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EZ-O-Zappar社の機密議事録(1)


[0]最初に

 これはパソコン用ソフトメーカーEZ-O-Zappar社(*1)が新しくパソコンゲーム市場に進出する際、ゲームの企画を検討すべく行われた企画会議の模様を紹介した……という設定で書かれている。なお、「EZ-O-Zappar」というゲームメーカーは架空の存在であり、実在する如何なる団体・組織とも関係しない。


[1]基礎情報の開陳

社長:さて、君達に集まって頂いたのは他でもない。実は、この度、我がEZ-O-Zappar社は、ビジネス用パソコンソフト以外にも、新たにパソコン用ゲーム市場への進出を果たすこととなった。
一同:(ぱちぱちぱち)
社長:そこで、まず最初に、どのような作品がパソコン用ゲーム市場でヒットするのか調査・考察を行った上で、我々はソフトの開発に取り掛かることにしたい。初めてのソフトだから、手を抜くわけにはいかないぞ。
総務部長(以下「総務」):はい。
社長:そこで、君達3人の部長に、昨今話題になったソフトについて調査・考察を行ってもらいたいのだが……。
企画部長(以下「企画」):それでしたら、このソフトはいかがでしょうか?

 そう言って懐から1枚のCD-ROMを取り出す企画部長。レーベル面には『ONE 〜輝く季節へ〜』と書かれていた。

社長:用意が良いな。
企画:はい。本日の会議の参考資料になるのではないかと持参致しました。私は完全クリアしております。
営業部長(以下「営業」):噂と評判は色々と聞いているのですが……プレーしたことは無いですね。総務部長は?
総務:私も名前だけしか聞いたことがありません。
社長:どういうソフトかね?
企画:1998年5月にTacticsがリリースしたWindows95及びWindows98向けのソフトです。
社長:では、作品の概要を聞かせてもらおう。
企画:かしこまりました。(おほん)えー、Tactics社が1998年5月に作りました『ONE 〜輝く季節へ〜』でございますが、キャッチフレーズは「心に届くAVG」。過去に他社から発売されました『雫』(*2)『痕』(*3)『弟切草』(*4)のように、画面上に表示されます文章を読み進めていきながら、途中で出現する選択肢を選ぶことによってゲームが先に進んでいく形式を使っております。
社長:昔のゲームブックを高度化したようなもの、といったところだな。しかし、ゲームとしては面白みに欠けるのではないかね?
企画:はい。確かに、ゲームシステムで奇をてらったようなことをしておりません。しかし、この『ONE 〜輝く季節へ〜』という作品の最大のセールスポイントはストーリーであると考えています。下手に奇抜なゲームシステムを導入してしまったとしたら、プレーヤー達の考えが「奇抜なゲームシステムを解いて楽しむ」ほうに向いてしまわないかと心配したのでしょう。「ゲーム」としてゲームを楽しまれるのでしたら、奇抜なゲームシステムでもあったほうが良いでしょう。しかし、繰り返しになりますが、この作品で楽しんでもらい、感動してもらいたかったのは、ゲームシステムではなくストーリーだと思いますので……。
社長:再確認になるが、「プレーヤーをストーリーで感動させること」が目的だった、と言うのかね?
企画:その通りでございます。


