成長を示すイベントが流れて、そのままスタッフロールが始まります。 総務:……はあ……そうですか。 社長:(^o^)こいつは凄いシナリオを考えたものだな。 企画:社長。笑い事じゃないんですよ、これは(--#)。 総務:ひょっとして、これがPS版の不評の原因? 営業:多分、そうでしょうね。 企画:それにしても……どうしてこんなへなちょこな移植になってしまったんでしょう?(T_T) 総務:……確か、KIDはこの作品がPS第1作になるわけではなかったんでしたよね? 営業:はい。KIDはソニーとの間にPlayStationのサードパーティー契約を1994年に締結しています。ですから、技術力が不足していたわけではありません。実際、『輝く季節へ』の1年前には、『テナントウォーズ』(*122)という優れたオリジナル作品を作っています。では、ギャルゲーのノウハウが全く無かったかというとそうでもありません。SegaSaturnで『瑠璃色の雪』(*123)を発表していますし、『輝く季節へ』と同じ時期にはSegaSaturnで『KISSより…』(*124)というオリジナルのギャルゲーを作り、これを18禁版に移植させるという快挙をやってのけています。そして、『輝く季節へ』の次にPlayStationで出たギャルゲー『Memories Off』(*125)は結構評判が良かったらしいんです。 総務:え? ということは……? 社長:ギャルゲーを作るノウハウも持っていた? 営業:はい。KIDは平均点を満たす程度の技術力を持っていたと思いますよ、間違い無くね。 総務:だとすると、どういうことなんでしょう? 企画:理由はどうでも良いのです。結果としてああいう仕上がりになったことが許せないんです。Windows版のイメージが崩れて── 社長:そう、それだ! 営業:……え? 社長:『輝く季節へ』に対して上がっている批判の多くは、Windows版を先にプレーしていた人間が言っているものだろう? 営業:ええ……確かにそうですね。 総務:つまり、Win版をプレーしたことのある人間がPS版に対する激しい非難を展開したせいで、PS版に対する悪評が定着してしまったと仰るんですか? 社長:私はそうではないかと閃いたんだ。Windows版と比較するから悪評になってしまう(*126)のであって、PS版オンリーで絶対評価を下せば、それなりの高い評価が得られるはずだ。 総務:どういう評価になりますか? 社長:家庭用ゲーム機でギャルゲーを出す時の必須アイテムであるCVは用意されており、主要ヒロイン6人のシナリオには極端な修正は加えられていない。Win版にあったキャラ萌え要素は健在であるし、画面構成はPS版『ToHeart』とさほど変わらない。音質の劣化やデバッグ不足、声優への演技指導の不徹底など技術上の問題が残されており、ここは減点要因になる。しかし、それを考慮したとしても、「商品」として見れば合格点を貰えるほどの出来映えはあると思うぞ。まあ、Windows版を体験した人間から見れば── 企画:だ〜か〜ら〜、改悪点だらけなんですって(T_T)。 社長:(--;)──ということになる。 営業:確かにそうかもしれませんね。それに、キャラ萌えのみを抽出して考えれば、清水なつきの存在は一方的に非難されるべきとは考えられ── 企画:いや、ダメです(キッパリ)。あれを入れるくらいなら、ベタ移植のほうがまだ良かったと思います。 総務:理由は世界設定の破綻……ですか? 企画:はい。彼女の存在はWindows版の完成された世界観と矛盾します。 営業:だとしたら、清水なつきシナリオに対する正当な評価というものは一体何になるんでしょうか? 社長:最も無難な回答としては、彼女のシナリオを書いた高林伸二氏がTactics社のスタッフから話を聞き、KID社内で相談を重ね、自分で考え抜いた末に得られた「えいえんのせかい」に対する解釈が、彼女のシナリオに現れていると見るべきだろうな。 営業:そうですね。一応、清水なつきシナリオのコンセプトは「原作に忠実なストーリーでありながら、よりこの世界を分かりやすく遊んでもら」うこと(*127)になっていました。ですから、そこにはどうやっても、なつきシナリオ作者である高林氏による「えいえんのせかい」の解釈が入ってしまうんです。 社長:まあ、Tactics社内に公式回答が用意されていない以上、シナリオを書いた当人を非難することは不適切だな。高林氏は「えいえんのせかい」を創造した本人ではない以上、氏の考える「えいえんのせかい」は、麻枝氏や久弥氏の想定した「えいえんのせかい」と異なってしまう。 総務:だとしたら、一番「悪い」のは? 