[2]なぜメーカーは18禁に向かうのか

 企画部長の説明が続く中、営業部長はCD-ROMをずっと見つめていた。そして、企画部長の言葉が終わるなり、すぐに訊ねた。

営業:この作品はパソコン用ゲーム……でしたよね? 
企画:はい。システムの都合上、WindowsNTでは正常に作動しないようです。
営業:当然18禁になるんでしょうな?(^o^)
企画:それは当然です(^o^)。
社長:ちょっと待て。どうして「当然」なのかね?
営業:社長、現在のパソコンゲーム市場では、そうすることが「生き残り」に必要不可欠だからです。
社長:ふむ……詳しい説明をお願いしよう。
営業:はい。今日のパソコンゲーム市場では、ゲーム全体に占める18禁ゲームの割合が大きいことを考慮しなければなりません。18禁ソフト以外で登場したヒット作は『信長の野望』シリーズ(*5)『Diablo』(*6)『Ultima Online』(*7)などごく一部に限られています。それ以外に売れているパソコン用ソフトの大半は、『Lotus 1-2-3』(*8)のようや表計算ソフトや、『一太郎』シリーズ(*9)に代表されるワープロソフトなど、ゲーム以外のソフトばかりです。
社長:どうしてそうなったのかね?
営業:ちょっと長くなりますが、よろしいでしょうか?
社長:うむ。
営業:まず、今の日本では家庭用ゲーム機市場があまりに大きいことを考慮しなければなりません。つまり、パソコンに手を出さなくとも、家庭用ゲーム機を買えば面白いゲームはいくらでの楽しめるのです。それに、動画処理能力は家庭用ゲーム機のほうが上ですから、アクションゲームやシューティングゲームに限れば、パソコンは家庭用ゲーム機に逆立ちしても追いつかないと思われます。
総務:ふむふむ。
営業:続いて、購買層の問題を考慮しなければなりません。一般的なパソコンユーザーというのは、10代後半以上の人間で、おそらくは男性が多いと思われます。ところが、彼らの多くは家庭用ゲーム機の1つや2つは持っているはずです。現に私もSuperFamicomとPlayStationを持っています。
社長:つまり?
営業:パソコンユーザーの目をパソコン用ゲームに向けさせ、パソコン用ゲーム市場でヒットを飛ばす為には、家庭用ゲーム機に負けないような「付加価値」を持ったソフトが必要になるのです。普通のゲームならば家庭用ゲーム機やゲームセンターでも楽しめますからね。そして、パソコン用ゲーム独自の「付加価値」というものは、主として以下の3つの絞られます。

 営業部長はそう言って立ち上がり、ホワイトボードに赤字で文を書いた。

<パソコンゲーム独自の付加価値>
(1)家庭用ゲーム機よりも優れている数的処理能力の活用
(2)パソコン独自の「専売特許」であるインターネットの活用
(3)家庭用ゲーム機ソフトでは禁止されている描写の活用



総務:『大戦略』(*10)や『信長の野望』、『Age of Empires』(*11)のようなSLGは(1)を活用したソフト、というわけですか。
企画:そうですね。今でも、SLGに限定すれば、パソコン用ゲームソフトのほうが家庭用ゲーム機用ソフトよりも質が高い(*12)ですし。
社長:(2)は『Diablo』のようなオンラインソフトが持つ付加価値だな。
営業:はい。そして、残る(3)を活用したのがいわゆる「18禁ソフト」です。最近では、パソコンで発売されたSLGの家庭用ゲームへの移植が進み、家庭用ゲーム機でもDreamcastのような通信機能を搭載したハード(*13)が出現しています。こういった現状を考えますと、パソコン用ゲームの独自性は(3)のみで発揮されているのではないか、と考えています。
総務:つまり、基本的には、「18禁でないとパソコン用ゲーム市場でヒットは飛ばせない」というわけですか。
営業:はい。
社長:しかし、かつてSegaSaturnでは、『野々村病院の人々』(*14)のような18禁ゲームも発売されていたと聞いたが、それはどう考えるのかね?
総務:あれは消費者団体等の反発によって、中止になってしまいました。それに、SEGA SATURNではその後も18歳以上推奨のソフトが発表されていたのですが、これもPlay StationやNintendo 64の熱烈な信奉者からは白い目で見られたと聞いています。……まあ、これはパソコンの話とは関係無いことですが。
社長:では、この『ONE 〜輝く季節へ〜』は市場戦略の為、(3)の「付加価値」を持たざるを得なかった……というわけだな。
企画:はい。18禁シーンを省略して最初から家庭用ゲーム機専用ソフトとして売り出す……という戦略も存在したのでしょうが、Tacticsの場合は『同棲』(*15)『MOON.』(*16)とパソコンでゲームソフトを既に発表していますので、パソコン用ソフトを作り続けるほうが得になるはずです。新しくPlayStationへの進出を考えたら、余計なコストが掛かりますし。
営業:ところで、企画部長。18禁ゲームとしての分類はどれになるのでしょうか?
社長:何だね、それは?
営業:ああ、これは失礼致しました。実は社長、一口に18禁ゲームと言いましても大きく2つのカテゴリーがあるのです。
総務:「純愛系」と「陵辱系」の区分ですね。
営業:はい、その通りです。前者──純愛系18禁ゲームは専ら女性との恋愛関係の進展をゲームの中心に据え、性交渉は原則として「両者合意の上」で「優しく暖かく」行われるのが特徴です。
社長:ふむふむ。……で、もう一方の「陵辱系」とは?
営業:一方、後者──陵辱系18禁ゲームのほうですが、こちらでは女性との性交渉がゲームの中心、と申しましょうか、「セックスそのものが目的になっている」作品が非常に多く、性交渉の際に「女性側の同意が無い」ことが多いのです。また、その内容も多種多様でして、SMを含む「物理的且つ精神的に痛そうな」描写が多いのも特徴です。そのため、この系統のゲームは「鬼畜系」と表現されることもあります。……まあ、実際には、「純愛系」と「陵辱系」の境界線は曖昧でして、両方の描写が存在する作品も存在しますが……。
社長:つまり、「実際にゲームをやってみるまで分からない」ということだな。
営業:はい。私はそう解釈しております。
社長:代表的な作品はどういったものが挙げられるかね?
営業:純愛系作品ですが、まあ……『ONE』と同じADVから選ぶとすれば、『ToHeart』(*17)や『同級生』(*18)を挙げるべきでしょうか。一方の陵辱系18禁ADVの代表作としては、『痕』や『遺作』(*19)あたりがお勧めですね。ジャンルをADV以外に広げれば、純愛系ゲームは……そうですね、『D+VINE[LUV]』(*20)辺りがよろしいでしょう。ADV以外の陵辱系・鬼畜系ゲームとしては、『SEEK』シリーズ(*21)はいかがでしょうか? また、そのものすばりの名前を使ったソフトとしては『鬼畜王ランス』(*22)という作品もございます。
企画:あと、両方の要素が揃っているゲームは結構多いですよね。例えば『ママトト』(*23)とか。
社長:なるほど。意見は大体分かった。……で、結局、『ONE 〜輝く季節へ〜』はどちらのグループに属する作品なのかね?
企画:私がプレーした感触としては、純愛系ゲームに含まれるでしょう。