営業:追加シナリオの企画を立ち上げて指揮した人間にも責任はあるのですが、追加シナリオを立ち上げたらWindows版における世界観との整合性に破綻が生じてしまうことを予見できず、追加シナリオの企画に待ったを掛けなかった人間にも部分的に責任はあるでしょう。少なくても、この件に関して、私はKIDのみを一方的に責めるのは不適切だと思います。 企画:まあ、そうかもしれませんがね……。 総務:しかし、それ以前に、Tactics社内で「えいえんのせかい」に関する統一見解を用意しなかった── 社長:(総務部長を手で制して)それを言い出したらきりが無いぞ(*128)。 企画:では、この移植はTacticsとKIDにとってメリットになったんでしょうか?(*129) それを考えてみましょう。 総務:微妙なところですね。Tacticsにとっては……メリットになったのでしょうね。 社長:どうしてだ? 総務:まず、移植計画を素早く進めることによって、まずはKIDから契約金──でいいのかな?──まあ、とにかく、PS版『ONE』製作権を売ることによって、次回作以降の制作費を増やせたこと。そして、Key設立騒動の混乱の余波が収まらないうちに、PS版『ONE』製作権を他メーカーに渡すことで『ONE』と「決着」をつけ、社内の人心一新を実行できたこと。この2つがメリットとして挙げられます。目立ったデメリットが存在しないので、TacticsにとってPS移植は成功だったでしょう。 営業:でも、問題はKIDなんですよねえ……。 社長:KIDにとって、この移植は良かったと思うかね? 営業:結論から言うと、成功・失敗相半ばしたと思います。成功した面としては、『輝く季節へ』がPS初のギャルゲーであり、PSユーザーの中にいるギャルゲーファンに、KIDの存在を認知させることに成功したことが挙げられます。特に、この後KIDはオリジナル作品となる『Memories Off』をPlay Stationで発表しようとしていたのです。もし、このオリジナル作をPS第1作として発表し、そのセールスが失敗だったとしたら、PS向けに恋愛ADVを供給していこうというKIDの市場戦略が崩壊していたと思います。 総務:そこで、第1作には著名で優れたパソコンゲームの移植作を発表し、知名度と人気の向上を図ってから、オリジナル作を公開しようとしていたのではないか──というわけですか。 営業:そんなところでしょう。当時、KIDは『KISSより…』を最後にSegaSaturn から撤退しようとしていましたから、絶対に失敗できない状況に置かれていたのではないでしょうか。失敗していたら、多分KIDそのものの存亡に関わる事態に陥っていたと思いますよ。それに、Windowsで『ONE』が発表されていることを知らないユーザーから見れば、この『輝く季節へ』は十分に魅力的な商品だったと思います。幸か不幸か、オリジナル作の『Memories Off』はなかなかの好評だったのですが。 社長:では、失敗したと面は── 営業:それは説明不要ですよ……ねえ、企画部長?(^^;) 企画:ええ。全くもってその通りです。『ONE』の熱烈なファンの心証を悪くしてしまったのですから(--#)。多分、5年か10年は根に持ち続けるでしょう。 そして、沈黙。 営業:どうでも良いのですけど。 総務:はい? 営業:PS版の清水なつきシナリオって、主人公は戻ってきていないんですよね。それなんですが……KIDのスタッフ──なつきシナリオを書いた高林氏って、「えいえんのせかい」をどう捉えていたんでしょう? 社長:『ONE』の全てが夢の世界の話だった、とか? 企画:え? 社長:いや、だから、エンディングが流れた後の主人公とヒロインの再会シーン、あれも全て主人公の「えいえんのせかい」で見た夢であり、本当は清水なつきシナリオのように、主人公は「えいえんのせかい」に溶け込んで消滅してしまい(*130)、現実世界には「永遠に」帰還しなかったのではないかと── 部長3人:んなアホなっ! |
[17]そして会議は踊り続ける 営業:これで、『ONE』に対する分析は一通り終わったわけですよね。 総務:……徹夜開けなのできついです……。そろそろ終わりましょう……。 社長:ああ。しかし、これは本当に疲れるゲームだ。 営業:ええ。 企画:それだけの中身があることも確かですが。 社長:なんかこう……気分転換が欲しいぞ。 企画:では、これなんかいかがでしょう? そう言って企画部長が取り出したのは、別のパソコン用ゲームソフトだった。 総務:またゲームで徹夜ですかぁぁ!?(TTT_TTT) EZ-O-Zappar社の新製品開発プロジェクトは、まだ始まったばかりである……。 |