[3]そして1回目プレーは始まった

社長:では、早速やってみよう。

 席を立つ社長。彼は会議室の一角に置かれていたパソコンの前に座り、慣れた手付きで『ONE』のインストール作業(*24)を開始した。そして、パソコンの画面に『ONE 〜輝く季節へ〜』のタイトルが表示される。

総務:BGMが無いとは……静かな幕開けですね。
営業:主題歌やオープニングは無いのですか?
企画:ありませんでした。
営業:それは惜しいことを……。
社長:どういう意味だ?
営業:いや、今は申しますまい。先をどうぞ。
社長:セーブデータは無いから、まずは「START」だな。

 社長の右手が滑らかに動く。画面は名前入力場面へ切り替わった。

営業:自由に名前が決定できるようですね。
企画:デフォルト名は「折原浩平」になっています。
社長:では、早速私の名前を──
企画:ちょっと待ったぁぁぁぁっ!

 唐突に上がった大声を聞き、思わず耳を手で塞ぐ3人。

社長:……待て。何があった?(--#)
企画:はっ……も、申し訳ありません。しかし……御自分の名前を入力されることだけは止めたほうがよろしいかと……。
営業:どうしてですか?
企画:実際にプレーしてみれば分かります。
社長:ふん……そこまで言うならば、デフォルトネームのままでプレーしてみようではないか。

 社長は主人公の名前をデフォルトの「折原浩平」のまま開始した。

社長:ふむふむ…………(マウスをクリックしてストーリーを追いかけている)。
営業:え? ……あ……あれ?
企画:あの……営業部長、いかがなされました?
営業:……このイラスト……デッサンが変ですが……。

 画面に表示されていたのは、転倒した状態から顔だけを上げた七瀬留美のイベントCGだった。

社長:……そうなのか? 私には分からないが。
営業:はい。大学時代に同人誌でイラストを描いていたので、多少は分かるんです。それに、このイラスト……目が不自然なほど大きく描かれていますね……。
総務:少女漫画を見ているような気分ですな。
企画:大丈夫です。その内、気にならなくなりますよ。
営業:だといいんですけどねえ……(溜息)。

 ゲームは順調に進み、11月30日午後の授業──折原浩平が七瀬留美の頭髪で遊ぶシーンまで終了した。

企画:……どうでしたか?
社長:いや、納得した。企画部長の言う通り、自分の名前を入れなくて正解だったぞ(^^;)。こいつは赤の他人としてみたほうが面白い。……しかし、このようなシーンがこの後もずっと続くのかね?
企画:はい。彼は関西系のギャグをゲームの後半まで見せてくれます。『ONE』というゲームのセールスポイントの1つは、この主人公の破天荒で笑える言動なんです。
営業:好悪は抜きにして、癖のあるキャラクターであることだけは確かですね。
総務:しかし、自分の名前を入れていたら、途中で投げ出す人間が出てきても、決しておかしくはないでしょうな。このギャグが嫌いな人間はいるでしょうし。企画部長がプレーされた時、名前はどうなさいましたか?
企画:私はデフォルトのままプレーしました。でも、私の知人の中には、彼の名前を「(削除)」(*25)にした人もいます。
営業:(^^;)そ、それはまずい。
社長:…………さて、もうそろそろ1日が終わりそうだから、ここで一旦セーブするぞ。

 セーブ画面を見た社長は思わず感嘆の声を上げた。

社長:おおっ! セーブファイルが30個もあるぞ。これは便利だな。
企画:え? そうだったんですか?
社長:知らなかったのか?
企画:私も今気付きました。てっきり、セーブファイルは10個だけだと思っていた(*26)のですが…… (^^;) 。
営業:企画部長、上のほうにちゃんと「1/3」という表示が出ているじゃないですか。
企画:あ、本当だ……。

 その後、社長の1回目プレーは2時間ほど続き、上月澪シナリオのバッドエンドを迎えた。


総務:これで終わった……みたいですね。
営業:そうですね。
総務:主人公がこの世から消えてバッドエンド……なんですよね? どうもすっきりしないというか、謎だらけのまま放り出されたという印象があるのですが……。
企画:1人のバッドエンドだけでは、『ONE』の世界観を全部掴むことはできません。6人いる女性キャラ全員とのグッドエンディングを見れば、世界観を理解できる構造になっています。
社長:どの選択肢で間違ったのだろうか?
企画:少し前の……そうそう、この日の選択肢を間違えていたようですね。
社長:ふむ。では、このデータをロードして、と……。

 約30分後。画面にはスタッフロールが流れている。

社長:ふう……これで終わりだな。
企画:おめでとうございます(ぱちぱちぱち)。
総務:1人の女性をクリアするまでに3時間、使ったセーブファイルの数は17個(*27)でしたな。
企画:まあ、そんなところでございましょう。
社長:それにしても、なかなか良い話だった……のだが、営業部長はどうした?

 3人は後ろに立っていた営業部長に視線を向ける。彼は持っていたハンカチで涙を拭っているところだった。

営業:…………いや、失礼。ちょっと涙もろい性質だったもので……(グスン)。
企画:いえ、別に構いません。これで同志(*28)がまた1人増えましたね (^o^) 。
社長:……と、そう言えば、今日は何曜日だったかな?
企画:金曜日です。
社長:ふむ……ならば決まりだ。
企画:何がです?
社長:今から、秘書課の者を秋葉原まで走らせ、経費でこのソフトを3本買ってこさせよう(*29)。そして、月曜日までに我々4人がこのゲームをプレーして、その結果を月曜日の企画会議で報告し合うのだ。そのついでに、このゲームの関連情報をできる限り集めて欲しい。
営業:それは良いアイデアですね。
総務:あの、社長……日曜日は家族とピクニック──
社長:徹夜で頑張り給え。

 にこやかに微笑みながら総務部長の肩を叩く社長。総務部長は溜息を漏らしていた……。



注釈

ソフトメーカーEZ-O-Zappar社(*1)
 「いーじーおーざっぱー」と読むこと(^^;)。しかし、こんな名前の会社が業務用パソコンソフトを作って大丈夫なのだろうか?(^^;)

『雫』(*2)
 1996年6月にLeafから発表された18禁ADV。同社のヴィジュアルノベルシリーズの記念すべき第1弾。名文句「毒電波」を世に知らしめた。

『痕』(*3)
 1996年7月にLeafから発表された18禁ADV。『雫』に続く、同社のヴィジュアルノベルノベルシリーズの第2弾。計算されたフラグ管理・ストーリー展開と独特の世界観が特徴。このゲームを「アドベンチャーゲームの最高傑作」と高く評価する人は今日でも少なくない。後に、追加シナリオの盗作疑惑で問題となった。

『弟切草』(*4)
 1992年にCHUN SOFTから発表されたADV。古びた洋館の中で次々と発生する怪事件に立ち向かっていくというストーリー。サウンドノベルの草分け的存在として知られている。なお、最近ではNINTENDO POWER対応ソフトとして販売されている。

『信長の野望』シリーズ(*5)
 KOEIが誇る、日本の戦国時代を扱った戦略級SLG。第1作は1983年の登場だった。後に多数のハードに移植されるが、そのいずれもがヒット作となった。

『Diablo』(*6)
 Blizzard Entertainmentが1996年に発表したアクションRPG。ダンジョンの奥深くに君臨するDiabloを倒すのが最終目的。オンラインプレーも可能であり、世界的なヒットとなった。

『Ultima Online』(*7)
 ORIGIN Systems Inc.が1997年9月に発表したアクションRPG。同社が過去に発表していた人気RPG『Ultima』シリーズのオンライン版。『Diablo』では同時に4人までしかプレーできなかったが、本作品では数千人が同時にプレーすることが可能になっていることが特徴。そのため人気は高いものの、一部のプレーヤーによる極悪プレーの横行など問題も発生している。

『Lotus 1-2-3』(*8)
 Lotusが開発する表計算ソフト。最初のリリースは1983年1月。

『一太郎』シリーズ(*9)
 ジャストシステムの看板商品である日本語ワープロソフト。第1作登場は1985年8月。

『大戦略』(*10)
 システムソフトが発表したSLG。第2次世界大戦以降の現代戦を再現した人気作で、第1作は1985年11月に発売された。

『Age of Empires』(*11)
 Microsoftが1997年に発表したSLG。プレーヤーは部族の長となり、様々な手段を尽くして部族の存続と繁栄を目指すというゲーム。オンライン対戦も可能。その評価は極めて高く、「1997年の最優秀戦略SLG」として複数の賞を受賞している。

SLGに限定すれば、パソコン用ゲームソフトのほうが家庭用ゲーム機用ソフトよりも質が高い(*12)
 ただし、シミュレーションRPGを除く。このジャンルでは、家庭用ゲーム機から『ファイアーエムブレム』シリーズ(任天堂)、『Tactics Ogre』(Quest/Riverhillsoft/ARTDINK)、『FINAL FANTASY TACTICS』(SQUARE)など傑作が多数発表されている。

通信機能を搭載したハード(*13)
 最近では、インターネットを活用した家庭用ゲーム機ソフトも数多く発表されている。その中で最も有名で評価が高いのは2000年12月に発表された『PHANTASY STAR ONLINE』(SEGA)。また、最近の携帯用ゲーム機には通信機能が搭載されていることが多い。

『野々村病院の人々』(*14)
 elfがSegaSaturnで1996年4月に、Windowsで同年9月に発売したADV。Windows版とSaturn版の2つがあるが、どちらも18禁。探偵・海原琢麻呂が野々村病院院長の死の謎に迫るという筋書きのミステリーで、「Saturn発の18禁ソフトでは最高傑作」との呼び声が高い。このソフトをPC98時代に作ったシルキーズというブランドは一旦消滅していたものの2000年冬に復活、2001年に『flutter of birds〜鳥達の羽ばたき〜』を発表している。

『同棲』(*15)
 Tacticsが1997年5月に発表した18禁育成SLG。同社のデビュー作である。そのメインテーマはタイトル通り「同棲」。『MOON.』以降の諸作品とは異なり、このゲームが話題に上ることは非常に少ない。

『MOON.』(*16)
 Tacticsが1997年11月に発表した18禁ADV。同社発の「心に届くAVG」第1弾。個別の事情を抱えて宗教団体FARGOに潜入した3人の女性達を描く物語。主人公は女性であり、それ故女性のファンが多いらしい。後発の『ONE』とは異なり、一般的なアドベンチャーゲームのシステムを採用している。1998年8月に『MOON.Renewal』として再発表された。

『ToHeart』(*17)
 Leafが1997年5月に発表した18禁ADV。後にPlayStationに移植されている。同社のヴィジュアルノベルシリーズ第3弾。暗く独特な雰囲気が漂っていた前2作とは異なり、この作品では明るくほのぼのとした学園生活が描かれている。ギャルゲー愛好家では知らぬ者のいない超有名キャラ「マルチ」を産み出した一品。

『同級生』(*18)
 elfが1992年12月に発表したPC98用18禁ADV。先負学園3年生の夏休みに主人公の周囲で展開される恋愛模様を描いた作品で、「恋愛SLG」と呼ばれるジャンルを確立する契機になった古典的名作。1999年8月にWindows版が発表されている。

『遺作』(*19)
 elfが1995年8月に発表した18禁ADV。夏休みの登校日、差出人不明の手紙によって旧校舎へ呼び出された主人公と女性達が、遺作という男性の魔の手を逃れて、旧校舎から脱出するという筋書き。頭を使うプレーが要求される作品。なお、この作品は1999年2月にWindows版が、2000年3月にMacintosh版が発表されている。

『D+VINE[LUV]』(*20)
 アボガドパワーズが2000年2月に発表した18禁アクションRPG。全15層のダンジョンに潜り、モンスターを蹴散らしてアイテムを集め、ダンジョンの秘密が眠る最深部へと足を踏み入れるのが目的。アイテム総数は800個であり、多くのプレーヤーが全アイテム回収の為に数十時間単位のプレーに挑んでいた。18禁ゲームに限らず、パソコンゲームとしてこれは極めて異例のことである。2001年10月にDreamCast版が発表されている。

『SEEK』シリーズ(*21)
 STONE HEADSの1ブランドであるPILが1996年8月に発表した18禁SLG。正式タイトルは『SEEK 〜地下室の牝奴隷達〜』。SMをテーマにした作品であり、ゲームシステムとしては育成(調教)型SLGとなっている。2000年3月に『SEEK remasters』としてリメイクされた。

『鬼畜王ランス』(*22)
 ALICE SOFTが1998年に発表した18禁戦略級SLG。同社の看板商品であるRPG『ランス』シリーズの外伝である。シリーズの主人公・ランスが諸々の事情により国王に即位、その鬼畜で豪快な性格を存分に発揮しながら大陸統一を目指す。シンプルなゲームシステムでありながら高い戦略性が存在し、同社の出したソフトの中では最高傑作との呼び声が高い。なお、18禁シーンにはごく一部だけ純愛系のシーンが用意されているものの、大抵のシーンは「鬼畜王」の名前に相応しい陵辱シーンが揃っている。しかし、ランスがギャグキャラクター(典型的な2.5枚目キャラ)である上にBGMがごーじゃすで明るい(タイトルは『我が栄光の日々』だったと思う)ため、陵辱シーンに付き物の陰湿さは消え去ってしまっていることが多い。

『ママトト』(*23)
 ALICE SOFTが1999年7月に発表した18禁シミュレーションRPG。正式タイトルは『ママトト 〜a record of war〜』。ゲームとしての完成度が非常に高く、『鬼畜王ランス』『DiaboLiQuE』と並び、同社の出したソフトの中では傑作の1つに数えられる。18禁シーンは純愛(ナナス)編・鬼畜(カカロ)編・外道(ブルーペット)編(^^;)に分割されており、ユーザーの幅広い好みに対応したシステムとなっている。なお、一部を除き、18禁シーン閲覧はゲームクリアの必須条件となっていない。

『ONE』のインストール作業(*24)
 同時に、Tacticsのホームページから、バグ修正用ファイルをダウンロードしている。

彼の名前を「(削除)」(*25)にした
 政治的に危険なので削除した。……いや、本当に危険だから(^^;)。それでも見たい方はこちらをどうぞ。
 「失言続きで国と与党を危険に晒していた某先進国の前首相(2001年11月17日現在)」……ほら、とても危険でしょう?(^^;)

セーブファイルは10個だけだと思っていた(*26)
 初回プレー時、「セーブファイル個数が10個しかない」と思ったユーザーは意外と多い。

1人の女性をクリアするまでに3時間、使ったセーブファイルの数は17個(*27)
 これは筆者が2000年冬にプレーした時の実測値である。

同志(*28)
 企画部長も最初プレーした時に泣いていたらしい。

経費でこのソフトを3本買ってこさせよう(*29)
 「コピーしよう」と言わなかったのは、業界人としてのモラルがなせる技である。


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(1)/(2)(3)(4)(5)(6)参考資料追記

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